
がん細胞のゲノム解読に成功 22
ストーリー by nabeshin
エラーなのか、特定変異なのか 部門より
エラーなのか、特定変異なのか 部門より
capra 曰く、
米ワシントン大学の研究チームが人のがん細胞のゲノム解読に成功した(読売新聞、Science News、本家記事)。チームが解読したのは白血病の女性患者のがん化した細胞で、正常な細胞のゲノムも解読し比較した。がん細胞の全遺伝情報の解読は初めてだが、女性のゲノムが解読されたのも初めてとなる。論文はNatureの11月6日号に掲載されている(論文要旨)。
この号のNatureにはほかにもアフリカ人とアジア人のゲノム解読(どちらも初めて)に関する論文が掲載されているが、これら3つのゲノム解読はすべてイルミナ社の次世代ゲノムシーケンス解析プラットフォームであるゲノム・アナライザーを使って行われたとのことである。
おふとぴ (スコア:3, おもしろおかしい)
一瞬、水だけじゃなくて、電子まで『ありがとう』って言うのかと思った。
#言わない言わない。
女性初とな (スコア:3, 興味深い)
http://srad.jp/science/article.pl?sid=08/05/27/2242239 [srad.jp]
Re:女性初とな (スコア:1)
去年の報告は全ゲノムではなかった様ですね.こっちはグループも違いますし,先を越されてしまったのでしょうか.
女性の方は初めてというわけではないと思います.というか,どこにそう書かれているか見つけられなかったのですが.
kaho
Re:女性初とな (スコア:4, 参考になる)
それだけではあんまりなので今回の研究について私の解釈を述べてお茶を濁そうかと.
この研究でAMLのゲノムを対象としたのは,多くの場合生検で取得した腫瘍細胞では染色体同士が
結合したり多核化したりとゲノム解読が難しい状態にあります.特に短い配列を解読して既知の
ゲノム配列と比較することで全ゲノム解読を行うre-sequencing(今回の報告も含む)では
解読ができていないのかその部分の染色体が存在しないのか,また読めていても同じ配列が細胞に
何カ所あるのか,ということが分かりません.
更に困ることに,この場合,何らかの原因で核や染色体に異常が起きたことがガン化の原因であって
DNAの変異は従属した現象なのではないかという疑問も湧いてしまいます.
AMLはガン化の比較的早い段階で細胞を取得することが可能で,この研究においてもまず細胞の
様子を顕微鏡で観察して染色体に目立った異常がないことを確認しています.
この性質からAMLが今回のテーマに最適なサンプルであったと言えます.
次に結果については,10の遺伝子でアミノ酸配列が変化する変異をみつけ,そのうち2つが既知の
ガン化プロセスに関わる遺伝子,他の8つは新規の遺伝子でした.
これらが本当にAMLの原因となる遺伝子かどうかはこれからの実験によりますが,遺伝学的な方法で
感受性遺伝子を探す方法と比較すると,8つもの明らかな変異を探したという結果に対しては時間も
コストも従来よりもかからずにすんだということが大きなトピックになります.
また,この結果を見ての私の個人的な感想では,10個の変異があれば,そのうち数個は2本ある
染色体でガン細胞特有の同じ配列になっている(ヘテロ接合が失われる)のではないかと予想して
いましたが,全て1本の染色体だけで変異が観測されています.
これらの結果は,染色体の状態異常ではなく,DNA配列の変異がガン化の原因であるという立場を
強めるものだと考えられます.
もし今回発見された変異を通常の白血球に導入して実際にガン化するという結果が得られれば,
ガン化のメカニズムや治療法についても様々な知見をもたらすでしょうし,re-sequencingが疾患解析に
強力なツールであることの証明になると思います.
kaho
Re:女性初とな (スコア:1)
the.ACount
白血病 (スコア:2, 参考になる)
どの遺伝子がどの程度働いているかは、癌の種類やら個人差やら癌進行のステージやらで非常に大きく異なりますが、それが遺伝子配列そのものが違っているからなのか、それとも miRNA とかでの発現制御によるものなのか、見当がつきやすくする方法を示した、という意味ですかね、この研究。
そのうち (スコア:0)
Re: (スコア:0)
Re:そのうち (スコア:2, すばらしい洞察)
Lv5以下の社員全員にデスマーチ!
Re:そのうち (スコア:1, すばらしい洞察)
解読 (スコア:0)
Re:解読 (スコア:3, 参考になる)
考古学に例えると石版を発掘してそこに書かれた文字をすべて紙に書き写したという状態で、
中に何が書かれているかを「解読」した段階までは指しません。
Re:解読 (スコア:3, 参考になる)
物質として実際に存在する塩基配列はCDのピット(小孔)に相当し、ATCGの4進法で記述されています。
その上に情報として書き込まれている遺伝子はCDの中身である音楽にあたります。
CD(塩基配列)は直接手にしたり目で確認できたりしますが、音楽(遺伝子)はできません。
ヒトの塩基配列はおよそ30億で、これは430bitの記憶容量をもちますが、
ゲノムの解読とはこの文字列をすべて読み込んだことを意味します。
近年は解析装置が非常によくできているため素人でも手軽に作業ができ、
自分も大学2年のときに教官の言われるがままに実験をすすめ、自分が扱った大腸菌の塩基配列の解析結果を渡されました。
一方の遺伝子は「発現すると形質になんらかの影響を与える情報」で、
ヒトには1万から30万の遺伝子があるといわれています(研究者によって数字は違う)。
ひとつの遺伝子には数百から数千の塩基配列が必要で、その始めと終わりにはHTMLのようなわかりやすいマークアップがされています。
現在は研究基盤としての塩基配列のデータベースが整備された、といったあたりで
最先端の研究では「どの情報がなんの遺伝子なのかを突き止めること」に全力を降り注いでいます。
宝の地図が世界中に公表された状態なので、みな半狂乱で「ガンの治療法」や「不老不死の可能性」という宝を探していますが
いかんせん地図が広大過ぎるので従来の方法ではうまくいっていません。
ただ、(グリッド|分散)コンピューティングのような力業が手軽に利用可能になったので、
そう遠くない将来にいろいろとみつかるのかもしれません。
ヒトゲノム計画もコンピュータの予想外の進歩で、予定より2年も早く完成した経緯があります。
Re: (スコア:0)
あれ?430bit
4値(2bit)の情報が、30億(3x109)あるわけですよね?
2 x 3 x 109 bit 位に落ち着きませんか?
# 60GB ? これなら何とかなりそうですね。
Re:解読 (スコア:1, 興味深い)
# B ですと Byte、b ですと bit ですので。
60Gb って 715MB... CD-ROM 一枚分...
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
30万といってた人は、昔でもいないでしょう。
ぼくの記憶では、ヒトゲノム計画がはじまったころの予測だと、せいぜい10万位でした。
いま、2万数千くらいか、もっと少ないくらいでしょう。
中村(show)
Re: (スコア:0)
どんどん解読が進んでいく (スコア:0)
Re:どんどん解読が進んでいく (スコア:1, 興味深い)
グリベックのように、Ph+のガン(主に慢性骨髄性白血病)に特異的に効く薬はすでに存在します。
しかし白血病にも幾種類もありますし、まして固形ガンはまだ時間がかかりそうです。
Re: (スコア:0)
トレースに成功...というほうが、正確じゃね?(T/O) (スコア:0)