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教育

Predatory Journals対策 37

ストーリー by hylom
たびたび話題になるやつ 部門より
minato_nakazawa曰く、

メールチェックしたら、American Journal of Nursing Science(http://www.nursingscience.net)というところから、Nurse Education Todayに載った論文を読んでオファーするのだが我が誌で特別号のエディタやりませんか、というメールが入っていた。

こういうオファーは大抵、いわゆるpredator journalからのセールスなので無視するが、看護分野では、三重大学の谷村さんが書いている(本文pdfは、リンク先の「機関リポジトリ」からダウンロードできる)ように、INANEというホワイトリスト(ここに載っていれば信頼できる雑誌であるというリスト)が存在し、Aで始まるジャーナルの中にAmerican Journal of Nursing Scienceはなかったので、信頼できるとはいえないようだ。

Journal Citation Reports(JCR)に載っていてImpact Factor(IF)が付いているような雑誌ならまず安心だが、IFが付くかどうかは、有力な出版社から出ているかとか、米国図書館業界との付き合いがあるかといったことと関係があり、日本熱帯医学会の英文誌も長年努力を続けて、漸く候補に入れて貰えるようになった(まだIFは付いていない)くらいハードルが高いものなので、IFが付いていないとダメだという判断はできない。学問の分野によっては、トップジャーナルでもIFが付いていない場合もあるので、ホワイトリスト方式には限界がある。

日本では通称ハゲタカジャーナルと呼ばれたpredatory journalsとは、peer reviewedのまともな学術雑誌のような体裁をとりながらも、内容はほぼチェックされずに高額な掲載料を著者から得ることでビジネスモデルが成立している雑誌群のことで、ほぼそれだけを狙って作られたような出版社さえ存在する。とくにオンラインのみのOPEN ACCESSをうたうものに多い。米国の図書館学芸員というか司書というべきか、ともかくlibrarianなJeffrey Beallがそれらのビジネスの興隆を指摘しブラックリストを作って公開した(経緯は国立国会図書館のCurrent Awareness Portal記事参照)ことで世の中に知られるようになった。カウンターアクションがあったり、いろいろ揉めたりしたことが原因か、2017年にBeall自身が作っていたリストやコロラド大学のBeallのページは消滅したが、Beall's Listなど、後継的なプロジェクトは存在する。5月1日付けのTHE SCHOLARLY Kitchenの記事Cabell’s Predatory Journal Blacklist: An Updated Reviewに紹介されているCabellのブラックリストは、矛盾も含んでいたBeallのリストを置き換える目的で作られたものとのこと。

おそらく、ホワイトリストに見つけられなかった場合は、これらの複数のブラックリストをチェックして、怪しくないかを確認するというのが、現実的な対策だと思う。

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  • 未だに有名な論文集に載る載らないで争ってるとか、学者と利権屋はやってることおかしいのでは?

    • by Anonymous Coward

      そもそも肝心の査読結果が非公表だよな。
      文献からの引用の適切さの論評とか、先行研究との関係とか、
      追試して報告結果の比較とかのまとめをつけるようにすれば、
      一流とそれ以外の違いがはっきりつくのでは。

      初稿と査読後の最終稿を両掲載するだけでも、査読の適切さが明白になる。
      そういった工夫が必要だと思う。

    • by Anonymous Coward

      幾らネットが発達しようが研究者が使える時間は有限なので自分に関係しそうな論文を全て読んではいられない。絞り込む必要がある、有名な論文集とはその取捨選択のフィルタ。
      査読に対して争うという言葉が適切かどうかは別だが、そういう手間暇がフィルタの役目をしている。有名な論文集に発表の場を借りるというのは、アニメのキャラクタの版権を借りるようなものとは違うよ。

  • 経済学部で経済学者を雇用するときには当該分野の知見のある人が業績を見れば判断する事ができます。
    しかし、学際系学部や教養科目担当教員としてを採用する場合に、経済学や、募集対象となる経済学の特定の分野について業績を判断する知見を持つ者がいないにもかかわらず、業績評価を行わなければならない場合があるでしょう
    経済学ではかなり時間をかけて査読をする慣行があるためか、論文の評価と雑誌の評価には強い相関があります。

    経済学には査読付き学術誌のかなり長いリストが公表されており、非専門の人が業績比較をするときに、かなり良い参考になると思います。
    https://ideas.repec.org/top/top.journals.simple.html [repec.org]

    ここに載っている雑誌に一本も論文が無い人(竹中平蔵とか森永卓郎とか)は、経済学者としての評価は0だと思って差し支えないです。また、准教授・教授などの役職に有りながら100位以下の雑誌にしか出版が無い人(私もそうです)も、有象無象と呼んで差し支えないです。

  • by Anonymous Coward on 2019年05月07日 12時37分 (#3610450)

    もう古いのではという気がするけどな。
    出版してもらうということ自体にはもうほとんど価値がなく、
    本当に価値があるのはきちんとレビューしてもらうことだという
    認識の変化が必要なんじゃないのかな。

    • by Anonymous Coward

      ぬるいな。
      ハゲタカジャーナルに載せたら評判が落ちる。
      ぐらいまでもってかないと。

      • by Anonymous Coward

        そもそもホワイトリストの学術誌に投稿すればいいんじゃない。

        #ん?チャレンジしたい。まあがんばれ!

    • by Anonymous Coward

      オリジナルは英語の和訳文を読んでいて、「出版」と書かれていると違和感感じることが多いですよね。

      「第三者のレビューを通ったうえでの公表」を示す良い日本語が無いものか。

      • by Anonymous Coward

        >「第三者のレビューを通ったうえでの公表」

        「忖度」はどう?

        • by Anonymous Coward

          「忖度」とか「空気を読む」ってのは一方向であって、コミュニケーションではない。
          「自分は空気を読むのが得意」なんて言うのは、私はコミュ障だと言ってるのといっしょ。
          ピアレビューは少なくとも一往復するわけで、さらに論文が公表されてからまだ先がある。

    • by Anonymous Coward

      個々の研究成果を投稿する事自体ではなく、それが投稿者の人的評価の材料として使われる点が、この問題の要点なのでは?
      研究業績評価や大学の格付けを、論文の本数でそれを評価する場面があって、predatory journalまみれになればその評価の信頼性が落ちるって話。

      だから、それらの評価からpredatory journalを外すような仕組みが求められている。

      • by Anonymous Coward on 2019年05月09日 13時20分 (#3611626)

        研究業績の評価が難しいという問題に行き着くわけでしょう。
        今のところその分野の専門家によるピアレビューが最も正確な評価の方法なんだけど、
        ピアレビューに対価が払われるわけでもなければ、たくさんレビューしたことが業績として認められるわけでもない。
        論文をダウンロードするときに払う料金は出版社に行くわけだけど、そこがおかしいんじゃないか。
        ピアレビューに対して料金を払うべきだし、通った論文にはレビューアもクレジットされるべきだ。

        それから、本当にその分野の専門家が読んでるのかということもちゃんとチェックされてない。
        科研の審査なんて読んでるのド素人でしょ。
        そんなのに実現するかもわからない「研究計画」を読ませるより
        過去の研究がちゃんとしたジャーナルに通ってるか見るだけのほうがずっとましだ。

        親コメント
  • by Anonymous Coward on 2019年05月09日 7時19分 (#3611480)

    これ、minato_nakazawa氏が日記を誤ってタレコミにしてしまったものだと思われます。

    Predatory Journals対策 | スラド Submission
    https://srad.jp/submission/82038/ [srad.jp]

    その前のタレコミも多分そう。
    井戸書店での松宮宏『アンフォゲッタブル』発刊記念トーク&ジャズの夜参加レポ | スラド Submission
    https://srad.jp/submission/82035/ [srad.jp]

    minato_nakazawaのページ | スラド
    https://srad.jp/~minato_nakazawa [srad.jp]

    • by Anonymous Coward

      日記かよと思ったらほんとに日記だったとは...

    • by Anonymous Coward

      ダイアリーおざなりージャーナル

    • by Anonymous Coward

      誤ってじゃなくてね、日記を書くときに同時にタレコミもできるんですよ

      • by Anonymous Coward

        ここはお前の日記帳なんだよ ってことですか。
        スラド以外の場所なら、「ここはお前の日記帳じゃねえんだ。スラドにでも書いてろ」って言えばいいのかな。

      • by Anonymous Coward
        タレコミにするかどうかはチェックボックスで選べます。
        ただ、内容的にタレコミではなさそうなので、誤ってチェックを入れてしまったのではないか、ということでは。
        • by Anonymous Coward

          ていうか、ほとんどの人はデフォルトで日記をたれ込んでる形になってるじゃないか
          問題はコメント通知のメールが山ほど飛んでくるぐらいじゃない

  • by Anonymous Coward on 2019年05月09日 7時38分 (#3611488)

    科学のパラダイムは、主流からではなく、周辺や他分野から現れる。メインストリームだけを認め、周辺を排除するのは、パラダイムの変化を拒否することになる。いつまで経っても19世紀から科学が進歩しないわけだ。

    地球の自転、重力、磁場も説明できない科学ってなんだろう?

    • 最近、歴史学に対して小説家が言ったような意見だ。

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2019年05月09日 11時11分 (#3611562)

      「ハゲタカジャーナルを排除したい」は「メインストリームだけを認め、周辺を排除したい」ではありません。
      ハゲタカジャーナルが不当なのは、偽物の権威を、金で売っているからです。そして買った連中が、その偽物を使って人を騙したりするからです。

      何かの原因を説明するのに現代の科学を超えた理屈を使うのはありだとしても、その理屈を偽物の権威で補強するって、やっぱり騙す気でしょ?

      実際にはトンデモ理論とかインチキ商品とかより、成果物の足りない研究者のチートツールかと思われますが、チートプレイヤーが居ると真っ当なプレイヤー(メインストリームでも周辺でも真っ当にやっている研究者)側からみると迷惑なんですよ。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        学会・論文を名乗るのは自由なので
        「ジャーナルに採録された」だけでは権威になりません。
        無い権威をあるかのように捏造しているのは
        元コメントの#3611562。

        ある学会においては「査読付き論文誌に採録されたこと」に実態がともなっていて
        権威として扱われているのかもしれないけど
        その学会に閉じてやってればいいことです。

        • by Anonymous Coward

          「権威なりません」っていうのは一体どこから見た視点での話なんでしょう?

    • by Anonymous Coward

      これから研究できる分野がまだまだたくさんあるということでしょう?
      全てが解明できていなければ科学に価値はないとでもいうのでしょうか。
      それこそ(研究することがなくなったので)進歩しない科学なのでは。

    • by Anonymous Coward

      自分ができないことを他人に求めてしまう人ってなんだろう?

    • by Anonymous Coward

      それ(説明しようとする行為)が科学ですよ。
      説明できるかできないかと言ったら、説明できないが正しい。
      説明済みという状態が無いのが科学。

      それゆえに過去において正しいとされた事象が否定されることもあれば
      間違っているとされた事が正しいとされることもある。(黒い白鳥とかいろいろ)

  • by Anonymous Coward on 2019年05月09日 16時42分 (#3611742)

    査読は読者のためにあるという立場です。
    同じ内容を二度読まされるのは退屈だから。
    この立場だとそこまで厳密にやらなくていいじゃない。
    査読するのも学会員=自分たちなので手間をかけたくないし。

    一方で査読付き論文を何本通したかで
    研究者の業績を評価しようとする人がいるのも知っています。
    インパクトファクターを重視する人とか
    今回のような査読に通りやすい論文誌が存在することを批判する人とかね。

    アカポスに就職するのに論文の数を求められることもあるようですが
    人事の根拠としうるくらいちゃんと査読をやってる?
    学生時代に教授が査読するのを見たけど1本当たり15分もかけてなかった。
    しかも下読みを学生にやらせる。
    査読者をシステマチックに養成する過程がないから
    徒弟制っぽくやってるのが現状です。

    査読の質も
    査読者の質も担保されていないのに
    「論文誌に採録された」というのを信頼できる指標であるかのように扱うのがおかしい。

    採録されなかったから文句をいうならまだしも
    過剰に採録される分には「論文を読んでよ」で済むはずでしょう。

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吾輩はリファレンスである。名前はまだ無い -- perlの中の人

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