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高校の化学で習う「ゴム状硫黄の色」は誤り、17歳が確認 71

ストーリー by reo
科学する喜び 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

高校の化学の教科書などで「褐色」と記述されている「ゴム状硫黄」の色が、実際は黄色だったことが 17 歳の高専生の実験により確認された。出版社側も間違いを確認、教科書の修正につながったそうだ (朝日新聞の記事) 。確認したのは山形県の鶴岡高専 物質工学科 3 年の高橋研一さん。

硫黄は加熱 / 冷却の仕方により「ゴム状硫黄」「単斜硫黄」「斜方硫黄」という 3 つの形になることが分かっており、単斜硫黄と斜方硫黄は黄色、ゴム状硫黄は褐色と言われていた。しかし高橋さんは指導教員から「黄色のゴム状硫黄ができたことがある」と聞き、実際に実験で確かめたところ、純度が 99.5 % の結晶硫黄からゴム状硫黄を作った場合は黄色になることが判明。褐色になるのは硫黄中の鉄粉などの不純物が原因だったことを確かめた。

これを受け、高橋さんの指導教員である金綱秀典教授が執筆に参加していた化学の教科書の写真を差し替えたほか、文部科学省にも訂正を申請。2009 年度からは「ゴム状硫黄は硫黄純度が高いと黄色になる」と注釈が加えられることになったそうだ。

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    by Anonymous Coward on 2009年01月07日 16時22分 (#1487015)
    これだけだと正しいのかどうか何ともわからんですねぇ。
    というのもですね、以下のような懸念があるからです。

    通常、硫黄を溶融した場合には比較的温度の低い場合には黄色のλ硫黄に、
    高温である程度の時間加熱していると褐色で粘性の高いμ硫黄に変化します。
    この変化はよく知られるように微視的な構造の変化を伴い、前者はS8の分子状硫黄、
    後者はポリマー状の硫黄鎖をなしています。この構造の変化はX線や他の分光学的手法
    などから確認されています。

    ここで問題になるのは、ゴム状硫黄というのはこのμ硫黄がある程度以上存在する
    液体を急冷・構造を凍結したものなので、同じような作り方をしてもλ硫黄の
    含まれている量にばらつきが生じ得る、という点なのです。
    つまり、加熱時間が短い、もしくは加熱温度が低いような液状の硫黄を急冷すると、
    ゴム状硫黄っぽい(けれども微視的な構造からするとほぼλ硫黄)の黄色の
    不定形物体が得られるのですよ。(このこと自体は知っている人はそれなりにいる)
    実際ちょっと気になるのは、報道されている写真の「黄色のゴム状硫黄」として紹介
    されているものの中に、かなり結晶質の固まり(要は粒状のもの)がいることです。
    これ、加熱が不十分な(つまりS8構造の分解がほとんど進んでいない)
    場合に単斜もしくは斜方硫黄の結晶が析出した際の感じと似てるんですよね。
    その場合でも、多少含まれる長めのSnの影響で多少はゴムっぽく伸びたり
    することがあります。

    そのため、報道での情報だけからですと例えば可能性として、何らかの金属不純物が
    含まれる場合には触媒的にSへの変換が早く進み、純度が高い場合には
    加熱時間/温度が足りなくて未だにS8が多量に残っているため黄色の
    非ゴム状硫黄(でも一部がつながっていてゴムっぽい)が析出している、という可能性を
    否定できないんですよ。

    もうちょっと、X線散乱実験とかXAFS・EXAFSで原子配列の情報を得て、きちんとSが繋がって
    いるんだというところが明らかになるまではペンディングという感じでしょうか。
  • 若い人の発見というと、数ヶ月前に慶応の院生が新しい現象を発見した、とのニュースがありましたね。磁石上に温度差を作ることで「磁気の流れ」ともいえる、今まで知られていない現象(スピンゼーベック効果)が起きる、というもの。

    Nature Observation of the spin Seebeck effect [nature.com]
    日本語によるスピンゼーベック効果の解説 「スピンゼーベック効果」を発見-熱で磁気の流れを作る- [tohoku.ac.jp]

    院生の論文がNatureにとりあげられるのは珍しい、ということでちょっと話題になっていました。
  • by Anonymous Coward on 2009年01月07日 11時36分 (#1486705)
    「不純物が混ざると褐色になる」だろ。
    • by SteppingWind (2654) on 2009年01月07日 12時21分 (#1486746)

      鉄は容易に錆びません [nifty.com]. と言われて簡単に納得する奴はいるか?

      親コメント
    • by firewheel (31280) on 2009年01月07日 12時47分 (#1486780)
      >「不純物が混ざると褐色になる」だろ。

      不純物の混ざっていない純粋な物質は厳密には実在しないからでは。
      ちょうど絶対零度や理想気体のように。

      今回のものが、たとえ純度99.9999999%でも100%ではなく、
      それは全て「不純物が混ざっている状態」になってしまう。

      「不純物が増えると褐色になる」ならありかも。
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        そういう問題でもないだろう。

        単体の色の話で、不純物の方がリーディングファクターなんだから、不純物の種類によって純度99%でも純度90%でも純度1%でも黄色のままってこともあるはず。「不純物が増えると褐色になる」よりは、「不純物が混ざると褐色になる」の方が大意をうまく伝えいている。どのみち、厳密に話をすると、この手の記述は「外してはいないが正確でもない」ってのが常だし、「不純物が混ざると褐色になる」で筆者の意図を誤解することはまずありえないと思う。

        これは、「水に水性赤インクを垂らすと、水が赤くなる」という主張に対して「海に赤インクを垂らしても赤くなるとは限らない」って反論しているようなもので、科学的には、全く価値のないクレームだと思うのだが。

        # カレーには何を入れても必ず黄色になる。
        • by Anonymous Coward
          さっき食ったカレーは緑だったよ
    • 全くだ。
      注釈にするのは褐色の方だろと。
      親コメント
      • デフォルトを変更したら「褐色」という解答を用意している既存の試験問題が不具合を起こすではありませんか。
        科学的真理など知ったことではありません。実際に実験で確かめる生徒などごく一部の科学マニアにすぎません。大多数の生徒は圧倒的シェアを誇る文部省検定教科書の内容をそのまま暗記するだけですから何の問題もありません。
      • by Anonymous Coward
        そうか?
        99.0%程度では褐色なんでしょ。
        純度を上げないと黄色にならないわけで。
        で「単斜硫黄」「斜方硫黄」の場合は99.0%でも黄色なんでしょ。
        だとしたら注釈は「純度が高い場合」とするほうが自然だと思うんだが。
        • by Anonymous Coward
          不純物の配合で色が変わったら、あんたはどう説明するつもりなんだい?
    • by Anonymous Coward on 2009年01月07日 12時32分 (#1486758)
      ・純度が高いと黄色になる。
      ・褐色になるのは鉄などの不純物のため

       という事だから、不純物によっては別の色になる可能性もあるのでは?
       次の研究テーマだ!

      #ところで、うわさに聞くゴム状の硫黄って実物見たことないんですが、どんな感じのものなんですか?
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      >「硫黄純度が高いと黄色になる」
      >「不純物が混ざると褐色になる」

      自然界に存在する(あるいは通常化学で利用される)硫黄の純度次第じゃないですかね。
      水だって純度99.9999...% になれば、僕らの知ってる水とは別物になりますよ

      • by Anonymous Coward
        つまり水道局を見学に来た小学生がすごーいと発言して飛んだ唾が水道水に混じっているということですか
  • by new release (37404) on 2009年01月07日 14時44分 (#1486914) 日記
    指導教員の示唆があったとはいえ、自力で検証して新しい知識を見つけ出したことは
    すばらしいと思います。
    やっぱり、見つけた瞬間、「この事実は、この瞬間、古今東西俺しか知らない」って
    快感なんですよね。
    普通はがんばっても大学の研究室で4年生ぐらいを過ぎないと得られない快感だけれど
    高校生の年齢でこの味を知ったのは、うらやましいな。
    教科書を書き換えるとまでは行かなくても、教科書よりも先に自力でやっていて、
    授業で後から出てきてもぞくぞくするよね。
    自分は高校時代ミリカンの油滴実験とおなじ方法を考え付いて実験を重ねたけど
    空気抵抗の計算方法とか間違えていて実測値は出せなかった。
    でも、教科書で後からミリカン知ったときには、「俺の結果とられた!!」と思った。
  • 最近じゃ、なかなか新しいことは発見できなくて、
    それだけならまだしも、
    「どうせ発見できないだろう」という空気があると思います。
    • by Anonymous Coward
      発見されたら困るから誰も騒がなくていいよ。
  • 入試でもめる? (スコア:1, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2009年01月07日 14時34分 (#1486900)
    正誤問題で「ゴム状硫黄の色は黄色である」というのがあったとして、これを誤り(単斜硫黄と斜方硫黄は黄色だが、ゴム状硫黄は褐色であるから)とするものを正答とする試験があったら、苦情が殺到するのかな。
  • by Anonymous Coward on 2009年01月07日 14時41分 (#1486911)
    この人の『試してみる』って言う志が凄いと思うんだ。
    ちゃんと教科書会社に間違いを『指摘する』という形で発表している点も。

    でも、ゴム状硫黄が黒くなる原因は不純物、という話は、
    小学校時代に先生に習った記憶があるとですよ……。
    なんか、いろんなものの知識レベルが退化している気が。

    F子T川小学校のO橋先生、ありがとうございました……。
    いま、あなたのおかげであなたの教え子はこんなにアレげです。
  • by Anonymous Coward on 2009年01月07日 11時41分 (#1486711)
    純度が 99.95 %となると何色になるんだろう。
  • by Anonymous Coward on 2009年01月07日 11時47分 (#1486713)
    「黄色のゴム状硫黄ができたことがある」という高橋さんの指導教員が、その事象に遭遇した時点で、さらなる検証をしなかったのは、指導者/研究者としてどうなんだろう?

    # と余計なところが気になっただけなので AC
    • by Anonymous Coward on 2009年01月07日 11時57分 (#1486725)
      自分が疑問に思った事の中から、若い学生にも検証できる研究テーマを見つけ出し、実際に割り振って成果が出た、ということは、指導者兼研究者として素晴らしいことだと思います。人間思ったことなんでも自分一人で出来る程人生長くないですよ。
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2009年01月07日 11時57分 (#1486723)
      > 指導者/研究者としてどうなんだろう?

      彼は待っていたのです。
      追試をしようと考え、そして謎を解明する学生が育つのを

      # わりとどうでもよいネタをキープしておく指導者は少なくない
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2009年01月07日 11時54分 (#1486719)
      17歳だけど高校生じゃなくて高専生なんだが。

      元高専生としては区別して欲しい。
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        ほんと、高専は認知度が低いよね
        そこらの専門学校と勘違いしてる人もいるし
        高校普通科→大学志向が強すぎるのが原因か?
        最近は、高校商業科・工業科の人気が上がって、
        どうしようもない連中が底辺普通科に集まるようになったり、
        変化の兆しはあるけれど
    • by Anonymous Coward on 2009年01月07日 11時54分 (#1486720)
      あれ?黄色いゴム状硫黄ができちゃった。

      もう一度やってみよう。(さらなる検証)

      (不純物が混入)

      褐色のゴム状硫黄ができた。さっきのは失敗だったんだな。よかったよかった。

      #自分なら多分こうなるだろうな、と。
      親コメント
    • 研究者というか多くの理系であっても、どーでもいいことを検証するかしないかを取捨選択しないほど暇人ではないって話でしょう。
      --
      =-=-= The Inelegance(無粋な人) =-=-=
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        >研究者というか多くの理系であっても、どーでもいいことを検証するかしないかを取捨選択しないほど暇人ではないって話でしょう。

        否定が多すぎてよくわかりません><
    • # とりあえずここにぶら下げてみる

      素人考えですが、
      純度を上げて実験できるようになったのが比較的最近になってからで、
      その場合での再検証を特にしていなかったんじゃないかなぁ、とか。
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      純度が違うとか、微妙に粒径が違うとかで色が違うのはよくあること。特に興味のある
      対象でなければ「まあそんなもんか」で流す。
      硫黄そのものが研究対象ならともかく、原料等として使うだけなら色が違っても
      追求することはそれほど無い。
      #色が違った場合に実験結果が異なるとかなら調べたりするけど。
  • by Anonymous Coward on 2009年01月07日 12時13分 (#1486740)
    > 指導教員である教授が執筆に参加していた化学の教科書

    おいおい、黄色になることもあると知っていながら今までスルーしてきたのかよ!
    それとも執筆陣内で、他の執筆者の書いた部分にクレームできず、
    かといって自分で実験して主張するとアレなんで、生徒をダシに使ったのか。
    • Re:ちょっと待て (スコア:5, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2009年01月07日 12時48分 (#1486781)
      >おいおい、黄色になることもあると知っていながら今までスルーしてきたのかよ!

      相当な純度の高さが条件というのが今回の成果ですから、
      指導教官が見たというのもかなり稀、かつ発生の条件が不明な事例だったのではないでしょうか。
      再現・検証ができないものは科学的には存在を主張できません。それを無視して主張したら水伝と同じです。

      稀な観測事例に対して、発生の条件を確定したのがこの高専生の成果でしょう。
      「スルーした」のではなく、過去において「科学的事実」と主張するには根拠が乏しいものを
      条件が確定されることで、(実験の素養があるなら)誰でも再現でき、検証可能な「科学的事実」になったのです。

      科学史の時系列的な発展過程というものは大抵このようなものです。

      それを無視して、現在の知見を基に過去の行動・言及を批判するのは筋ちがいでしょう。
      親コメント
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弘法筆を選ばず、アレゲはキーボードを選ぶ -- アレゲ研究家

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