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バイオテック

睾丸から万能細胞 39

ストーリー by hylom
男に生まれて良かった 部門より

hide.jikyll 曰く

胚(胎児)を使わずに万能細胞を生成する方法がさまざまな機関で研究されていますが、そのような万能細胞のひとつである成体生殖幹細胞(adult GSCs: germline stem cells)の基として睾丸内のGSCs(精原細胞が注目されているそうです(Technology Reviewの記事Nature掲載の論文(要会員登録))。通常は分化して精子になるGSCs 精原細胞ですが、適切な成長因子を与えることでさまざまな細胞に分化することができるとのこと。

胚を使わないことで倫理面の問題をクリアすることができ、患者本人の細胞を基にすることで拒絶反応を抑えることもできます。また、レトロウイルスを使った遺伝子操作で作られる人工多能性幹細胞(iPS細胞)と異なり、そのような操作を必要としない成体GSCsにはガン化するおそれがない 少ないそうです。

実験ではGSCsを分離しやすくするために、緑色のGSCs GFPを発現させた精原細胞を持つ遺伝子操作マウスが使われていますが、人間(患者本人)から採取する際はそうした手が使えないので、GSCs 精原細胞をどのように分離するかという点が現在の課題だそうです。

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  • by y_tambe (8218) on 2008年10月15日 19時50分 (#1438030) ホームページ 日記
    まず、がん化のリスクについてですが、「がん化のおそれがない」というのは言いすぎです。
    基本的に、幹細胞を用いる場合にはがん化のリスクというのはどうしてもつきまとってくるというのが現状で、ES細胞を使った場合であっても問題になりえます。ただし初期のiPS細胞の場合には、それが(1)c-Mycというがん遺伝子を導入すること、(2)レトロウイルスベクターによる遺伝子導入を行うこと、という要因が加わっていたため、相対的に発がんのリスクが高いことが予想されてた、ということですね。ところが、これが(1')c-MycなしでもOKなことがわかった、(2')レトロウイルスベクターでなくても、それこそ一過性の導入でもOKなことがわかった、ということで解決されつつある、というのがここ数ヶ月の流れです。実際にどうなのかは今後の検証を待たないといけないけど、iPSでもESやGSと同程度まで発癌リスクを減らせるかもしれない、という流れです。

    それからツッコミの二つ目ですが、せっかくのノーベル賞なんですから「緑色のGSCs」じゃなくて、GFPを発現した(GFPトランスジェニック)マウスのGSCsと呼びましょうよ ;-)
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長期的な見通しやビジョンはあえて持たないようにしてる -- Linus Torvalds

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