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原子力

福島原発の最大の教訓は「確率論に従うと失敗する」 190

ストーリー by hylom
米国でも話題に 部門より
eggy 曰く、

MITで原子力工学博士号も取得している経営コンサルタント大前研一氏が、福島原発事故から学ぶべき最大の教訓は「(災害に関しては)確率論に従うと失敗する」という点だと主張していると述べたことが本家/.で話題になっている(本家/.The Christian Science Monitor記事)。

確率論に基づいて原発事故の起きる可能性を予測すると、原発事故は「起こる可能性が極めて低い」、つまり「原子炉は安全だ」という結論に達してしまうことになり、事故に対する備えを欠いてしまうことになるという。

また原子炉を安全に閉鎖するための冷却方法については何通りか用意しておくべきとのこと。非常用電源設備として、ソーラーや風力、ガスタービン発電機、または天然ガススタンドなど、数カ所に分散させて配備する必要があり、ヒートシンクは従来の冷却水にのみ頼ることなく、空気や代替冷却水などの選択肢も用意しておく必要があるとのこと。福島原発事故の教訓から学ぶことなく、こうした対策を講じていない原子力発電所は「大惨事を呼び込んでいる」と締めくくっている。

ちなみに氏はかねてから同様の主張を行っている。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • ISO26262 (スコア:5, 参考になる)

    by apt (28270) on 2012年04月10日 8時08分 (#2132454) 日記

    ISO26262のASILも、そういう考え方ですね。

    従来はハザードを発生確率×被害の重大度で評価していたけれど、
    発生確率が低いものに対して無視されてしまうという問題が有ったので、
    ISO26262のASILの考え方ではハザードを「被害の深刻度」「発生頻度」「安全装置以外による回避容易性」の
    3つの要素からASILを4段階に規定して、それぞれに応じた評価や管理の方法が規定されています。

    • by OtakuMan (45130) on 2012年04月10日 8時24分 (#2132466) 日記

      パラメーターを増やしただけで、「発生頻度」が確率と同じ意味を指してる事には変わりない気がしますが。

      --
      通知の設定いじったから、ACだとコメントされても気づかない事が多いよ。あしからずw
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      • by digoh (17917) on 2012年04月10日 10時51分 (#2132606) 日記

        ストーリーは「判断基準に確率が含まれてたらダメだ」ではなく「発生頻度が低いというだけで無視しちゃダメだ」ですよ。
        ですから、確率が低くても対策が必要だというものをどうやったらピックアップできるか、という疑問に答えるためのパラメータ追加です。

        ただ「発生頻度って確率じゃん」ではなく、例えば
        「○○というケースが考えられるから□□の程度を拾えるパラメータが必要」とか
        「××というケースが考えられるから『回避容易性』はパラメータに含めるのは現実的ではない」とか
        そういう形の反論でないと。

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  • by NOBAX (21937) on 2012年04月10日 9時03分 (#2132492)
    原発は事故が起きないのかと問われたときに
    ある確率で起こりますと答えておけばよかったのに、
    原発に事故は起こりません、絶対安全ですと無謬論を
    展開してしまったのが間違いの元。

    その結果、事故対策やクライシス対応を検討しようとすると
    安全なのになぜ事故の心配をするのかと突っ込まれ、
    理論が破綻するのを恐れて、検討はおろか、
    考える事さえできなくなってしまった。

    >原発事故は「起こる可能性が極めて低い」、つまり「原子炉は安全だ」という結論

    そうではなくて、原子力発電を推進するという戦略が先にあって、そのためには「原発は安全」と
    言い切る必要があったということだ。
    • by Anonymous Coward on 2012年04月10日 10時27分 (#2132576)

      技術者がきちんと説明したところで、専門外の人間が勝手に安全神話に仕立て上げたりするからなあ…

      こういうリスクはありますが、それに対してこのような対策をとっているので安全です、と説明したとして
      (研究が進み)前提が変わってリスクがこのように増加したため、このような対策を追加で取ります、と言ったところで
      じゃあ前の説明は何だったんだ、安全じゃなかったのかけしからん、となるわけで

      リスク対策を正当に行っているので安全です→何があっても絶対に安全です、になるのはほぼ受け手側の責任

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      • つーか、安全神話と聞くと違和感がある。

        元々、原発は「壊れたら危険」ってのは、周知の事実だったんじゃないの?と思う。

        ところが、何故だか、やたらと「騙された」的な意見が出るわ出るわ(苦笑)

        ぶっちゃけ、アニメですら、こんな話 [project-railgun.net]を震災の一年以上も前にやってたわけだし。

        ああいう連中は、原発批判者への弾圧とか主張してもいますが、だったら、このアニメ発禁じゃんwwwと思ってみたりもする(苦笑)

        まぁ、このアニメに限らず、原発の危険性なんて、そこらじゅうで扱われてるし、学校でも教えてた筈だよなぁと。
        (娯楽作品では、最古はチャイナシンドロームあたりだっけ?)

        #要するに事故が怖くてファビョって冷静な判断力をなくしてるだけの連中が多すぎる。

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  • ファインマンはチャレンジャー事故の調査の際、エンジン技師にエンジンが原因で計画が未遂に終わる確率を聞いた所、1/200という人もいれば1/300という人もおり中には1/10万という人もいたそうだ。
    このような高価な機械の場合は確率を容易に導き出さすことはできないので技術上の判断でなされるが、技術上の判断で導き出された確率は、この通り人によって大きなギャップがあるのだ。
  • 確率論じゃダメとなると、必ず事故は起きるから対策しとけになると思うんだけど、どこまで対策すりゃ良いの?>大前さん

    そのさじ加減が難しいんだよな。こういう話聞くと、隕石落下まで考慮すんのか?とか、そういう台詞を吐きそうになるんだけどw

    安全対策をするなとは言わないが、「100%安全」を目指すと実用化出来なくなっちゃうんだよなぁ。原発に限らず、あらゆる物がさ。

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    • 大前さんは,冷却系を多重化すべき,と言ってますが
      多重化すると安全になるってのも,確率論に従っています.運が悪いと全部同時に故障する可能性があり,つまり失敗します.

      結局,大前さんは工学的な話(事故が起きたあとのコストと,事故を防ぐためのコストのトレードオフ等)と
      原発こわいという感情的な話をごちゃまぜにしているので,いつも胡散臭い話になっているのだと思います.

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    • 難しいところではあるんだけど,今回の原発を例に取れば,確かに多重化が少なすぎたと思う。
      要は確率論の使い方なのだと思う。
      確率論のマージンの範囲で「コスト」をとるのか「安全」をとるのかという話かと。
      こういう大規模プラントだと,数百億単位で違ってくるので,どうしてもコストを選択しがちだけど,
      多重化は3つでいいよね,というときに,念のため4つにしておこう,といったリスク管理は今後必要だと思います。
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      • by OtakuMan (45130) on 2012年04月10日 8時53分 (#2132487) 日記

        無理だと思いますけどね。

        こういう部分のコストをどこで回収するの?と真顔で質問したくなりますし。料金に反映させようにも、もう国民も賛同しないでしょう。
        安全は欲しいけど、金は出さない。でも、口は出す。こんなのばっかだし。

        つーか、原発の場合、元から反対運動が盛んで設備改善すら難しいから、旧式をそのまま運用してたんじゃないの?と言いたくなるんですけどねw

        --
        通知の設定いじったから、ACだとコメントされても気づかない事が多いよ。あしからずw
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        • はい,自分もムリだと思います。
          デカイプラントほど,
          ちょっとした対策で数十億,まともにやれば数百億,徹底すれば数千億になっちゃいますからね。

          ただ,真田さんまでは必要ないけども,
          安全へのマージンの取り方は見直していく必要があるんだろうな,とは感じています。
          たぶん,一番最低ランクの「ちょっとした対策」だけでも随分と違ってくると思うのですが。
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          • >たぶん,一番最低ランクの「ちょっとした対策」だけでも随分と違ってくると思うのですが。

            それはもう実施されてると思いますよ。小手先の改善じゃどうしようもない破壊的な災害で壊れたわけですし。

            もう最低ランクじゃ誰も納得しないでしょう。ところが皆さん、「人災だ人災だ」とあくまで最低ランクのように騒ぐんで違和感が拭えないんですよね。

            #まぁ、怒りの矛先を一番向けやすいのが人間であって、自然や技術では向けにくいし、気分も良くならないってのは分かるんですけどねw

            --
            通知の設定いじったから、ACだとコメントされても気づかない事が多いよ。あしからずw
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        • 安全性を担保したコストを回収できなくて採算が取れないなら建設しなければいいんですよ。
          コストを回収できないけど建設はしたいから採算が取れる所まで安全性を削る、っていうのが間違っているのであって。

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        • by Anonymous Coward on 2012年04月10日 9時07分 (#2132496)
          こういう部分のコストが原発の本当のコストだと思います。
          これを無視して火力に比べて低コストなんて間違っています。
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          • こういう部分のコストが原発の本当のコストだと思います。 これを無視して火力に比べて低コストなんて間違っています。

            実際のところ原発は税金バラまいて1kWhの原材料コストが安くなってるだけですし廃炉までのコストを考えると火力よりも割高になります

            電力会社はコストを高めた方が電気代も上げられるわけですから本当の意味でコストの安い提案をするインセンティブはありません
            それよりも、より税金が貰えるようにするのと電気料金を上げられる理由づくりの方へインセンティブが働くでしょう
            だから電力会社に決定させれば高コストになるわけで 原発は高コストなのですが
            それなのに金は確実に使えるけど安全には使わなかった という問題と思います
            これは確率というよりも倫理の欠如の問題でしょう
            重さ付けの係数の設定時点で作為が働くので時間の浪費にはなるでしょう でもその議論をする前にさっさと思いつくところだけでも安全対策させるべきかと

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        • by Anonymous Coward on 2012年04月10日 11時02分 (#2132626)

          > 元から反対運動が盛んで設備改善すら難しいから、旧式をそのまま運用してたんじゃないの?

          と言う印象操作が盛んですよね。
          福島第一の場合、地元でも7号炉8号炉の計画が承認されていましたが、
          その一方で1号炉2号炉の廃炉計画は具体化されていなかった事から、
          そんな事は嘘だと分かるはずなんですが…

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  • by Anonymous Coward on 2012年04月10日 8時31分 (#2132475)

    前提の見積もりが故意に歪められている とか
    予算(や損益分岐点)などのお金が決まっている とか

    前者はそもそもダメダメですが、
    お金を無限にかけられるとかじゃなければどこかで妥協しなければなりません。
    故障率だって0にできない以上確率で値踏みする以外ないんじゃないですかね?

    そして、確率は常にサイコロを振り直すので、0ではない、絶対はない。

    統計や確率を用いずにどうしろと。
    (評価する側は、恣意的に嘘や誇張誘導などを見ぬく力が必要)

    #最近首長が「絶対」発言を乱発しているけど、結構あれこれ誘致してるんだよなぁ。
    それらも(ハザードリスクに限らず)「絶対」大丈夫なんですかねぇ?

  • by SNLP (45144) on 2012年04月10日 10時32分 (#2132583)
    「確率論に従うと失敗する」をそのまま受け取ると
    実証を要するあらゆる学問は災害において当てにならないってことになりますね。
    これは皮肉ってるわけではなく
    わざわざ確率論をやり玉に挙げていることから、大前氏には科学哲学における推論の問題が念頭にある気がします。

    「確率的に極めて低いから安全」は実証主義的な考えが過剰に行き過ぎた結果ではないか(もはや実証主義ですらない)
    統計的検定をする前後の、論考を積み重ねる過程が疎かになっているのではないか
    という主張が背景にあるんじゃないかと。

    確か、今の学問が実証主義的な方向に偏り過ぎているという批判は一般論としてありますよね。
    昨今の構造力学は胡散臭いから
    いつ建物が壊れてもおかしくないと微積の講義で言われたことあったなあ。

    # うちゅうのほうそくがみだれる!
  • 安全性を犠牲にしても稼働させたい場所となると、宇宙空間とか深海とか、代替手段が無い場所のみと言う認識でいいのかしらん。
    • その場合は、まず最初に「そんな場所に行くな」と一喝されて終わるかと?

      #思えば、「さよならジュピター」のジュピター教団とか、それを地で行く連中だったなぁ。

      --
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  • 確率論に基づいて原発事故の起きる可能性を予測すると、原発事故は「起こる可能性が極めて低い」、つまり「原子炉は安全だ」という結論に達してしまうことになり

    普通は、「起こる可能性が極めて低い」と云う結果を出した計算方法が適切じゃなかった、と思うもんじゃねーだろーか??

  • by Anonymous Coward on 2012年04月10日 8時16分 (#2132459)

    問題は、その手の主張が無視されることだよね。

  • by Anonymous Coward on 2012年04月10日 8時19分 (#2132462)

    絶対に安全基準にコストかけたくないという指針なんだから
    まったく確率論じゃない。
    人の意向が入っているからね。

  • リーマンショックとかと同じだなーと感じます。

    【ブラック・スワン ―不確実性とリスクの本質】
    を思い出すと、登場人物の立場が違うだけで同じだなと・・・

    片や金融のプロ、片や原子力のプロ。
    同じ人間だから仕方無いですかね。
  • by Anonymous Coward on 2012年04月10日 9時17分 (#2132504)

    確率論を展開する根拠となる数字(確率)自身が正しいって本当かな?
    確率論を有利に展開するために都合のいい数字を提示され、それについて論じても意味がないような・・・

    逆を言えば前提となる数値(確率)を操作しちゃえば、結果をそうにでも操作できちゃうと思うんだが?

    • 提示された確率が正しくない可能性はあります。
      しかし、その根拠なり何なりの資料があった場合、それを見る人が妥当性を判断することができます。
      (仮に「根拠はないけど感覚的に20%くらいと考えて」という形で決められたものであったとしても、その情報があると無いとでは妥当性判断が変わってきます)
      ですので、単に「確率って信用できないよね!」ではなく、「根拠を示し、記録し、開示し、監査を受ける」という仕組みを同時に求める必要があります。

      ……が、それは確率って道具を使おうが使うまいが同じこと。
      数字が信用できるできないは他のレイヤーで確認し、その数字を元にした結論の妥当性は一応その数字は正しいとみなして考える、としないと。

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吾輩はリファレンスである。名前はまだ無い -- perlの中の人

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