世界の言語の起源解明か 185
ストーリー by headless
Captain Caveman 部門より
Captain Caveman 部門より
t_slash 曰く、
最新の研究によると、世界中でおよそ6,000種類ある近代言語のすべてが、5~7万年前のアフリカで初期の人類が話していた言語を祖語として持つ可能性があるという( 概要、 WSJ.comの記事 、 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版の記事 )
研究成果を発表したのは、ニュージーランド・オークランド大学の進化心理学者クェンティン・アトキンソン氏。4月15日発行の「Science」誌に掲載された。アトキンソン氏によれば、アフリカから他の地域に移住した人々とともに言語が世界に広がり、すべての文化の基礎になったのだという。この発見は、最初の話し言葉の発生と拡散、人類の進化への貢献などに関する説明に役立つ可能性がある。 アトキンソン氏の研究は、語の音声を構成する最小の単位である音素に基づくもので、少数の集団が母集団から離れる際に、遺伝的な多様性や複雑性が緩やかに失われるという「創始者効果」の考えを借用した分析が行われている。世界の504言語を調査した結果では、アフリカで使われている言語の音素数が最も多く、南米や太平洋諸島で使われている言語の音素数が最も少ないことが判明したということだ。
ちょうど、最近ラジオで放送してます (スコア:5, 興味深い)
Re:ちょうど、最近ラジオで放送してます (スコア:2, 参考になる)
バスク語とかも良くわからんですよね。
まああれは起源がわからないと言うよりも、何故こんなに古代的な言語(文法構造)が今に至るまで生き残っているのかわからない、というのに近くなりますが。
Re:ちょうど、最近ラジオで放送してます (スコア:2, 興味深い)
>つまり日本人は外宇宙からの来訪者だったんだよ!
日本語は新人類(今は言わないのか)が作っている。
毎年々新しい言葉が出てきてなかなか理解出来ないでいる。
日本語は一番変化(変化の激しい)している言葉なのか?
個人的に思う例。
未だに「千円から頂きます」と言っている所がある。
聞き手の俺に「何々じゃないですか」と言われても…、おれは「そうじゃない」。
最近は、
テレビに写った公務員が仕事の話に「(何々すれば良い)かなと思います」って、
するのか、思うだけなのかはっきりしない。
外来語の日本語表記が有るのにカタカナ表記が多い。(これはおれが古いからかも)
等。
Re:ちょうど、最近ラジオで放送してます (スコア:2)
#1938125さん、コメントどうもです。
少しでも変わったことを書くと「楽しいコメントを聞かせてもらえるかな」と思って書きました。
「意見には個人差がある」←これは、何ヶ月かに1回NHKでさだまさしが出る番組で手書きテロップで出すんです。それ風に。
ginga さん。
NHKで今はニホンGOですか。見たことはあるんですがあまり見ていません。
はじめの頃か、試験放送の頃以下の番組と重複している部分が有ったので。
その前(今も有る)は、“ことばおじさん”。(括弧重ねてごめん)
梅津アナウンサーでしたかテレビ、ラジオにもよく出て解説していましたね。
レジでの言葉遣いについても解説していました。
その前は“大希林”で言葉についてコントを交えて分かりやすくやっていましたね。
樹木希林と夏木さんでしたか。“大辞林”と掛けて。
NHK別番組で、将来の日本語言葉についてコンピュータの予測とその発音を紹介していました。
内容は、言葉は少しずつ省くように成って行き、抑揚(アクセント)が少なくなっていく。というのでした。
私もこのような番組は面白おかしく見ています。
Re:ちょうど、最近ラジオで放送してます (スコア:2)
割と関東に近い会津のずーずー弁なんか、お隣のネイティブ新潟人でさえ聞きとれません。
標準語との差は英語とドイツ語以上にあるんじゃないんでしょうか。
Re:ちょうど、最近ラジオで放送してます (スコア:2)
あれが「そんなに難しくない」というあなた、どこの地方の方ですか?
Re:ちょうど、最近ラジオで放送してます (スコア:2)
友人の元在住者曰くチェコ語とスロバキア語の差異なんて
関西弁と東京弁の違いらしいのですが、今は別言語として扱われています。
言語学では方言と言語に明確な線引きはありません
つまり (スコア:3, おもしろおかしい)
バベルの塔はアフリカにある!!
Re:つまり (スコア:5, おもしろおかしい)
今はドバイにあるようです。
あ、あれはバブルの塔か…
Re:つまり (スコア:3, おもしろおかしい)
世界がそれぞれの通貨を使うようになったと?
Re:つまり (スコア:2, おもしろおかしい)
> バベルの塔はアフリカにある!!
実際、タルテソス王国はアフリカにあったんじゃなかったっけ?
Re:つまり (スコア:2, 参考になる)
実在したタルテソス王国はイベリア半島ですよ。塔もないけれど。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%86%E3%83%83%E3%8... [wikipedia.org]
いくつかの言語の子音の数 (スコア:3, 参考になる)
現代語ベースで調査するのは乱暴だとは思いますが、Wikipediaに説明のある言語で、子音の数を数えてみると、
アフリカ:
ズールー語 45
スワヒリ語 36
ヨーロッパ:
英語 28
チェコ語 27
イタリア語 25
バスク語 24
アジア:
ヒンディー語・ウルドゥー語 37
アラビア語 28
日本語 26 (え、そんな細かく分けられるのか・・・)
タイ語 21
タガログ語 21
南米:
ケチャ語 25
確かにアフリカの言語は子音が多い傾向が見られますね。
あと、言語の系統とも相関が少なそうです。
ちゃんと調べるなら、古い時代の言語も比較対象にしないといけないでしょうけど、
200年前でも録音はないし、古文書などから系統的に推測できる言語も少ないので、
結局DNA系統分析よりも大雑把な方法で分析するしか無いと言うことでしょうか。
#それにしてもインドすごい。
# で、平仄(抑揚)とかアクセント(強弱)とかはどうなんだろう?
Re:いくつかの言語の子音の数 (スコア:2, 参考になる)
> 日本語 26 (え、そんな細かく分けられるのか・・・)
k s t n h m y r w g z d b p
ky sy ty ny hy my ry gy zy dy by py
確かに26あるね。
Re:いくつかの言語の子音の数 (スコア:1)
子音数が減ったということを、複雑さが失われたということだとするのは、早計だと思います。
たとえばデジタル信号は使う信号は1と0の二種類だけと非常に少ないですが、
その用途は多岐にわたり、使用法は非常に複雑です。
実際にそれぞれの言語で元になった言葉と比較した場合にどうなのかは専門家に聞いてみないとわかりませんけどね。
ψアレゲな事を真面目にやることこそアレゲだと思う。
Re:いくつかの言語の子音の数 (スコア:5, おもしろおかしい)
「ん」と「ば」だけで話すアフリカ人を想像してみろ。
なんかいそうに思えてきただろ。
つまりそういうことだ。
で、進化の過程で「ん」と「ぱ」では早口に適さないということで「れ」と「ろ」を使うようになってきた。
だんだん現代のアフリカ人に近づいてきただろ。
アフリカの早口コンテストでは14400bpsまで行けているらしい。この辺までくると審査員の聞きとり能力の限界に近づいてくるので、必然的にエラー訂正が必要となり、それが原因で記録の更新は難しくなってきてるという噂。
最初の何文節かはこれから話す内容の種類、次の何文節かは話の長さ、最後に言い間違いの修正を入れる言語形態。
・・・無口でいいや。
Re:いくつかの言語の子音の数 (スコア:1, 興味深い)
物理学会で言語の進化を物理(統計とか力学的モデルであつかうとか)で研究してる人の発表を聞いたことがあるけど、(その人の研究によれば)言語は基本的に語彙の複雑さが減り、単語は少なめに、子音の数などは減っていく方向にあるらしい。
元々言語は意思の疎通に使わないといけない物である以上、細かな用法の違いを必要とする「似ているけど微妙に意味の違う違う形容詞」だとか、「不規則な動詞変化」だとか「識別の難しい子音」は、言語に関わる人数が増えるに従って減らざるを得ない。総数の少ない集団(=全員の知識がほぼ同程度な集団)だと特殊なルールがたくさんあって語彙も豊富な言語で良いけど、いろいろな人とコミュニケーションしないといけないような状況ではより平均的なところ(=ルールの例外が少なく、形容詞などの語彙も最低限の少なめな)に落ち着くんだとか。
ちなみに、
>エントロピーが減少するように複雑さが失われる方向だけに進んだというのは
という点に関しては、複雑さが少なく均一でイレギュラーが少ないのはエントロピーの高い状態です。例えば単純な気体で言えば、各所に密度や温度の濃淡(=差異)があるよりも全体が均一で特徴が無い系の方がエントロピーが高い。
そういう意味では、まあ、語彙だとか子音だとか活用変化のルールが減るのはエントロピーが増える熱力学的に正常な方向、と言えなくもない。
Re:いくつかの言語の子音の数 (スコア:3, おもしろおかしい)
ずっと2つですよ。
脇のほうに別にあるひともいるようですが。
Re:いくつかの言語の子音の数 (スコア:2, 興味深い)
日本語では8母音(上代特殊仮名遣いからの推定)から、母音が減る傾向にあり、那覇方言では3母音になっていますが、上で出ているラテン語からフランス語への例のように増えている例もあるので、どちらとも言えないんじゃないでしょうか。
Re:いくつかの言語の子音の数 (スコア:2)
> また、もっとも子音の数が少ない言語はニューギニアのロトカス語で、6個だそうです。
もっと子音の少ない言語あります。手話の 0 個。
これはジョークではなく、1970年代から80年代にかけて自然発生的に誕生したニカラグア手話 [wikipedia.org]の例が示すように、ヒトには独立に自然言語を創造する能力が備わってると考えられます。
コメント削除の経緯について (スコア:3, 興味深い)
さて、以下に経緯を報告します。 編集権限のあるIDでログインすると、各コメントにチェックボックスが表示されます。このチェックボックスをオンにした状態で操作ボタンをクリックするとコメントが削除されてしまいます。私がチェックボックスの機能を理解しておらず、うっかり触ってしまったことが今回のトラブルの原因です。皆様には大変ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。 なお、スラッシュドットジャパンの運営上、コメントの削除が行われることはありません。今回のトラブルを受けて、編集権限がある状態でも明示的に指定しなければコメント削除のチェックボックスが表示されないよう、システムに修正が加えられました。
今後ともスラッシュドットジャパンをどうぞよろしくお願い申し上げます。
勘違い (スコア:2, おもしろおかしい)
Re:勘違い (スコア:2, おもしろおかしい)
今もエチオピア南部でマシン族が話してます。
と、言ったら信じる?
Re:勘違い (スコア:1)
そこでは天空心剣が伝えられたりしてますか?
#「人、それを『妄想』という!」
ψアレゲな事を真面目にやることこそアレゲだと思う。
Re:勘違い (スコア:1)
-- 哀れな日本人専用(sorry Japanese only) --
見たのは音だけだよね (スコア:2, 興味深い)
Re:見たのは音だけだよね (スコア:1, 興味深い)
ベーコンの「知は力なり」は
ラテン語では"scientia potentia est"
英語になると"knowledge is power"
ラテン語の文法は自由度が高く、動詞と目的語の順序が
変わっても通じるらしい、
って、死語なので通じるという表現はおかしいですが。
で、この辺りに動詞と目的語の順序が入れ替わった
境界線がありそうです。
ラテン語→ロマンス語→フランス語・イタリア語において、
ロマンス語では、目的語が代名詞の時、目的語が先になる。
Re:見たのは音だけだよね (スコア:2, 興味深い)
また、動詞も主語に合わせて細かく変化したので、主語と動詞の結びつきが明確になり、動詞から主語を類推しやすく、主語の省略も可能だったようです。
そして、ラテン語からフランス語に至る過程で、語形変化が簡略化され、語形で文法的役割を判断するのが難しくなったため、語順でそれを表すようになったようです。
一方、英語も古英語の時代は、同じように名詞や冠詞が複雑に変化しましたので、語順の規制は緩やかだったようです。
その後、ノルマン上陸によってフランス語が入ってきたときに、フランス語の影響を受けて、語形の簡略化、語順の固定化が起こったようです。現在の英語で残っている格変化は、人称代名詞のI,My,meとか、名詞の所有格'sくらいですね。
ちなみに、古英語と同じゲルマン系のドイツ語は現代でも冠詞の格変化が残っていますので、やはり語順の規制は緩やかですし、日本語や韓国語は助詞で格を表せますので、同じく語順の規制は緩やかですね。
語形変化の単純化の代償に語順の固定化が生まれたということのようです。
Re:見たのは音だけだよね (スコア:2, おもしろおかしい)
>現在の英語で残っている格変化は、人称代名詞のI,My,meとか、名詞の所有格'sくらいですね。
さ、三単元のsはやはり廃止されたのでしょうか。
韓国起源ネタ禁止 (スコア:1, すばらしい洞察)
Re:韓国起源ネタ禁止 (スコア:1, すばらしい洞察)
ハングルの発明と漢字の読み書きが出来ないのは無関係だろ。
そもそもハングルが普及した日本統治時代は併用してた。
漢字の読み書きが出来ないのは国民挙げて不要としたためであって発明とはなんら関係ない。
不便とか言ってるのは日本人から見た場合だろ、彼らは不便と感じて無いだろうし、
不便なら全廃なんて現実として出来ない。
Re:韓国起源ネタ禁止 (スコア:1, 参考になる)
ひらがな、カタカナ、漢字を使いこなす日本人でもつい100年位前の日本の書物を読める人は何割やら。
100年程度なら古文の範疇じゃないですよ。
昭和初期の書物でも何割かの日本人は読むのが怪しかったりしますぜ。
だから現代語訳なんてものが出版されてるわけで。
要するにそんなのは不便とは言わんのです。
Re:韓国起源ネタ禁止 (スコア:5, おもしろおかしい)
> ひらがなとカタカナのみで文節毎に空白を入れた日本語なんて読みづらいだけだし不便でしょ
ゆうしゃよ そんな ことで ねを あげるとは なにごとだ
TomOne
Re:韓国起源ネタ禁止 (スコア:2, 興味深い)
Re:韓国起源ネタ禁止 (スコア:2, 興味深い)
現時点の勧告ではハングル捨てて英語にって連中は確かに増えてるみたい。
>ガスコンロは便利だけど、七輪の良さもあったわけなんだけどね。
だーかーらー、そう感じるのは日本人であって、彼らはそうじゃないといっているんだ。
この例えで説明するならばな、日本人は七輪で焼いた秋刀魚の良さを理解できる。
でも彼らはガスコンロで焼こうが七輪で焼こうが区別が全くつかないんだよ。
だから七輪の良さなんで全く理解出来ないわけで、ガスコンロだけになっても不便とは思わないと。
で、現実として漢字無くして漢字が読めなくなったわけだ。
不便なら漢字が残るよ、今の日本でも七輪使う奴がいるようにな。
どうも (スコア:1, 参考になる)
ン・・・ンジャメナ! (スコア:1, 参考になる)
>アフリカで使われている言語の音素数が最も多く
カッと舌を打つ音が使われているとかよく聞きますよね。
他にも他の地域では珍しい事は色々ありそうですね。
しりとり最強の裏技こと「ンジャメナ」とか。
キリマンジャロも、キリマ(山) ンジャロ(白い)だったり。
Re:ン・・・ンジャメナ! (スコア:1, 参考になる)
普遍文法 (スコア:1)
その辺についてもう少し知りたい場合はStephan Pinkerせんせの本 [amazon.co.jp]あたりを読んでみたらよいのではないでしょうか。
Re:普遍文法 (スコア:2)
Re:普遍文法 (スコア:1, 興味深い)
その普遍文法の説明を読む限り今回の研究結果はあまり関係ないか、むしろ裏切る結果なんじゃないですか。
人間は生得的に言語を話すシステムを持っており、但し一部のパラメーターが未設定で生まれてくるので後天的な刺激でそれらが設定されなければいけないというだけだ、という普遍文法の考えで行けば、人類が拡散した後、それぞれの場所で別々のきっかけで言語が生み出されても不思議はないことになる。
しかし実際にはアフリカでたった一度の言語の獲得があったきりで後はそれが受け継がれてきたのだとすれば、我々が言語をもっている現状は、生得的な能力の当然の帰結というより、偶然一度起きた特別な事件の後遺症と言うべきかもしれない。
また諸言語が制限された範囲でしか変異をあらわしていないことを、パラメーターの考え(人間はほぼ完全な言語能力を生得的に持ちながら一部の離散的パラメーターが未設定で生まれてくる。そのパラメータの設定の仕方で個別言語のバリエーションが生まれる)の根拠としているようだけど、そもそも言語が全て同一の祖語から派生してるんだったら互いに似ているのは当然とも言える。
Re:普遍文法 (スコア:2)
なるほど、対立的にも見えますね。
しかし、両立可能では?
生得的能力の上に単一の系統が乗っかってると考えれば。
チョムスキーのはおそらく言語能力が赤ん坊の頭の中で毎回創発できるには複雑すぎるという仮説から出発してるのでしょうし、私もそれは正しいような気がします。人の顔を識別する能力も運動を視野の中の識別する能力も脳内に偏在する機能部位があったりするわけですし。言語も同様ではないかと。
今回のは5万年前の「出アフリカ」という考古学的(おそらく)事実があって、そこから立てた仮説をもとに調査したら支持する結果がでました!――といってるわけでしょうが、子音の減少傾向で説明して良いのかどうか、さらに支持する証拠が必要なような。
「出アフリカ」は遺伝子多様性の研究から事実といってよさそうですし、言語の獲得が前適応からいきなり出現したという仮説を信じるには、言語という物があまりにも複雑すぎると思いますので、5万年前の出アフリカ段階で何らかの言語を話していたと考えるのは自然だと思います。つまり生得的能力の進化と言語自体の進化は平行的であると考えるべきではないかと。
で、出アフリカで遺伝子多様性から想定される人数の少なさから、単一の言語を話していたと考えるのはしごくまっとうでしょう。
以上、しろうとのまったく私的意見なわけですが、
生得的能力の上に単一の言語を話していたのだろうという気がします。
つまり両説は両立するのではないかと。
#とかいって、チョムスキーまったく知らんのだけど。なんか致命的かんちがいとかしてたりして
契約の話 (スコア:1, 興味深い)
消されてる・・・検閲削除?
Re:契約の話 (スコア:2, 興味深い)
復元する方法がないか、他の編集者に問い合わせしているところです。
大変申し訳ありませんでした。
方法論だと思います (スコア:5, 参考になる)
新しいのは、生態学の手法の応用という部分だと思います。 WSJの記事を読んだだけでウンザリして調べる気ゼロなので、 以下の解説は信じないでください。
この研究は、proto-World仮説、つまり世界の言語の起源は 1つだという仮説によっています。 僕たち保守的な歴史言語学者からみると、 比較による再建という標準的な手法があつかえる時間の壁の向う側にある問題です。 そこで、もし挑もうとすると、 非標準的な方法を使うか、他の分野から方法を借りるかしなければなりません。 例えば、生物学者のCavalli-Sforza のグループは、 分子生物学の手法を使って、言語分岐の樹形図を作っています。 ただし、系統による類似と接触による類似が区別されていないという批判があります。
生態学の手法で歴史言語学に応用されることが多いのは、 多様性があるところが原産地だという考えです。 例えば、英語の方言は、イギリスの方がアメリカより多様です。 背景にあるのは、選択について中立的な変異は残っていくということです。
今回のものはこれとは別で、 分岐していくと複雑性が下がるという考えがもとになっているようです。 背景にあるのは、小集団の方が変化しやすいということと、 単純化の方が複雑化より起こりやすいということです。 生物については、遺伝子が働かなくなる単純化の方が、 遺伝子を流用したり、二重化して改変したりする複雑化より起こりやすいのですが、 同じことが言語について言えるかは疑問があります。 また、複雑性の指標として音素の数を使うことも疑問です。
音素というのは、その言語の中で同じ音とみなされているものを集めたものです。 例えば、「座視」「視座」と自然に発音してみてください。 前者のザの子音は [dz] で舌が歯茎の裏に付いているはずですが、後者は [z] で付いていないはずです。 こういう音をまとめて /z/ とみなします。 また、同じ音でも頭の中のある文法によって音素になったり、音素の下の単位の異音になったりします。 例えば、フの子音は [Φ] です。 これは、「ファン」を 2拍で読める人にとっては /h/ と区別できる音素ですが、 3拍でしか読めない人にとっては /h/ の異音です。 そこで、音素の数だけではなく、異音の使い分けまで考えなければ、 音韻体系の複雑さは十全には分かりません。
音素の数は変化します。減るだけでなく増えることもあります。 例えば、 カエサルのころのラテン語の母音の数は 17個 (長短区別、重母音・外来音含む) で、 これが 7個まで減り、紆余曲折があって、 フランス語の古典期には 16個になって、現在は 11個に向けて減少中です。 また、上で括弧内に限定を付けたように考え方や分析者によって数が変わります。 たぶん今回の研究は、 音韻論のデータベースを使っているはずですが、 既存の研究を入力しているので、分類する基準にばらつきがあります。 つまり比較するときには注意が必要です。 とはいえ、20から40個ぐらいが普通で、10個強から100を越えたぐらいまでの範囲になります。
語族 (共通の祖語をもつ言語の集合) によって、 音素の数が多い少ないという傾向はあります。 これには、祖語の音素の数が影響します。 サブサハラの言語の大部分は、ニジェール・コンゴ語族に属しています。 この祖語は比較的音素が多いものとして再建されています。 他にはコイサン諸語があるのですが、語族の中には異常に音素の多いものもあります。 これはクリック音があり、同時調音子音もあるという言語の構造によっています。
音素の数には、集団の小ささと内部のネットワークの濃さも関係しています。 小さな集団の場合には音素の数が維持されやすい傾向があります。 そのため、コーカサスやオーストラリアに音素の数が多い言語がポツリポツリとあります。 逆に、大きな集団になると方言間の接触が多い場合に音素の数が減ることがあります。 現代フランス語で音素が減りつつある理由の 1つがこれです。
この研究は、 音素の数を複雑性の指標にして、言語が移動して分岐すると複雑性が減る としているようです。 しかし、このような分布は各地域の祖語の音素の数と話者集団のサイズでも説明ができます。 例えば、サブサハラの音素の数の多さは、 ニジェール・コンゴ祖語などからの継続性と話者集団の小ささによるとも考えられ、 これらが世界祖語での性質を残しているためだと考える必然性はありません。 同じように太平洋に音素の数の少ない言語があることは、 アウストロネシア語族ポリネシア諸語の祖語での音素の少なさで説明できます。
;; 言語の起源や語族より上のレベルの系統関係の研究は、 ここのところ言語学でも盛んで、論文も沢山でています。 ところが、こういう言語学以外の人のアイディア一発勝負的な論文は、 IF が低いとかアクセプトに時間がかかるとかということもあって、 言語学の雑誌には投稿されないんですよね。 で、IF の高い、けどウサンくさいのも載せるものにアクセプトされて、 メディアに流れる。 もっと良質の研究はあると思うんだけど……。
Re:驚くようなことなの? (スコア:2, 参考になる)
人類学ではDNAの解析から、5万年前にアフリカを出た150人足らずの小集団が人類の祖先であると推測している。これを言語学が裏付けたのは、画期的だと思う。
Re:驚くようなことなの? (スコア:1, すばらしい洞察)
最近1万年の重要な発明をみると、文明は多地域進化っぽいですよね。
言語も多地域進化しててもよくね? と思います。今回の研究はそれを否定した、と。
Re:驚くようなことなの? (スコア:1, 参考になる)
人類が各地に分散してから言語が発達した可能性もあったと。
私なんかはNHK特集とかの知識で、
クロマニヨン人は言語をうまく話したことがネアンデルタール人との違いだ
などとと刷り込まれていたので、現生人類=しゃべるって認識でした。
Re:驚くようなことなの? (スコア:1)
なにをバカな。
すべの学問において、問いかけがそのきっかけでしょう。
どんなに trivial な問に見えても、それへの回答を作るために論点を整理していくことは非常に重要なプロセスです。
Re:古代メソポタミアじゃないんですね。それより、 (スコア:2)
よくわかりませんが、http://okwave.jp/qa/q4855792.html このようなねうよの間で広まっている
ばかげたデマをオフトピで書き込んでカルマを高めるという自虐的な遊びか何かですか?
そういう自傷行為はお勧めいたしかねます。
ちなみに、「契約」は明治時代に日本で作られた新造語です。つまり、熱湯浴の人たちの理屈で言えば、
明治の開国までには日本には「契約」という概念はなかったということになりますね。明治期の新造語の
いくつかと同様、中国・韓国に受け入れられたものです。
「約束」は普通の漢語ですから、日本から韓国に入ったという発言は、あなたの教養を疑わせるに足る
ものですから、よそで言わないほうがいいでしょう。