67年前に予言された『パインズの悪魔』を観測、京大チーム 22
ストーリー by nagazou
観測 部門より
観測 部門より
京都大学の前野悦輝教授とピーター・アバモンテ教授らの研究グループは10日、米国の理論物理学者デイヴィッド・パインズが1956年に提唱した「特異な電子の運動をになう粒子」、通称「パインズの悪魔」の存在が、予言から67年後になってついに確認されたと発表した。新しい手法を用いてストロンチウム・ルテニウム酸化物内で「悪魔」の振る舞いを直接観測したとされる。この成果は8月10日に国際学術誌「Nature」に掲載されている(nature、京都大学、ASCII.jp、ニューズウィーク日本版、リセマム)。
パインズ博士は、電子が特異な振る舞いをし、新しい粒子「悪魔(DEM-on)」を形成する可能性を示唆していたがこれまで観測されていなかった。研究グループは、ストロンチウム・ルテニウム酸化物(Sr2RuO4)の結晶を用いて新しい手法で観測を行い、長波長でギャップのない、バンド間の電子占有数の振動として「パインズの悪魔」を解釈した。これは、パインズの「DEM-on」として知られるモードの初めての観測であり、新しい量子物質の特性の解明につながる可能性を秘めているとしている。
パインズ博士は、電子が特異な振る舞いをし、新しい粒子「悪魔(DEM-on)」を形成する可能性を示唆していたがこれまで観測されていなかった。研究グループは、ストロンチウム・ルテニウム酸化物(Sr2RuO4)の結晶を用いて新しい手法で観測を行い、長波長でギャップのない、バンド間の電子占有数の振動として「パインズの悪魔」を解釈した。これは、パインズの「DEM-on」として知られるモードの初めての観測であり、新しい量子物質の特性の解明につながる可能性を秘めているとしている。
バルクプラズモンとパインズデーモン (スコア:3)
SPAM判定でタレ込み出来なかった日記から抄録。よく分からん。
1956年にDavid Pinesが理論的に予言した、いわゆる「パインズの悪魔」(Pines' demon)が観測されたらしい。通常、電子は質量と電荷を持つが、電子が結合して、質量がなく、電気的に中性で、光と相互作用しない複合粒子を形成できるといい、この新しい粒子は「特異な電子の運動をになう粒子」という言葉(Distinct Electron Motion+on)の頭文字をとって「DEM-on」と名付けられた。
件のストロンチウム・ルテニウム酸化物(Sr2RuO4)は、前野教授(京都大学高等研究院 豊田理研・京大連携拠点)らによって約30年前に発見された超伝導物質だが、その超伝導性には謎が多かった。そこで「運動量分解電子エネルギー損失分光(M-EELS)」と呼ばれる手法で新たな励起モードを観測。同モードのギャップレスの振る舞いや、強度の運動量依存性、臨界運動量などから、観測された状態が「パインズの悪魔」であると確認できたという(MIT TechnologyReview [technologyreview.jp])。よく知られたプラズモンと異なり長波長であり、電子密度の振動ではなくバンド間の電子占拠数の振動である。
この研究が注目されたのは、高温超伝導などで重要な役割を果たしているのではないか、また他のマルチバンド金属でも広く存在すると期待されることらしい。
Re:バルクプラズモンとパインズデーモン (スコア:1)
ナゾロジーの記事が一番分かりやすかった。
https://nazology.net/archives/131715 [nazology.net]
準粒子という、電子の海の波紋のようなものの性質であるとのこと。
なるほどわからん…w
それでも一読をお勧め。なんとなくだが分かった気になったよ。
Re: (スコア:0)
うむむむむ、説明されてもさっぱりイメージがわかないなあ
質量と-電荷を持った電子が結合したとして、なぜ質量0、電気的に中性になってしまうのか?
電気的に中性なのになぜ超伝導のカギになるのか?
Re:バルクプラズモンとパインズデーモン (スコア:3, 参考になる)
>質量と-電荷を持った電子が結合したとして、なぜ質量0、電気的に中性になってしまうのか?
電子の電荷がゼロになったり,ではなく,集団での励起状態の電荷がゼロ,と思うとわかりやすいかもしれません.
以下,ちょっと正確ではない話にはなりますが……
今回の例(などのPines' demon)では,異なる2つのバンドが存在し,しかも両者が独立であるような金属を考えます.妥当かどうかわかりませんが,原子のs軌道由来のバンドとd軌道由来のバンドが存在して,両者が混合せず独立に存在しているような場合です.
いま,原子が1列に並んでいる状況を考えます.
-〇-〇-〇-〇-〇-〇-〇-〇-〇-〇-〇-
ここで,s軌道由来のバンドに電子が入っているわけですが,最初の状態としては(均一な一次元鎖なので)全原子に同じような電荷密度で電子が入っていると考えるのが自然でしょう.同様に,d軌道由来のバンドにも均一に電子が入っているとしましょう.
s軌道由来のバンド:-●-●-●-●-●-●-●-●-●-●-
d軌道由来のバンド:-●-●-●-●-●-●-●-●-●-●-
ここで,ある種の励起状態として,「s軌道由来のバンドでは,奇数番目の原子上に電子が寄ってきて,d軌道由来のバンドでは逆に偶数番目の原子上に電子が集まる」というようなものを考えることができます.
s軌道由来のバンド:-●-〇-●-〇-●-〇-●-〇-●-〇-
d軌道由来のバンド:-〇-●-〇-●-〇-●-〇-●-〇-●-
この時の「電子の分布の,もともとの状態からのズレ」,もうちょっと具体的に言うと「奇数番目の原子上でs軌道の電子の密度を上げ&d軌道の電子の密度を下げ,偶数番目の原子上でs軌道の電子の密度を下げ&d軌道の電子の密度を上げ」るという「ズレかた」を「新しい粒子」とみなすことができます.
この新しい粒子がゼロ個の状態 → 全原子上でs軌道由来のバンドの電子密度が均一
この新しい粒子が1個の状態 → 奇数番原子でs軌道由来のバンドの電子密度+0.1,偶数番原子でs軌道由来のバンドの電子密度-0.1
この新しい粒子が2個の状態 → 奇数番原子でs軌道由来のバンドの電子密度+0.2,偶数番原子でs軌道由来のバンドの電子密度-0.2
(同様に,d軌道由来のバンドでも電子密度が対応して増減)
というような感じです.
では,この「粒子」の「電荷」はいくつでしょうか?
この「粒子」が増えても,原子上の電荷の量は変わりません.ある原子上ではsバンドの電子が増えるものの代わりにdバンドの電子が減るのでプラマイゼロ,別の原子上では逆にsバンドの電子が減るがdバンドの電子が増えるのでやっぱりプラマイゼロになるためです.
相変わらず「電子」は電荷を持っていますが,この「電子の分布の変化を粒子とみなしたもの」は,増えたり移動したりしても電荷の分布に何も影響を与えないわけですから,電荷を持たない粒子である,といえます.
質量に関しては,この励起を起こすのに必要な最低エネルギーがあるかどうか,という話になりますが,準粒子ではしばしば質量ゼロの準粒子=ギャップレスな励起(最小の励起に必要なエネルギーが無限小)の準粒子が生じます.
例えば原子の集団振動を粒子とみなしたフォノンとか,磁性体におけるスピンの揺らぎを粒子とみなしたマグノンなどちょくちょく質量ゼロの準粒子が生じます.
なお,質量ゼロというのは,無限に小さい力でとんでもない速度に加速できる,というよなことを意味するわけではありません.
Re: (スコア:0)
> 相変わらず「電子」は電荷を持っていますが,この「電子の分布の変化を粒子とみなしたもの」は,増えたり移動したりしても電荷の分布に何も影響を与えないわけですから,電荷を持たない粒子である,といえます.
系の状態(の変化)を、あたかも実体のある粒子のように見なして計算することができる、ですね。「粒子」というと読者はどうしても実体的なモノをイメージしてしまいますが。
準粒子
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%96%E7%B2%92%E5%AD%90 [wikipedia.org]
Re: (スコア:0)
量子力学的には電子は波動性を持つ。そこで複数の電子の波がうまく逆位相になるように組み合わせることができれば、打ち消し合って質量も電荷も観測されなくなる、らしい
悪魔は飽きたので (スコア:0)
次ににつけるときは◯◯の天使かお守りにしてください
Re: (スコア:0)
パイ○○の天使?
おじさんのエッチ!!
Re: (スコア:0)
アンコンシャスバイアス掛けすぎですよ
おじさんとは限らないと思います
Re: (スコア:0)
お爺さんだよね、もうわたしたちは
Re: (スコア:0)
おばあさんでした
Re: (スコア:0)
プリズムやホログラムが関わる現象だと◯◯のヘッドになるのかな
Re: (スコア:0)
一旦~の天使って付けても、また~の悪魔に戻ってくるよ。
天使ってすぐ悪魔になるからな。。
Re: (スコア:0)
悪魔になった天使は多数存在するけど、天使になったのはワンダー(シヴァ)マリアとゴーストアリババぐらい?
Re: (スコア:0)
DAEM-on?
Re: (スコア:0)
それがどうしたぼくDoraEM-on
Re: (スコア:0)
そんなあなたに
https://news.yahoo.co.jp/articles/bd89ddf2f189f7c0ee33e44606acc8b4296a3b51 [yahoo.co.jp]
超伝導 (スコア:0)
超伝導とからめて報道しているところもありますね(本当に理論的に結びつくのだろうか?)
Re: (スコア:0)
超伝導中の電子の動きは分からんことだらけだそうなので、一つ検証する手段が増えたってことじゃないかな。
そもそも、固体中の電子の振る舞いは複雑怪奇だそうで。
量子的に広がってる電子の雲の広がりが重なりあって「場」みたいになってるみたいね。
その場に出来る疑似粒子がパインズの悪魔みたいなモノなのだろうな。
疑似粒子なので質量・電荷ゼロで電磁波と相互作用しない、ってこともあり得るのだろう。
今回の話、最初は通常空間(≒真空)での粒子の話かと思ったので意味が分からなかった…。
Re: (スコア:0)
超電導も特異な電子の動きで起こることがわかっているのですが、
超伝導の特異な運きがパインズの悪魔と関係ない別のなにかに起因すると仮定するのは『お作法違反』なんです。仮定は最小に。
研究が進んだ結果、パインズの悪魔では説明できないとはっきりしたら、超電導の電子の動きを起こす何かが存在するはずだとされるかもしれません。
Re: (スコア:0)
LK-99の方にも書きましたけど、前野教授は超電導の方の人なんで、そっち系であることは間違いないんではないかと。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E9%87%8E%E6%82%A6%E8%BC%9D [wikipedia.org]
Re: (スコア:0)
超伝導とからめて報道しているところもありますね(本当に理論的に結びつくのだろうか?)
ですの(違