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155407 story

米科学者、40,000世代以上に渡り大腸菌を研究 47

ストーリー by hylom
進化の仕組みを調べる 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

米ミシガン州の進化生物学者Richard Lenski氏は、21年に渡り40,000世代以上もの大腸菌を観察・研究しているそうだ。この研究は、突然変異や環境への適応といった進化を分析するもの(本家/.)。

研究によると、Lenski氏の大腸菌の初期の遺伝子変化は概ね適応の為のものであり、環境で生き延びやすくする為のものであったそうだ。大腸菌の環境への適応が落ち着いた後もゲノム進化は驚くほど一定の割合で続いていたとのこと。しかしある時から変異が増え、新しい動的関係が構築されたという。研究によると20,000世代までは45の遺伝子変異が発生したそうだが、26,000世代で代謝に関する遺伝子変異が発生すると遺伝子変異の発生率が急上昇、40,000世代には653もの遺伝子変異が発生していたとのこと。初期の遺伝子変異とは違い、後期はよりランダムでニュートラルな遺伝子変異が多くみられたそうだ。

また、氏の研究は進化的変化の種類や発生率の予測は豊富なデータ無しでは非常に難しいという事実も浮き彫りにしたとのことなお、この研究は科学誌Natureに掲載されている(論文要旨)。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • ばあちゃん曰く、「ばあちゃんのぬか漬けうまかろ? うちのぬか床は、ばあちゃんのひいひいばあちゃんの頃から大切に受け継いどるもんだからな」。

    # ぬか床育ち40,000代目だぞー。(・・) L.プランタルム

    江戸時代から「ランダムでニュートラルな遺伝子変異(=ぬか漬けの味の変化がない)」を維持してきたばあちゃんすげえ! …と言いたいところだけど、今回の研究では、ぬか漬けの味の違いに関与する乳酸菌の変化は(ぬか床環境が一定でも)予想外に複雑で、もしかしたら江戸時代と現代でぬか漬けの味が変わってしまっているかもしれない、ということなんでしょうか。
    大腸菌の結果を乳酸菌にそのまま当てはめてよいとして、ですが。

    • 乳酸菌はどうか知りませんが、パンの酵母については、ヨーロッパの酵母を日本に持ってきても、すぐに(遺伝子変異のせいかわかりませんが)日本の環境に順応してしまって、日本的になってしまう、という話を、パン会社の人から聞いたことがあります。

      でも、私の腸内最近は、1週間くらいでは順応してくれません。
      なので長めの海外出張では徐々に体調が崩れていきます、、、
      # 単に歳かも知れない

      親コメント
    • by Anonymous Coward
      ぬか漬けの味が変わると宇宙のほうそくがみだれてしまうため、乳酸菌の遺伝子は厳重に守られているという仮説を提唱してみます。
  • by Anonymous Coward on 2009年10月21日 17時03分 (#1657916)
    …だったらやだなぁ
  • ホモ・サピエンスは数千世代からいっていても一万世代くらいですよね。

    > 26,000世代で代謝に関する遺伝子変異が発生すると遺伝子変異の発生率が急上昇

    ミュータントかニュータイプが出始めるのはもうちょっと先かな。

    古○キャスターの様に地球温暖化が「大好き」な人にとっては、環境が大きく変わっている時期かもしれませんが。

    • 真核細胞にくらべて大腸菌のような原核細胞では遺伝子が世代交代を経ずに水平伝播する現象が知られているので世代数の割に変異は激しいと考えられます。
      (遺伝子の水平伝播[http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90%E3%81%AE%E6%B... [wikipedia.org]])
      ホモサピエンスは真核生物なので遺伝子は世代間の垂直伝播が圧倒的(水平伝搬の可能性は否定されていないが証拠は見つかっていない)ですから、
      より多くの世代が必要になるかもしれません。

      一方ミトコンドリアのような細胞内器官を持たない原核生物では呼吸能力の限界から細胞が大型化できず、
      その繁栄とは増殖速度が第一要因なので、複製に時間のかかる遺伝子を大きくしない/増やさないようにする強い選択圧力がかかっています。
      このため、獲得した機能を遺伝子として「貯め込む」傾向がある真核生物に比べ、獲得した機能を捨て去る速さもまた早いという特徴があります。
      この性質は逆に方向性のある長期的な進化を起こりにくくするでしょう。

      総合的に考えると
      短期的に環境適応するのは早いが、
      ある性質(「知性」とかw)に着目した場合、蓄積がないため方向が安定しないで行ったり戻ったりということになると思うので
      ホモサピエンスとの比較はなかなか難しいと思います。

      親コメント
      • ↑を書いている時に思った妄想なのですが、

        大腸菌は遺伝子の水平伝播時に異種の菌の遺伝情報も取り込みます。
        なのでこの実験では混ざらないように注意して純粋培養するわけですが、
        逆に大腸菌の生態としては異種の菌がいない純粋培養状態は凄まじく不自然な環境であるともいえます。
        (実際、/.Jの関連記事としてコメントで指摘があった[http://srad.jp/science/article.pl?sid=08/06/12/1132215 [srad.jp]]で上がっている変異は
        培地に含まれるクエン酸塩を代謝する形質というようにこの特殊な成育環境への適応だそうだし。)

        自然状態で異種の菌の遺伝情報が混じり、激しく変異しながらも大腸菌が大腸菌で居続けられるのはなぜか?と考えると
        何か大腸菌を大腸菌で居続けさせる、ある種のコアになる情報を保護修復し続ける
        何らかの仕組み(大腸菌内で閉じた仕組みではないかもしれない)があるのかもしれないという気もします。
        そしてもし仮に、その仕組みが大腸菌が他の菌と混じって生態系を作っていないとまともに機能しないような仕組みであったとすると
        隔離して世代が重なったときにある時点で壊れて「遺伝子変異の発生率が急上昇」→大腸菌としてのアイデンティティ崩壊(?)につながったりしないのかなと。

        (家畜との接触で様々な菌や寄生虫に晒され鍛えられることを前提として進化してきたヒト免疫系が、
        ヒトばかりで暮らす「純粋培養」的な現代の環境でアレルギーのような誤作動を起こすようなイメージ。)

        例えば、菌の遺伝子の数は非常に少なく、変異を獲得すると代わりに何かをさっさと失わない限りシビアに増殖速度に影響すると考えられます。
        しかし、純粋培養することで、遺伝情報が水平伝播で混ざって「汚染」される危険と共に他の菌との繁殖速度競争もなくなっています。
        さらに系統別に細かく分けたことで系統間の繁殖速度競争も少ない状況にはなってるでしょう。
        そうなるともしかすると遺伝子の数を小さく保つという圧力が小さくなってきたりはしないだろうか?ってな疑問もあります。
        そしてそれが長期的には繁殖速度の低下と呼吸効率の悪化を通じた「大腸菌一族の劣化」につながって来はしないだろうかと…。
        (そしてこの「小さく保つ」という圧力が長期にわたる大きな変化を難しくすることで大腸菌を大腸菌でいさせ続ける力になっているのかも?)

        とはいえ混ぜて飼えばその影響を分離するのが難しくなるわけで、「じゃ、どうしたらいいの?」と言われるとわからないですけどね。

        親コメント
    • 初期の遺伝子変化は概ね適応の為のものって書いてあるけど、
      研究初期の大腸菌も、それまでに何世代も経たものでしょうから、
      環境が変わり続ける限りは、その環境に適応するための変化しかできないってことじゃないですかね。
      --
      答えはある。それを見つける能力が無いだけだ。
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      > ミュータントかニュータイプが出始めるのは

      日本はもう出てるそうです [livedoor.biz]
  • 大腸菌に知性が芽生えるまでにはあと何世代必要なのでしょうか。

    --
    モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
    • by Anonymous Coward on 2009年10月21日 19時37分 (#1658004)

      ・生物には、親から子へ形質を伝える遺伝子が存在する。
      ・生物の種を隔てるのは主に遺伝子である。
      ・遺伝子の実体はDNA(ときどきRNA)である。
      ・DNA配列は交叉や放射線などの影響により変化する。

      ここまでは確認された事実。
      その上で、生物が種を超えて進化しないためには、DNA配列が種の範囲を逸脱しないよう制御する機構が必要。
      そんな仕組みが生物に内包されていないことは明白(原本があるならDNAはそもそも不要)。
      つまり、数え切れないほど存在する生物体全てに対して、外部からDNA配列に干渉できる力を有する存在が不可欠。

      そして、それを実行可能なのは、無数の触手を持つ我らがフライング・スパゲッティ・モンスター様 [wikipedia.org]以外にはあり得ないのである!
      数十億体程度の被造物すら管理できないYHWHごときには到底無理無理。
      わかったかね、えせID論者君。

      ラーメン。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        ツッコミどころを2点ほど指摘しておこう。

        公知されている通り、神様は人間が完成した後で7日目フェイズに入ったので
        その間ずっと休日だ。もちろん、便宜上「日」を割り当てているが、長さは24時間ではない。
        そして、管理できないのではなくて、管理任務を割り当てたのに裏切った挙句、
        一家を敵に売り飛ばして逃げた馬鹿がいるんだよ。

        わかったかね、知ったか君。

        • by Anonymous Coward
          ここで一言
          乳酸菌飲んでるぅ?
          • by Anonymous Coward

            これがID論者と水銀党員の長きにわたる確執のはじまりであった……

      • Re: (スコア:0, 荒らし)

        進化論者には茶化すことしかできないことはワカッタ。

        --
        モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
        • by Anonymous Coward

          君は論点をわかってないね。
          ID説は、「人知を超える力を持つインテリジェント・デザイナーとは何か?」という最大の問題を抜きに論じても意味がないのだよ。
          全知全能の存在は論理の特異点であり、その前にはどんな理屈も通用しない。
          数学ですら「○○がそう定めたから」という言葉の前には無力だ。

          「フライング・スパゲッティ・モンスター様こそがインテリジェント・デザイナーだ」とする私を、君は「えせ(ID論者)」と言いたいのだろう。
          しかし、そもそも君は「インテリジェント・デザイナーとは何か?」という点への意見を表明していない。
          だから君は「(えせID論)者」なのだ。
          そう呼ばれることが心外なのであれば、まずインテリジェント・デザイナーとは何かを明確にしたまえ。

          • by Anonymous Coward

            明らかに君は「えせID(論者)」に違いない。
            なぜなら、masakun [srad.jp]こそ、真のID論者だからだ。

            我々は、一介のAC論者に過ぎないのは、間違いのない事実なのである。

            ラーメン。

    • いや、実は、大腸菌の方が、人間より高度な知性を持ってるけど、人間が阿呆過ぎて、その事が判らないだけかも。

      親コメント
    • 知性を芽生えさせる方向に変異すると生存に有利な環境を構築し続ければ、
      1億年ぐらいでなんとかなるのでは?葉緑体やミトコンドリアを持つ生物と共生させて
      それらを取り込ませる、といった工夫をすれば、10年ぐらいで多細胞生物に進化したりして…。
      無理かな?
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      むしろ知性が芽生えなかったことの方を大々的に発表した方がファンダメンタリストどもが大喜びしただろうに。
    • そうすれば、荒っぽくでも、わかるんじゃね? その辺に詳しい人教えて!
  • by SteppingWind (2654) on 2009年10月21日 17時42分 (#1657950)

    さすがにこのレベルの実験は, 菱沼さんには無理だろう.

    • by simon (1336) on 2009年10月21日 21時47分 (#1658084)

      その昔、アウグスト・ヴァイスマンという科学者が
      「獲得形質(後天的に得た身体的特徴)は遺伝しない」
      ということを証明するために、22世代、1500匹以上のラットの尻尾を切断し続けるという実験をしたことがあります。
      尻尾を切られたラットから生まれてきたラットの尻尾はどれもちゃんとあったので
      「やっぱ獲得形質って遺伝しないんじゃね?」という結論が得られたそうであります。お疲れ様でした。

      むしろこういう根気のいる実験(根気しか要らない実験)は菱沼さんタイプのほうが向いてるんじゃないかな。

      親コメント
  • 関連ストーリー (スコア:1, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2009年10月21日 17時45分 (#1657954)
  • by Anonymous Coward on 2009年10月21日 22時19分 (#1658096)
    ランダムでニュートラルな遺伝子変異、と聞いて思い出しました。分子生物学ではもはや常識になっているようですが、マクロで見てもそうだったってことなのかな。
  • by Anonymous Coward on 2009年10月21日 22時38分 (#1658111)

    「物議をかもすぞー」とかいうネタ?

    くだらな過ぎるツッコミ故AC

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あつくて寝られない時はhackしろ! 386BSD(98)はそうやってつくられましたよ? -- あるハッカー

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