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宇宙

気象衛星「ひまわり」後継機、「重要課題推進枠」でなんとか予算ゲット 88

ストーリー by hylom
誰もこの辺の流れは解説してくれないのよね、 部門より

pongchang 曰く、

平成21年度予算案財務省原案では、気象庁が概算要求に計上していたひまわり後継機のための予算が盛り込まれないことになった(平成年度国土交通省関係予算内示のポイント[pdf])。

 概算要求では「静止地球環境観測衛星の整備」として77億3,200万円が盛り込まれていたが、原案では「地球環境時代に対応した暮らしづくり」の「4.低炭素社会の構築」→「○地球温暖化の観測・監視体制の強化」として記述されていた下記の項目がばっさりと削除されている。

「地球温暖化対策に直結する気象観測データの収集を充実・強化するため、運用中の気象衛星(ひまわり)の後継機として、これまでの防災機能に加え、世界に先駆けて観測センサーを増強するなど地球環境観測機能を大幅に強化した次期気象衛星を『静止地球環境観測衛星』として整備する」
平成21年度予算概算要求[PDF]より)

一方、宇宙と気象を巡る新しい施策として、局所的な豪雨などの予測にGPS信号の対流圏遅延を応用する「大気水蒸気量観測情報提供体制の整備」の人員配置が認められた。湿潤遅延は特に地殻変動の検知においては問題となる誤差要因[pdf]であったが、逆手にとった活用が期待される。

しかし、KAMEDA,Tsukasa 曰く、

気象庁のプレスリリースによると、2次補正予算では認められなかった気象衛星「ひまわり」後継機の予算が「重要課題推進枠」にて復活、予算が通る運びになったとのこと。

松浦氏などは怒り狂っていたが、とりあえず首の皮一枚でも生き残ることに成功してくれて本当に良かったです。

とのことで、最終的には予算が通ることになった模様です。
この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • いつものことながら (スコア:4, すばらしい洞察)

    by new release (37404) on 2008年12月24日 1時54分 (#1479405) 日記
    この気象衛星が後継機を上げられないって話、どうにかならないものでしょうか。
    確か今使っているものも、相乗り多機能衛星にして予算通したような話でしたし、
    その先代からこの手の話があったような。
    無くなると明らかに社会的に不具合が出るものなのに、利権が絡まないといつまでも
    こんな話の繰り返しなのでしょうか。うーん。

    逆に考えると気象衛星に関連する研究者には大御所、年寄り含めて利権と政治が好きな
    方が少ないのでしょうね。それ自体、理想的な研究者社会ですが、短所もあるのですね。
    • by Anonymous Coward on 2008年12月24日 15時12分 (#1479795)
      それが関連ストーリーのこれではないかと

      http://srad.jp/science/article.pl?sid=08/11/07/0434210 [srad.jp]
      親コメント
      • これって結局、政府諮問委員会の中間報告程度の力しか、今はないのじゃないでしょうか。
        なんか、いつでもどこからでもひっくり返せそうな感じがして、閣議決定をへて実効力を
        持つまでに、まだまだ道のりが厳しく思えるのですが。
        また、政府方針でこうやる、確保しない場合は財務省は予算編成にてできない理由を説明する、
        となっても役人の作文上の理由などいくらでも何とでもなるわけで(というか霞ヶ関はそういう
        作文の天才)、予算を担保するものが見えてこないのですがどうでしょう。
        親コメント
    • 気象衛星の本体は5年とか10年に1回とかいう頻度でしか発注しない一方、
      その所要額は気象庁単独の普段の予算規模からするととんでもなく多いわけです。
      これを必要な年に律儀に気象庁本予算に組み込んでたら
      年度毎にすごく大きな波がある変な予算になってしまうわけで。

      一方原則は単年度会計だから普段から積み立てて置くのは無理だし、
      こうやって頭の体操的な手段で八方に配慮できるうえに必要な予算は確保される、
      というのはそれなりに筋の通った解決法だと思いますよ、
      技術的側面からしか物事を見れない人以外にとっては。

      そもそも利権や政治的側面がまったく存在しない技術ってどうよとは思うんですよ。
      それって人類や社会のいかなる分野に対しても何の利益もありません、てのとほぼ同義だし。
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      • Re:いつものことながら (スコア:5, おもしろおかしい)

        by Anonymous Coward on 2008年12月24日 16時03分 (#1479840)

        気象衛星の本体は5年とか10年に1回とかいう頻度でしか発注しない一方、
        その所要額は気象庁単独の普段の予算規模からするととんでもなく多いわけです。
        これを必要な年に律儀に気象庁本予算に組み込んでたら
        年度毎にすごく大きな波がある変な予算になってしまうわけで。

         オーケイ。
         じゃあ、静止衛星正副2系統に加え、極軌道の観測衛星を4、5機ばかり追加して毎年発注が出るようにしようぜ!

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      • by Anonymous Coward on 2008年12月24日 16時06分 (#1479845)

        こうやって頭の体操的な手段で八方に配慮できるうえに必要な予算は確保される、
        というのはそれなりに筋の通った解決法だと思いますよ、
        技術的側面からしか物事を見れない人以外にとっては。

        結局「ムダ使いするのは使い切らないと次回貰えないから」って言うのと変わらない話だね。
        単純に現状の優秀な官僚諸氏には「必用な時に必用なだけの予算を付ける」って事が出来ないってだけの話。

        まわりも必用だと解っていて協力して予算を組む位なら、「来年は気象衛星の更新の予算が必要だから、気象庁の予算はその分追加する」ってすれば良いだけ。

        そっちの方がよっぽどシンプルで透明な予算が組めるでしょうに。
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        • Re:いつものことながら (スコア:2, おもしろおかしい)

          by Anonymous Coward on 2008年12月24日 16時25分 (#1479867)

          シンプルで透明な予算が組めるでしょうに。
          下手にシンプルだったり透明だったりすると、官僚の腕の見せ所が減ってしまうじゃないですか。
          複雑そうに見える予算を颯爽と解説し、見えそうで見えない絶妙の不透明度を維持する事にこそ、官僚の腕は発揮されるというものです。
          そうでもしなきゃ「オラがムラに○○を!」とか言う地方の代表者にいい顔をする事も出来ませんし、その「オラがムラ陳情団」の最たるものである政治屋さんに恩を売る事も出来ません。
          もっと言えば、予算の中から帰宅用のタクシー代を捻出したり、カラオケセットやらマッサージチェアやらPSXやらを買ったり...できなくなっちゃうじゃないですか。

          # 天下りを養護したい人たちは「官僚になるような有能な人材を置いておいては勿体ない」と言う。
          # だが待って欲しい。本当に有能な人材ならば官庁が使いこなせばいいだろうし、本当に有能な人材なら自分の食い扶持くらいは自分で何とかするだろう。
          # きっと彼らは優秀だ。だが、その力を振り向ける先が間違っているだけなのだと信じたい。
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        • >単純に現状の優秀な官僚諸氏には「必用な時に必用なだけの予算を付ける」って事が出来ないってだけの話。
          原因は、(最近は少し変わってきましたが)日本の予算がボトムアップ式に作られていることにあります。

          例えば、何かの政策のために予算を獲得しようとすると、典型的には次のようなプロセスをたどります。
          部局での原案作成→筆頭課・関係部局との交渉→局内の合意形成→大臣官房と局の交渉→省内での合意形成→財務省主計局との要求・査定→主計局内での調整・整理→……

          つまり、日本の予算は交渉に交渉に交渉を重ねるうちに全体として形成されていくもので、構造的に大きな裁量権を持つ人がいないのです。(逆にイギリスとかだと最初に割り振って、後で中身を詰めていきます)
          しかも、このどの過程においても合意の形成が非常に大事にされるので、毎年変化に乏しい(良く言えば、安定した)予算が形成され、気象衛星のようにある年だけ突出する予算は通りにくくなります。
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      • 単年度会計の原則 (スコア:2, すばらしい洞察)

        by DocSeri (36483) on 2008年12月24日 16時16分 (#1479854) ホームページ 日記
        いつものことながら、複数年かかるプロジェクトを想定してないかのような原則だと思うんですよ。
        普通、一度承認降りたプロジェクトを途中放棄することはあまりないでしょう。消費済みリソースが無駄になってしまうわけですから、よほど先が見えないとか継続するほど悪化するといった話でもなければ。
        ならば最初から完遂までの年次を考慮し毎年予算枠が確保されるようにしておくか、「すごく大きな波があって当然」とするのがむしろ自然なんじゃありませんかね。

        予断ながら本予算枠の方で気象衛星を蹴って継続が決まったGXロケットの方はそれこそ先が見えないプロジェクトで、当初計画の4倍以上の額を突っ込んでなお結果が出ていません。
        新技術の研究を含むプロジェクトですので一概に費用対効果だけでは判断できないものの、用途だけ考えればH-II系の増発によるコスト引き下げ、あるいは枯れた系であるM-Vの復活の方がまだしも目があるように思えます。
        その辺も含めて、宇宙開発関係の予算組みは妙な所が多いんですよ。
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        • by nori2 (6018) on 2008年12月24日 18時40分 (#1479993)
          戦前は、継続費という制度があって、予算は
          単年度主義ではなかった。

          占領軍が、日本が軍備を拡張できないように、
          単年度主義を憲法に書き込ませた。

          そういう代物ですから、複数年かかる気合の
          入ったことなど、連合軍に害をなすから禁止
          されている訳です。今も。
          もっとも、運用上は骨抜きになっているわけ
          ですけれど。でないと、ダムだとか作れない
          ですよね。
          --
          ------ nori2
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        • 単年度会計に欠点があるのはその通りなんですが、それじゃあ国家予算を原則複数年度会計にしようか、としてみたところで
          今までの欠点が長所、長所が欠点に入れ替わるだけなので導入の手間は山のようにかかれども皆が幸せになるかというと……

          複数年度にわたって事業も予算規模も確定され実際支出されてきた、たとえば道路が(すべてが無駄だとは思いませんが)どうであったか。
          まして歳出は複数年度に出来ても歳入は1年ごとにしか取れないから歳出歳入を相互に繋ぐ作業は1年ごとにやらなきゃいけない。

          そして、宇宙開発にまともに費用対効果を持ち込んでしまうと、世界中の衛星は年に1度エネルギアでまとめて打ち上げろ、
          ISSもソユーズもプロジェクト・コンステレーションもあらゆる新ロケットもふざけんな止めちまえ、になってしまいます。
          それでも予算が投じられるのは「いつか宇宙開発が必要になる時のための基盤維持」という(正しいかは定かでない)理由でしかありません。
          それは日本以外でも同じですし、そういう理屈付けが出来るからM-Vみたいな合理性が全く無いロケットが出来た挙句7基も上がったわけで。

          気象衛星にしても、それを打ち上げて運用するまでの、ロケットを開発し射場を整備し衛星技術を開発し
          ……といったコストを全く勘定していないからこそ、他の観測手段と比較になって選択されているにすぎないのだ、という点があります。
          親コメント
        • by nim (10479) on 2008年12月25日 8時58分 (#1480257)
          >普通、一度承認降りたプロジェクトを途中放棄することはあまりないでしょう。消費済みリソースが無駄になってしまうわけですから

          経営学的には、そういった使ってしまった分は「サンクコスト」といいい、
          それに拘泥してはならない(のに、人は魂を引かれてしまう)とされています。

          もちろん、これまでに投入した分があるために現在以降の費用が少なくて済む
          わけですが、それと比べてさらに効率の良い方法があるのなら、躊躇無くそちらを選ぶ
          べきです。

          つまり、毎年毎年「今から~の目的を実現するのに最適な方法は」とゼロベースで検討
          しなくちゃならないってこってす。
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      • このタレコミの状況が、頭の体操的な手段で八方に配慮しながら確実に予算を確保した、
        筋の通った状況にはとても見えないけどなあ。
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        • それじゃ何かね、色々あって予算消滅の危機にさらされたけど復活折衝で復活を折衝したら予算が付きましためでたしめでたし、
          なんて筋書きが本当に筋書き通りの事情によってもたらされている、とか思っているわけではありますまいに。

          確かに「必用な時に必用なだけの予算を付ける」というのは理想論としてはいいのだけど、
          気象庁だけにそれを認めるわけにいかないし、一旦それが通ってしまえば他の省庁も似たような事言い出すわけで収拾が付きません。

          結果的に松浦みたいな煽り屋評論家の主張の通りに「気象衛星に理解ある政治家の政治的決断によって
          衛星調達のための予算が組まれることになりました」ってことになったわけで、それでいいではありませんか。
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          • では、今回の状況は気象衛星用の予算獲得方法としては十分現実的で
            今後特に手を加えずに、次号機、次々号機もこの調子で作っていけばよい
            ということでしょうか。
            このタレコミや、今までのこの手の話題を見ていたら、これはどたばた劇
            で一歩間違えばホントに気象衛星のない期間ができてしまうものかと
            思っていました。

            2003年のゴーズ9の時は、打ち上げ失敗というかなり発生率の高いリスク
            にも耐えられない失態劇だと思っていたのですが、関係者の間では「まあ
            こんなもん」といったところなのでしょうか。うーん。
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          • 毎回特別扱いみたいなスリリングなシナリオで打ち上がるよりは、20年とか30年というスパンで安心したいって気もしますが、もしそれがダメならいっそのこといちいち騒ぐのはやめて、中国の観測衛星に間借りするとか、そういうのもありかと思いますね。すごく身も蓋もない話ですが。
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          • 松浦さんのblogのコメントにすごくそっくりなのがあるんですけど、本人さんかご関係の方ですかね……

            結局、そういう不明瞭な言動が不人気の元になってる、逆に言うと人気のある宇宙プロジェクトはその辺が分かりやすい、という単純な話に落ち着くんじゃないですかね。議員は国民の代表ですから、国民が分かりにくい仕組みで回してれば、それはいろいろ障害が出てくるでしょう。

            ある意味これを気にしなくてよい一党独裁の国家が派手に宇宙開発やってるのを見ると、どっちがいいのか分からなくなりますが。
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    • 気象衛星の調達予算がグダグダなのは日本の国家予算で米国製の人工衛星を買わされるというのがいやだったこともあるかも。

      いわゆるスーパー301条(2001年に失効してる・・・みたい)の絡みで,人工衛星とスパコンの政府調達は国際入札しろ(日米衛星調達合意)なんてなってたんですが,国の予算使って海外製品買うのが腹立たしかったんじゃないかと思います。

      このスーパー301条ってのは現在は失効していますが,米国通商法なんであたりまえですが米大統領府の思惑でいつでも復活可能な法律だったりします。で,保護主義で有名な民主党のオバマたんが政権とったので日本は現在もガクブル状態と。

      んでまあ,これが日本のスパコンと人工衛星をガラパゴス化させる圧力になったんジャマイカと。

      たとえば「はやぶさ2」で右往左往するのは,実用目的ではないとエクスキューズの効く「技術実証衛星」だった「はやぶさ」に対して,「…2」はそうではない。ということ。スパコンの方では「40テラフロップスのベクトルコンピュータ」とか,(作っちゃいましたけど)ありえねー入札条件にしたりと。

      まあ,そんなかんじでしょうかね。
      --
      斜点是不是先進的先端的鉄道部長的…有信心
      親コメント
  • 対して (スコア:3, 興味深い)

    by jacques (32858) on 2008年12月24日 17時39分 (#1479945) 日記
    そんななか、まいど1号ことSOHLA-1は来年1月21日に打ち上げですね。(まいど1号とワッショくん [yomiuri.co.jp])
    --
    puts "This user is a beginning Ruby programmer."
  • 復活折衝 (スコア:2, 興味深い)

    by kitakitsune (25416) on 2008年12月24日 15時35分 (#1479811) 日記
    復活折衝ってのは復活を折衝する場ではないのですが。
typodupeerror

UNIXはただ死んだだけでなく、本当にひどい臭いを放ち始めている -- あるソフトウェアエンジニア

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