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LHCのハードウェアのバグ、プリンストン大の学生が発見 42

ストーリー by mtakahas
反物質を大量に作るバグではありません 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

米プリンストン大学の4年生がCERN(欧州原子核研究機構)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)のハードウェア設計のバグを見つけたそうです(本家/.より)。

同大学の物理専攻のXiaohang Quanさんは卒業論文に取り組んでいた際、粒子加速器のハードウェア設計に計算ミスがあることを発見したという。卒論はLHCにおける様々な粒子の流れ(ジェット)の識別基準と、物理解析に最適なアルゴリズムに焦点をあてた研究だったとのこと。発見されたバグは像が二重に結ばれる原因となっており、修正されればジェット識別基準の絞り込みにかかる時間が短縮されるのではないかと見られている。

彼女は教授らとともにCERNの年次カンファレンスに出席し、ハードウェアの設計者たちとの話し合いにも参加したそうですが、カンファレンスでは学部の4年生であることに驚かれることが多かったそうです。

昨年9月に稼働を開始したものの、大量のヘリウム漏れによって稼働停止したLHC。その直接的な原因はハンダ付け不良だったそうですが、再開までの間にほかにもいろいろとバグが出てくるかもしれませんね。

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  • CMS (スコア:2, 興味深い)

    by altosax (19113) on 2009年03月26日 18時52分 (#1538577)

    という単語がここまでに一度も出てきていませんが、
    本家のタレコミ及びそこから辿れるソースによれば、
    バグが見つかったのはLHC(粒子加速器)そのものの設計ではなく、
    加速された粒子同士による衝突で起こった反応を調べるアルゴリズムです。

    「設計」ミスにより、LHC上に置かれた検出器の一つである
    CMS(Compact Muon Solenoid)において、
    ジェットが2重に検出されてしまう可能性がある、とあるので、
    信号を処理する段階のハードウェアでの
    FPGA上のロジックが間違っていた、とかそういう事ではないでしょうか。

    とりあえず、加速器と検出器は別物である、という
    タイトルとタレコミに対するいちゃもんでした。

  • by nagomi (35277) on 2009年03月26日 12時22分 (#1538255) 日記
     どんな分野にしろ、オーソリティへの傾倒はあるとは思いますが。

    ・純粋に誰も気付いてなかった
    ・気付いてたけど「いや自分の方が間違ってるのでは」と思ってた

     どっちなんだろう。
     正しいものであると前提して取っ掛かると、大コケすることが往々にしてありますが…。

    # 枯れたはずのライブラリに潜む虫
    • by nmaeda (5111) on 2009年03月26日 17時24分 (#1538545)

      >・気付いてたけど「いや自分の方が間違ってるのでは」と思ってた

      経験的に、ほとんどの場合はこれが正しいんだよね。問い合わせると大抵は恥を掻く。
      「~って、もしかして、チップのバグ?」って、設計者に訊くと「それはね、~」と教えられるんだよな。

      親コメント
      • それが恥だという発想が諸悪の根源だと思うんですが、どうでしょ?

        #「日本の学生はもっと質問というものを重要視したほうがいい」
        # とベトナムからの留学生がずっと言っているのでID

        親コメント
        • by nmaeda (5111) on 2009年03月27日 0時01分 (#1538745)

          問い合わせが恥だといってるわけじゃないよ。当然、知っているべきこと、理解していることや、経験からいって気が付くのが当然なことだから恥。
          そんなわけだから、「それはね、~」と子供に諭すように説明を受けるはめになる。

          日本人の羞恥心ってのは、学習意欲を維持するためにも意味があるよ。必ずしもマイナスではない。

          親コメント
        • by Anonymous Coward

          >それが恥だという発想が諸悪の根源だと思うんですが、どうでしょ?

          程度の問題でしょ。まったく恥だと思わないやつは反省もしないから同じ間違いを繰り返す。それはそれで駄目。

      • 定説になっていたので間違っていると思わなかった

      って話が「ご冗談でしょうファインマンさん」にありましたね.

      問題になるまで誰も確かめなかったので, そのうちに時間が経って定説になってしまい, いざ問題となった時にソースを調べなおしてみたらひどいものだったとか.

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2009年03月26日 13時38分 (#1538362)

      往々にして、巨大実験でも基礎設計はごく少数のチーム(下手すると個人)で担われています。
      やるべき事は山のようにあるので、勢いデバッグは後回しにされがちで、
      見た目に気づかない位小さなバグは実験が始まるまで気づかれないでしょう。

      特に今は大多数の物理屋は理想的な状態の、、
      架空の検出器(モンテカルロシミュレーション)を相手にしています。
      いきなり正解だけが出るようになっていたのだとしたら、多くの物理屋は
      データを見るまで問題の存在に気づかないでしょう。(宇宙線などはもう見ているはずですが)
      今回のバグがモンテカルロに反映されていたかはわかりませんが、
      ヒッグスだブラックホールだと騒いでいる今日この頃に
      きちんと基礎設計に着目したチームとこの学生に慧眼があったのだと思います。

      親コメント
    • 正しいものであると前提して取っ掛かると、

      「初心忘るべからず」の意味 [the-noh.com]とかですね、わかります。

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  • by Anonymous Coward on 2009年03月26日 11時07分 (#1538193)

    岡目八目。

    この学生が優秀なのは間違いないだろうけど
    「学部生如きに指摘される研究者ってどうよ」っていう批判は勘弁してやってくれ

    • by Anonymous Coward
      何人の研究者がデバッグしていたかにもよるんじゃない?
      • Re:デバッグは (スコア:3, すばらしい洞察)

        by greentea (17971) on 2009年03月26日 12時46分 (#1538287) 日記

        合ってるか間違ってるかにしか興味がない人には、バグは見えないのです。
        具体的にどのような処理をしているかに興味がある人には、バグは見えます。

        --
        1を聞いて0を知れ!
        親コメント
        • by Anonymous Coward

          一般的なプログラムでは「どのように動作するべきか」が決まった時点で「入力→期待される結果」が決まるので,(こう書くとかなり語弊があるが)テストしたりバグを見つけたりするのは簡単だよね.

          でも,この手の実験システムは「理論上,こういう現象が起きる/観測されるに違いない」ということを実際に確認するためのものなので,動作させても「『こういう結果が出るだろう』と予想しているのだが,違う結果が出る可能性もある」という条件だし,おそらく「いや,奴らの理論は違っていて,本当は~に違いない」とか別の説だってあったりするわ

      • Re:デバッグは (スコア:2, 参考になる)

        by okky (2487) on 2009年03月26日 11時54分 (#1538224) ホームページ 日記

        百人寄っても馬鹿は馬鹿。

        間違えるときは皆で同じように間違えるもんだ。
        そういう扱いをしなかったバグは発見されているだろう。

        基本的に「解決策を考える」場合には「三人よれば文殊の知恵」だが、「間違い探し」は単純に人数をかけても意外と発見数は増えない。特に専門が同じなら、同じようなポイントに着目しがちだ。するとその視点では発見しにくいバグに関しては、皆が皆、同じように馬鹿になる。

        --
        fjの教祖様
        親コメント
        • by Cappuccino (20281) on 2009年03月26日 13時39分 (#1538365)

          その領域外の人に見てもらうことで、意外と色々な間違いとかが見つかるってことはありますよね・・・。

          大学で研究してて、自分もよくそんなことがあります。

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            卑近な話でありますが、派遣で来てくれてるテスターさんは思いもよらない操作をしてくれて本当にありがたいことです。

          • by Anonymous Coward

            似たような体験は私もあります。
            「オッドマン仮説」ってのは、クライトンの創作だったんでしょうかね?

        • by Anonymous Coward

          > 特に専門が同じなら、同じようなポイントに着目しがちだ。

          LHCで装置に携わっている実験屋が「専門が同じ」なものばっかりだなんて思ってますか?そんなに素粒子の実験って特定のものしか関係ないような単純でしょうか。

          • by Anonymous Coward

            「専門が同じ」なのではなく「同じ領域の知識を有する」と読み替えてはどうでしょう。
            怖いものですよ、脳内補完は

        • by Anonymous Coward

          >百人寄っても馬鹿は馬鹿。

          99人が指摘していても、一人の馬鹿が「なかったこと|見なかったこと」にするのはよくあること。

      • by Anonymous Coward

        そもそも「最初から見ようとしない人間にはバグは解らん」ってのは、オプソ関連者の多いスラド的には常識だと思ったが。

        #「皆でソースを見ているから問題は少ない」ってのが実は・・・てのも、ねえ。

      • by Anonymous Coward

        ・作った人間は、最低限必要な試験のうち、簡単にできるいくつかしかしない。
        ・同じ箇所を複数の人間がチェックするなんてありえない。
        ・レビュー記録票だけ起こせば良いんでしょ?

  • by Anonymous Coward on 2009年03月26日 11時14分 (#1538202)
    設計の妥当性を再チェックする工程って用意してる?

    ハードウェア作ってる人達だとあるんだろうけど、
    小さいソフトウェア/サービスばかり相手にしてるせいか、
    そーゆー工程のある現場に入った事が無い。

    # で、後から「なんでこんな設計にしたんだー!」って
    • by Anonymous Coward

      全部終わってから設計のチェックってのはさすがに無駄が多いので、
      随時コードレビューとか、規模が小さければペアプロとかは結構してるんじゃないですかね。

      • by Anonymous Coward
        ここでの話はコード書く前のレビューではあるまいか?
  • by Anonymous Coward on 2009年03月26日 15時44分 (#1538485)
    ソースレビューしたのかと
  • by Anonymous Coward on 2009年03月26日 17時15分 (#1538534)

    危ない危ない。
    このまま実験を続けていたら、不測の事態 [engadget.com]が発生していたかもしれませんね。

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弘法筆を選ばず、アレゲはキーボードを選ぶ -- アレゲ研究家

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