
シェールガスが変える資源のパワーバランス 47
ストーリー by reo
そしていつかは枯渇する 部門より
そしていつかは枯渇する 部門より
住友商事が米ペンシルベニア州でのシェールガス権益を得るという ECO JAPAN の記事などで「シェールガス」 (参考: オイルシェール) の名前だけは知っていたが、日本経済新聞の記事や毎日 jp の記事を読むと資源の世界はシェールガスによって思っていたよりも大きなパワーバランスの変化を起こされているようである。
シェールガスは堆積岩の頁岩層の中にある天然ガスで、従来はコストと採掘難易度の問題から手つかずになっていたのだが、頁岩層に高圧の水を注入する手法が確立されたことで、この数年の間に世界最大の天然ガス輸入国になると見られていた米国が逆に 100 年分の国内需要を賄えるガス資源を獲得してしまうという革命的な事象を引き起こしている。
この技術革命によりポーランドが突然有望なガス資源国になりつつあり、一方で天然ガスを戦略物資としてきたロシアの影響力が低下することが推測され、時流にのって活況を呈していたはずの風力発電用の風車の需要が低下したり、再評価されていたはずの原子力発電においても計画が撤回されるというケースが起きているとのこと。
シェールガスの正体は、新たな採掘手法を確立しただけのことであるわけだが、それによって世界の天然ガス埋蔵量が突然 5 倍以上になり、世界を動かすというのも何とも面白い話ではある。ただ、それによって非化石燃料によるエネルギーへの投資が萎むというのは、シェールガスの恩恵を直接受けにくい日本にとっては複雑な話かもしれない。
原発の具体的な例 (スコア:5, 興味深い)
一方で、コジェネの会社Cpowerを買収している。(記事 [cpowered.com])。タレコミにあるように、原油価格の上昇で日本でも2006年当時に自家発電から電気会社への切り替えがあいつぎ [gns.ne.jp]分散型電源会社の清算もあった、特に熱供給を伴わないモノジェネの会社は財政的苦しかったが、天然ガスが08年から6〜7割安になっていることから、分散型電源会社にも光が当たりつつある。これにスマートグリット構想が助力していくことだろう。
1年前から話題でしたが (スコア:5, 参考になる)
何をいまさらの感がありますが、これなんかがよくまとまっています。
北米のシェールガス革命 [jogmec.go.jp]
昨年来、エネルギー関係者たちは騒いでいたわけです。
・従来、頁岩にシェールガスがある事は知られていた
・水平掘削方法が開発されて採取が可能に
・米国がLNG輸入国から、自給国、輸出国に
・LNG輸出国のカタールやロシアが苦境に
・原発ブームも下火に
・日本の原発メーカはガックリ。LNG発電所増設か?
一つの技術開発で、エネルギー地図が一気に変わってしまうというのは興味深いと思います。
革命が起きていても、畠違いの人にはピンと来ないということで、
ITの世界では何に当たるのでしょうか。
Re: (スコア:0)
>ITの世界では何に当たるのでしょうか。
電電公社時代に血税つぎ込んで全国規模で整備したのに、完成後さしたる使い道がなく雨ざらしになると思いきや、ケータイの普及とともに「iモード」として一躍脚光を浴びたパケット通信網?
Re:1年前から話題でしたが (スコア:1, 興味深い)
レジでバーコードを読んだら即座にセンターに売上を報告するという使い方だったらしい。
その後、ISDNのDチャネルに移行したとか何とか。
Re: (スコア:0)
Re:1年前から話題でしたが (スコア:1)
温室効果ガス削減のために,石炭の代わりに天然ガスを先食いした末の100年後はすごいことになってそう.再生可能エネルギーと原子力に未来はあるか.
Re: (スコア:0)
かつてこの業界にDIPSなんていうメインフレームが存在したのも今は忘れ去られているのさ
一つの技術開発で変化が起きたというわけではないが,他分野の技術が押し寄せてきて激変した好例
(ガラッ)「話は聞かせてもらった。あと30年で地球のガスは枯渇する!」「な、なんだってー」 ΣΩ Ω (スコア:2)
ヘリウムガス枯渇問題が/.Jストーリーにでも取り上げられたタイミングで、「まあ、ガス田のヘリウムが枯渇したらしたで、きっとヘリウムサンド(ヘリウムを含んでいる砂)とかヘリウムシェール(ヘリウムを含んでいる岩石)などからヘリウムを抽出する技術が開発されるよね!」というネタを使おうと思っていたのに、現実にシェールガスなるものが存在するとは。
オイルシェールやオイルサンドのほうは知っていたけど、ガスのほうは知りませんでしたなあ。あ、もちろん、頁岩層中に天然ガスが閉じ込められているなら、ヘリウムだって含まれてますよね?ねっ?
Re:(ガラッ)「話は聞かせてもらった。あと30年で地球のガスは枯渇する!」「な、なんだってー」 Σ (スコア:3, 興味深い)
>頁岩層中に天然ガスが閉じ込められているなら、ヘリウムだって含まれてますよね?ねっ?
おっしゃる通りで、放射性物質の崩壊で出たα線がヘリウムとして封じ込められていると思います。これで子供~孫の世代までだいじょうぶかな?
Re:(ガラッ)「話は聞かせてもらった。あと30年で地球のガスは枯渇する!」「な、なんだってー」 Σ (スコア:3, 参考になる)
>ヘリウムだって含まれてますよね?
入ってますよ.
というか,シェールガス系の開発時についでにHeも採れないか?という検討はすでにされてます.
「そもそもシェールガス自体が含有量の少ない岩石から無理矢理搾り取る手法なので,さらに含有率の低いHeだと現状ではコスト的に割に合わない.でも将来的にヘリウムの供給がタイトになってきた際にはシェールガス田が代替供給源になるだろう」
とかそんなレポートを読んだ覚えもありますし.
Re:(ガラッ)「話は聞かせてもらった。あと30年で地球のガスは枯渇する!」「な、なんだってー」 Σ (スコア:3, 興味深い)
Re:(ガラッ)「話は聞かせてもらった。あと30年で地球のガスは枯渇する!」「な、なんだってー」 Σ (スコア:2, 興味深い)
大丈夫。
ヘリウムは ITER がいっぱい作ってくれるよ。
大丈夫、ウランとトリウムがある限りヘリウムは滅びぬ。何度でも甦るさ。 (スコア:3, 興味深い)
いやー、私も核融合炉には期待しているのですが、将来、核融合炉が地球の全電力需要を満たしたとしても、生ずるヘリウムはせいぜいい数百トン/年というところです。一方、ヘリウムの需要は全世界で数万トン/年くらい。核融合炉から出るヘリウムだと、需要の1%くらいしか満たせそうにありません。
ガス田からのヘリウムが尽きたら、あとは大気から細々と回収するか、長い時間をかけてヘリウム地下資源の回復を待つか、ですね。
Re: (スコア:0)
今こそ木星船団実現の刻(とき)ですね
Re: (スコア:0)
そういえば。
月のレゴリスにはヘリウムがそれなりに含有されていて、その採掘のために中国が月基地を設営する・・・みたいなSF小説がありましたけど、実際のところはどうなんでしょう?
Re:(ガラッ)「話は聞かせてもらった。あと30年で地球のガスは枯渇する!」「な、なんだってー」 Σ (スコア:3, 参考になる)
太陽風にのって吹き付けてきたHeが長年の間に岩の隙間にトラップされたものが蓄積されています.
4Heだとさすがにどうやっても採算が合わないでしょうけれども,3Heだと将来的に核融合にいけるのではないか,という話はあります.
現在研究されている核融合は,重水素(D)と三重水素(T)との融合によるD-T反応です.この反応の問題点として中性子がかなり出てくる点があり,このため炉の内壁が放射化される,深部が分子レベルで破壊されてあるときごそっと剥落する,エネルギーの一部が無駄になる,などの問題が指摘されています.一方,3Heを使ったD-3He反応では中性子は発生せず(同時に起こるD-D反応からは出るが,比較すれば少ない),こういった問題が軽減されます.そのため,将来的には3Heが有力な資源として争奪戦になる可能性は否定は出来ません.
ただ,現状D-T核融合ですらなかなか起こせず苦慮している段階で,遙かに難易度の高いD-3He系での核融合はまあ今のところ夢物語というか.
#核融合積(プラズマの密度と温度と閉じ込め時間の積)で10倍だったか20倍だったか以上必要だったと思います.
Re: (スコア:0)
水びたし (スコア:2)
南関東ガス田 (スコア:2)
南関東ガス田のメタンガスを経済的に掘り出す技術も、いつか開発されるのでしょうか…
#今年も千葉でガス爆発があったようで、その度に、被災者には申し訳ないけど、もったいないと思ってしまう関西人です。
Re:南関東ガス田 (スコア:2, 参考になる)
>南関東ガス田のメタンガスを経済的に掘り出す技術
千葉あたりでは現在でも掘ってますよ.
#その時ついでに多量のヨウ素が採れるおかげで日本はヨウ素輸出大国です.
#世界生産/輸出量の3割ぐらい.同6割程度のチリと併せてヨウ素の世界を牛耳ってるわけです.
ただ日本の場合は浅い地層にある水溶性のガス田なので,水をくみ上げてガスを採った後また地下に水を戻さないといけません(地盤沈下するから).水を戻すと言ってもなかなか大変で,これが採掘量の少なさにつながります.また,水も完全に同じ量戻せるわけでもないので,どうしても地盤沈下の危険性が残ります.そのため都市部の東京あたりでは規制がありなかなか掘れません(この問題の解決はかなり難しいんじゃないかと).
Re: (スコア:0)
千葉では古くから採掘を行っている関係で、
京葉ガス [keiyogas.co.jp]という千葉ローカルのガス会社があったりします。
Re:南関東ガス田 (スコア:2)
うーん。千葉なんだから、「土気」ガスとかにすればすごく語呂がよかったのに…。
# 語呂がいいというか、そもそも地名の由来が天然ガスか。
千葉ローカルのガス会社があったりします。 (スコア:0)
Re: (スコア:0)
出てくる田圃にドラム缶を逆さまにして突っ込んで、吹き出るガスを水道用の塩ビ管(!?)で延々と引っ張ります。
燃料代がかからないというメリットがありますが、噴出量や熱量が安定せず、不純物(水蒸気、硫黄、一酸化炭素他)も多いので、最近のインテリジェントなガス器具は故障し易く保証が利きません。また、常時使っていないと(火をつけっぱなしにしていないと)噴出が止まる時があって、扱いが難しいです。なお、お金のある農家の方は精製施設を自分で設置してました。
デメリットは、井戸を掘るとガスが出る時がある事です。水が出ても硫黄分が混ざったりして、飲用に耐えない場合もあります。
シュールガス (スコア:1)
(プスッー)
# ヒソヒソ
でもメタンとかが出た時は、あながち違うわけじゃないか
---
ガスは扱い難しいですが、圧力を止めれば止まるであれば、それはそれでいいですねー
この間の原油流出はひどかったからなぁ
M-FalconSky (暑いか寒い)
なるほど (スコア:0)
確かにシュールだ、とまで書いたところでシュールじゃなくてシェールだと気がついた
Re: (スコア:0)
君たち (スコア:0)
CO2抑制の話を忘れてなイカ?
#たぶん、石油メジャーが大規模に大丈夫だよキャンペーンはるだろうけど。
Re:君たち (スコア:1)
石油より天然ガスの方が炭素比率が小さい。
all or nothing 思考じゃ何も生まれん。
the.ACount
Re: (スコア:0)
思いっ切り外しているかもしれんが (スコア:0)
たたでさえ激しい水資源の奪い合いが更に激化で、そうは手放しに喜んではいられない?
Re:思いっ切り外しているかもしれんが (スコア:2)
騒ぐならもっと前から騒げよという感じでしょうか。
Re: (スコア:0, 興味深い)
> たたでさえ激しい水資源の奪い合い
一方日本は中国企業に水源地を二束三文でホイホイ売却していた。
危機感のなさには寒気すらしてきます。
反対運動 (スコア:0)
高圧水注入法は石油の採掘にも使われていますが、周囲の地震を
誘発するとして欧米では反対運動が起きています。
新潟県中越地震の原因は、南長岡ガス田での注水やCO2貯蔵実験
での影響とも言われています。
加えてシェールガスでは化学薬剤も使うので適切に管理されなか
った場合の環境被害も深刻です。
Re: (スコア:0)
外房のガス田も結構活発に産出してるみたいだけど、地震起きたりするのかな。
Re: (スコア:0)
外房を含む南関東で産出するガスは水溶性ガスで水に溶けているので
高圧水は使えない(使っても意味が無い)のでは・・。
新潟で産出するのは油田由来のガスです。
Re: (スコア:0)
なるほど。くみ上げちゃった分の地盤沈下を防ぐために補償として水を吹き込むとか無いのかしらん。
Re: (スコア:0)
日本でも国会の災害対策特別委員会で、民主党の風間直樹氏が追求してますね
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/168/0019/16810310019003a.html [ndl.go.jp]
Re:反対運動 (スコア:3, おもしろおかしい)
>この発生した水素が地中深くで滞留をすることによって水素原子が自身で核融合を起こして、
>それが地下爆発につながっているのではないかという、これが最近唱えられている新たな地震の理論でございます。
> これ簡単にどういうことかと申しますと、今日こちらにホッカイロを持ってきたんですが、この原理と同じでございます。
>このホッカイロを今私が封を開けて取り出しますと、空気中に含まれている水分とこのホッカイロの中の鉄分が反応して
>熱を生じます。
トンデモってレベルじゃねーぞ。
Re:反対運動 (スコア:2)
ホッカイロの原理と同じ、と言ってるのは、核融合ではなくてその前の
「調べてみますと、このFe+H2O、Feというのは鉄でございます。H2Oは御承知のとおり水でございます。
これが触れるとH、つまり水素を発生させる、こういう原理がございます。
これはどういうことかといいますと、地中に水を注入し、そこで地中にあった鉄ないし鉱分と水が接触した結果、水素が発生すると。」
の部分ではないかと。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
水素は出ないようです [kiribai.co.jp]
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
Re:反対運動 (スコア:1, 興味深い)
因果関係を疑う人が少なからずいる(=建前上は議員は国民の代表者として質問している)ので、
今回の件を国は調査するべきだし、これからは環境への影響を十分に検討してから実験しろ
という要求それ自体は、真っ当なんだと思う。
たとえトンデモ系の杞憂だとしても、少なくない国民が疑いを晴らしたいと思うのなら、それに国家予算を注ぎ込むのは、民主主義としては健全だと思いますよ。
Re: (スコア:0)
平成19年といえば、民主党はUFOの質問書も出していて、
ぶっちゃけ、自民を叩ければ何でも出してたように思う。
パワーバランスが変わるガスだって (スコア:0)