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体細胞から“安全な”幹細胞を作成 12
遺伝子操作技術の進歩、続く 部門より
ハーバード大学とマサチューセッツ総合病院の研究グループが、体細胞からガン化するおそれのない「安全な」幹細胞を作成することに成功した(Technology Reviewの記事、サイエンスに発表された論文)。
昨年、体細胞からの幹細胞作成に成功したことを京大とウィスコンシン大の研究グループがそれぞれ同時期に発表しているが、このときの方法で得られた幹細胞にはガン化するおそれがあることが知られている。今回発表された方法では、遺伝子操作にレトロウイルスではなくアデノウイルスを使うことでガン化を防いでいるという。
レトロウイルスはホスト細胞に完全に同化してしまうため、得られた幹細胞はウイルスを内包したまま増殖する。一方、アデノウイルスはホスト細胞に一時的に感染して遺伝子変換を行うものの、その後同化することなく消滅する。これにより、患者の体細胞からアデノウイルスを使って作られた幹細胞は拒絶反応を伴わずに移植することができるそうだ。
(つづく...)
また、あるAnonymous Coward 曰く、
iPS細胞は日本で特に有名な、胚細胞からでなく体細胞から作られる幹細胞だが、従来、その作成にはウィルスを使うため、癌などの発生への懸念から再生医療などの臨床応用へつなげるにはあと一歩といわれてきた。
タレコミ人は専門外なので専門家の方に確認して欲しいのだが、この研究についてのWiredの解説記事によれば、アデノウィルスという、細胞のDNAに遺伝子を導入しない種類のウィルスを使って、マウスの皮膚細胞にリプログラムたんぱく質を導入することにより、この細胞をiPS細胞にすることに成功したという。
この細胞から仔マウスを作ることにも成功したとWiredの記事には書いてあるが、これがクローンなのか、精子と卵子の細胞から作ったのかは読み取れなかった。これらの仔マウスは4ヶ月にわたって癌にならなかったという。
Life hack (スコア:3, 参考になる)
レトロウィルスとはRNAを持っているウィルスのうち、それをDNAに変換して宿主の遺伝子に紛れ込ませるという行儀の悪いプログラムで、アデノウィルスはDNAを持った普通のウィルスです。どっちにしても研究者は、ウィルスに便乗して、細胞になにがしかのタンパクを作らせたいわけです。
まとめると、この研究は、今までAdmin権限でやっていたことをPower Users権限でもできました、安全でしょ?ということだと思います。
Re:Life hack (スコア:1)
レトロウィルスは、DNAモジュールにパッチを当てて改変したDNAを作り、目的のタンパクを作らせるのに対して、
アデノウィルスは、DNAモジュールからフックさせて、目的のタンパクを作らせる
ってこと?フックだから、アデノウィルスを除去すれば元に戻ると。
Re:Life hack (スコア:1)
自己臓器移植の実現に近づいた? (スコア:1)
自分の細胞から、臓器を製作して移植できるようになれば、多くの人にとって希望になると思います。
実用できたら、今度は普及のためにコスト低減が目標になるでしょうね。
・・・でも、臓器製作とかできるようになったら、人体改造にはしる人も出てくるでしょうねぇ。
本来の心臓よりも強化された心臓を創って交換してみるとか・・・。
で、技術が進むと、完全な性転換もできるようになるかも。
Re:自己臓器移植の実現に近づいた? (スコア:1)
Re: (スコア:0)
それが本当なら、ホルモンを調整して自分の細胞から本来の性別でない生殖器を形成とか、出来るようになるのかな?
仮性半陰陽 (スコア:1)
いつだったか「世界丸見え」で人体改造にいそしむ人たちの番組を取り上げていましたが、そのうち種の壁も飛び越えたいと願う人も出てきて、それを技術の進歩がかなえてしまうのではとも感じました。
・・・猫耳とかしっぽとかは、形だけならできそうな気が・・・・。
従来の方法と比べて安全ではあるけれど (スコア:0)
# マウスはクローンだと思われます。精子卵子だと間に他の因子の影響をより受けやすくなるので
自然状態でどうやって世代を越えていくDNAが癌化しないように保存されているのか未だに謎ですね。
...選別品みたいな気もするんだけどさ。
Re:従来の方法と比べて安全ではあるけれど (スコア:4, 参考になる)
今回の研究で最大の問題はadeno-iPS作成の効率が「非常に」悪いということです.
論文のTable 1から引用すると,4系列の細胞からadeno-iPSを作製していますが,
その効率は0.0001%以下から高くても0.0012%です.
ということは元の細胞が100万以上必要で,京大の方法とは桁が違い過ぎます.
アデノウイルスを使ったiPS作成は他の研究室もやっていたはずですが,このグループ
が成功した理由は,あきらめず,粘り強く,大量の細胞を使って選別したことによると
思われます.
今回作製したマウス系列はノックアウトマウスを作製するのと同じようにadeno-iPSを
マウスの胚に注入してキメラマウスを作製し,キメラマウス同士を掛け合わせて
adno-iPSのゲノムだけをもつマウスを作製したものです(元の細胞がどちらかは毛の色で判定).
kaho
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
これはSCNTしないで皮膚細胞からクローンが作れたということでしょうか。それ自体新しいんじゃないですか?