
英夫婦、生まれてくる子供の乳がんリスクを着床前診断でスクリーニング 41
巨視的視点と感情論の狭間にて 部門より
capra 曰く、
英国の女性が、着床前診断により乳がんリスクを高める遺伝的変異がないことを診断した子供を来週出産予定とのこと (BBC 記事、本家記事より) 。
着床前診断では、細胞が 8 個程度まで分裂した時点の着床前の受精卵の遺伝子を解析する。英国では遺伝的疾患リスクの高い場合、医師による着床前診断が 2006 年から許可されている。この英夫婦は夫の家系の女性が 3 世代に渡り 20 代に乳がんを発病していたため、着床前診断で受精卵のスクリーニングを行うことを決断したという。
この夫婦の間に生まれる子供が乳がんリスクを高める遺伝的変異 BRCA1 のキャリアであった場合、女の子であれば 50~80 % の高い確率で乳がんを発病する可能性があり、また男の子であっても遺伝変異を次の世代に渡す可能性が残ってしまう。今回行われた着床前診断自体は比較的ルーチン的な手法であるが、英国でこのように乳がんリスクをスクリーニングした子供が生まれて来るケースは初めてとのことで、着床前診断を行った病院の Paul Serhal 医師は「この処置の最大目的は生まれてくる子供にこの遺伝子がないことを確認するだけではなく、世代から世代への (この遺伝子の) 受け渡しを止めるということにある」と述べている。
なお、リスクを高める遺伝変異を持っていなくても他の遺伝的要因や環境的要因により乳がんを発病する可能性は当然ながら残っている。
無論、優生学的な視点からの批判もある。Comment on Reproductive Ethics の設立者でもある Josephine Quintavalle 氏はこう語る。「最も重要な事は人々がこの手法が乳がんを治す方法ではないと認識する点にあります。付け加えるならば、その遺伝的変異のキャリアであったという事で捨てられてしまった受精卵の事を忘れてはいけないという事です。次は何でしょう。このまま行けば最終的にはデザイナーベビーへと辿っていくように思われます。」。一方で本家ではこのようなコメントもつけられている。「一体誰が自分の家族に対して「乳がんを受け入れよう」などと言えるだろう。子供達の目を見て「がんを選べ」なんて言えるか ?」
機先を制す (スコア:3, 参考になる)
高い家系の女性が、機先を制して、乳房と卵巣の
切除手術を受けてしまうというのを放映していましたね。
すごい選択肢があるものだと感心してみてました。
Re:機先を制す (スコア:1, 興味深い)
他に大腸ポリポーシスなんかも予防的切除では有名ですよ。
まあ卵巣癌はともかく、乳癌は予後悪くないから前癌病変が見つかってから切除でも遅くない気はするけど・・・