
ES 細胞を用いた再生治療、初の臨床試験に向け FDA の承認を得る 9
ストーリー by reo
yes-we-can-use-embryo-stem-cell 部門より
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insiderman 曰く、
神経の損傷が原因で両下肢に麻痺を持つ患者に対し、胚性幹細胞 (ES 細胞) を注入することで神経を再生し、麻痺を治療するという臨床試験の実施が米国食品医薬品局 (FDA) に承認されたそうだ (The New York Timesの記事、ヘルスデージャパンの記事より) 。
ES 細胞を使用した治療はマウスなどを使った試験では有効性が示されているものの、人間に対して適用したケースはまだない。今回の臨床試験の第一の目的は ES 細胞注入の安全性の確認とのことで、ES 細胞を使うことで完全に神経が再生される保証はないものの、何らかの機能回復が見られることも期待しているとのこと。ES 細胞は受精卵、もしくは受精卵が成長した初期胚を元に培養するため、その使用は「生命の種を使う」として倫理的な議論を呼んでいる。そのため米ブッシュ政権では ES 細胞を用いた研究について政府からの援助を禁止していた。一方オバマ政権ではこの禁止を解除する方針とのことで、ES 細胞を使用した再生医療の研究がこれからも進む可能性があるようだ。
iPS細胞でなくて? (スコア:1)
iPS細胞というES細胞とほぼ同じの分化万能性を有する細胞の単離培養に成功したってニュースを聞いた筈なのに
どうせなら道徳宗教倫理に抵触しそうにないそっちの方で話を進めればいいのにと素人考えでは感じますが
#特許とかの問題で二の足を踏んでるのかなぁ
Re:iPS細胞でなくて? (スコア:2, すばらしい洞察)
この手の研究ってのは手が足りるなら「どっちか」じゃなく「どっちも」やるものでは。
どっちもまだまだ手探りなんですし。
というか単にこっちのが早かっただけという可能性が。
Re:iPS細胞でなくて? (スコア:1)
率直に言って、「怪しげな遺伝子導入で ES 細胞っぽく見えるようになった」っていうだけの iPS 細胞より、ほっとけば個体に成長することがはっきりしてる胚をバラして細胞を取り出して使う方が、よっぽどうまく行きやすそうだ、と関係者はみんな思ってるんじゃないかな。
Re: (スコア:0)
臨床試験にいくまでには長い長い時間がかかるんです。iPS細胞を使ったこのレベルの臨床試験にたどり着くには最低5年、普通に行けば10年はかかるでしょう。
パイプラインみたいなもので、もっと有望かもしれない方法が見つかったからといって、より先の段階にやっとのことでたどり着いたものを止めることはしないということです。
区別 (スコア:1)
自分の細胞でない以上、免疫抑制しないといけないんだろうが、ES細胞の効果と区別が付くんだろうか?
the.ACount
日本だと (スコア:0)
悪化したと患者から訴えられるリスクを考慮して、あと20年は実施されない予感。
#臨床試験で裁判沙汰ですから
Re: (スコア:0)
昔は「米国は訴訟社会で、すぐ訴えられるけど、日本はそうじゃない」とか
言われたものなんですけどね。やはり、これも都市伝説の一つだったか。
Re:日本だと (スコア:1)
いや, 訴えられるのが前提だから, そのための病院/医者向け訴訟・損害賠償保険が充実というか半ば義務化されているってだけでしょう. この保険費用をまかなうために医療費が高額になったり, 払いきれないために廃業したりということになっているみたいです. ちなみに特に高額といわれるカリフォルニアの医療訴訟保険の場合, 例えば分娩を行う産婦人科では保険費用が年間15万ドルからとか.
医療訴訟保険というとオフィス北極星 [zerodama.com]の「ドクター・アラモ」を思い出すけど, あれからも15年か.
Re:日本だと (スコア:1)
臨床研究と損害賠償保険といえば、日本でちょうど今問題になっています [tanaka.md]ね。
要は医師主導の臨床研究であっても損害賠償責任保険どころか無過失賠償保険への加入が義務付けられ、
そんなものを引き受ける損害保険会社が存在しないので、臨床研究自体ができなくなるのではないか、
ということです。多分親コメントのAC氏が指している「外したら死ぬのに試験をやめろと言われる」
人工心臓もそうですが、ESなんていかにも腫瘍(もちろん分化させてから入れるわけですが、
もし分化していないESが残っていれば奇形腫になりますよね)を作ってしまいそうなものの試験の保険、
誰も引き受けないのではないでしょうか。
#今時は多くの病院で職員に損害賠償責任保険への加入が義務付けられていると思います。
#某国のように狂った保険料ではないので、損保会社がかなり自腹を切っているという噂もあります。