科学はこうして堕落する 104
ストーリー by hylom
科学より金 部門より
科学より金 部門より
danceman 曰く、
17世紀に科学的方法が提示されて以来、「信用に先立つ立証」が科学の根底にあると考えられているはずだが、現代の科学者が充分な立証を行っていないという問題が起きているとのこと(本家/.、Economist記事)。
バイオテクノロジー系ベンチャーキャピタルでは、公表されている研究のおよそ半分が再現性に欠けると考えられているという。バイオテクノロジー企業のAmgenが昨年、「画期的」とされるがん研究の再現を試みたところ、53件のうちたった6件しか再現することができなかったとのこと。また製薬会社のBayerは、同様に影響力のある研究論文67件のうち4分の1しか再現できなかったとのこと。第一線で活躍する科学者らは、研究論文の4分の3はどれもひどい内容であることにいら立ちを感じているという。2000年から2010年までの臨床実験で、後に撤回されている研究に参加した患者数はおよそ8万人にもおよぶという。
ひどい研究によって人命が失われるような事態におよばなかったとしても、結果として研究資金や優秀な人材の時間を無駄に浪費してしまっていることになる。これらの機会費用を算出することは難しいが、恐らく膨大であり、増え続けていく可能性もあるだろうとのこと。
日本呼吸器学会誌編集委員会からのお知らせ (スコア:5, 興味深い)
日本呼吸器学会では投稿される論文のレベルがその内容どころか、論文として最低限の水準すら満たしてないため、編集委員会から異例のお願い [kyorin.co.jp]が出ている。
Re: (スコア:0)
医療は技術であって、科学ではないですよね。
Re:日本呼吸器学会誌編集委員会からのお知らせ (スコア:2)
「医療は技術である」というのも変だと思うけれど (「医療技術は技術である」なら認める)、それはともかく、医療は科学でなくても、医学は科学だと思う。
Re:日本呼吸器学会誌編集委員会からのお知らせ (スコア:1)
医は仁術なり
#ふと思い出したフレーズ、養生訓だっけ。
Re: (スコア:0)
つまり、医療関係の論文は、一般的な論文とは種類が異なるものだと?
Re:日本呼吸器学会誌編集委員会からのお知らせ (スコア:1)
>それだって、経験による統計という科学の一部ですよね?
機序が解明されていなくても科学なのはそうだと思いますが、
単に個人や集団の「経験」にもとづいているだけなら科学とは言えないでしょう。
ちゃんと数値化して検定していないとだめだと思います。
Re:日本呼吸器学会誌編集委員会からのお知らせ (スコア:1)
医学は、科学というより工学の仲間と思った方がしっくりとくるなぁ。
工学も科学の一部、と言われるとそうかもなぁと思うけど。
Re:日本呼吸器学会誌編集委員会からのお知らせ (スコア:2, 参考になる)
日本の110の学会を敵に回したなw
# お願いの本文だけで十分萎える
Re:日本呼吸器学会誌編集委員会からのお知らせ (スコア:1)
多分元コメは杏林舎と杏林製薬 [kyorin-pharm.co.jp]を混同しているのだと思われる
「信用に先立つ立証」って何? (スコア:3)
「信用に先立つ立証」の意味がわからないんだけど、もしも Economist の記事 [economist.com]にある「Trust, but verify.」という言葉を指しているのなら、「信頼せよ、しかし検証せよ」とか「信用するが検証もする」とかだと思う。 verify は「立証」ではないし、「先立つ」と書いている理由もわからない。
Re:「信用に先立つ立証」って何? (スコア:1)
なるほどリンク先読んでなくて今さっき見た。
verify って確かめるんだよね立証じゃなくて検証の方がふさわしいですね。
立証ならcertifyかproveかな。
"Trust, but verify"だと、「検証してから信用しろ」か「検証なしに信用するな」って感じでしょうか。
#google翻訳だと "信頼するが、検証する" ってなってる。
Re:「信用に先立つ立証」って何? (スコア:2)
違います。 Trust, but verify といった場合、デフォルトで相手 (この場合は論文の著者) のことを信頼はするのです。相手が信頼できないから検証するのではなく、相手を信頼しているけれど検証するということです (あくまでも建前というか言葉の意味としては)。だから、「検証してから信用しろ」とか「検証なしに信用するな」では意味が違います。
なお、ウィキペディア [wikipedia.org]を読んで知ったのですが、 Trust, but verify というのはロシア語の決まり文句の英訳で、米国のレーガン大統領がソ連のゴルバチョフ書記長との会談の際に好んで使ったのだそうです。その状況を考えると、「『検証なしに信用するな』と言いますからね」では駄目で、「『信頼しろ、ただし検証もしろ』と言いますからね」とかでないとおかしいことがわかると思います。
Re:「信用に先立つ立証」って何? (スコア:1)
詳細解説サンキューです。
なるほど、そのままの語順で理解していればよかったんですね。
ぐぐると "trust, but verify" にまつわるあれこれがゾロゾロ出てきた。
けっこう使われる成句なんだ。
科学に「信用」なんてないでしょ (スコア:2)
鉄板と思われる結果が出ても建前上は、あくまで「現時点でもっとも確からしい仮説」ですから、
一見「画期的」な成果に対して再検証がなされて、それで「ダメ」だとわかったのだとすれば、「科学的」には極めて正常なことだと思うのですが。
酷いというのは、追試しようにも前提条件すらわからんような杜撰な研究(←って呼んでいいのか)みたいなのばっかり、ってことなんですかねぇ。
Re:科学に「信用」なんてないでしょ (スコア:3, すばらしい洞察)
科学的に正常な再検証というのは
当該研究の前提(モデルだったり、実験方法だったり)の妥当性を疑うことであって
それらをすべて受け入れて全く同じ実験をしても再現できないのは正常ではないです。
本質的には前提条件がわからないのと同じ問題だと思います。
ただ、こうやって再検証すること自体はいいことですよね。
他人の研究の再検証も研究者の業績として認められるようになればいいのですが。
バイオテクノロジー関連になるんだろうな、一応 (スコア:2)
EM菌も「ペットボトルに入れておくだけで隣の田んぼまで水質浄化に」「放射性物質の除去にも」とかもうあり得ないレベルの効果を主張してますからねえ。
そろそろ消費者庁あたりで動いてほしいんですけど。
Re:バイオテクノロジー関連になるんだろうな、一応 (スコア:2, すばらしい洞察)
この辺は科学や科学者そのものの問題というより、国民性みたいなのもあると思う。
放射性物質に関するトンデモな主張やデマが普通に信じられてたり、科学に基づいた知見を「国の情報操作だ!」と一蹴して信じない人が大声をあげていて、それに周囲が引きずられている。
たとえそこまで行かないにせよ、安全でなく安心を要求するあまり馬鹿みたいなコストを要求してみたり、まじめにリスクや現状と向き合って「何とかしていい方向に持って行こう」とする人の足を引っ張りまくる、とかね。
わかりやすい例で、最近見かけたのだとこんなの [togetter.com]とかな。
無知それ自体を罪とする考え方を自分は大嫌いだが、自分の無知を理解せず、学ぼうともせず、それでいて自分が正しいというスタンスでしか物事を語れないような奴は罪だと思うし、そういうのを淘汰する仕組みを作らないと科学はどんどん堕落っていうか役立たずになっていくと思う。
科学が堕落してきた,というよりは,昔からこんなもんなのでしょう。 (スコア:2)
コントロールしている=ミスの無い状態と思っている時点でアレかと
あくまでもcontrolって,おっしゃるとおり
「まじめにリスクや現状と向き合って「何とかしていい方向に持って行こう」とする」
行為そのものだからね。
無謬ほど胡散臭いモノはないわけで。
無謬で奉れるっつーなら,そりゃすでに宗教なわけで。
でもまあ,科学と宗教は表裏一体で進んできた経緯もあるので,
科学が堕落してきた,というよりは,昔からこんなもんなのでしょう。
Re: (スコア:0)
「科学⇒正しい」の図式に便乗して、科学だと称する偽物が氾濫するようになりましたよね。特にダイエット、健康産業あたりで。
Re:バイオテクノロジー関連になるんだろうな、一応 (スコア:1)
永久機関とかね。ついこの前も極にヤジロベエとかあったね・・・
// だいたいマスコミのせい(:>^
タイトル:How Science Goes Wrong (スコア:2)
「なぜ間違うか/失敗するか」であって「堕落する」なんて言ってないのでは。
「go wrong」で辞書を引くと、4つめの意味に「堕落する」は入ってるけど、
((やや略式・やや古))
と書かれてるので、普通に訳すと「堕落する」にはならんと思う。
#それとも本文中に、堕落を示唆する単語があるのか??
Re: (スコア:0)
howをなぜって訳すのもどうなのよ?
いかに、じゃない? ふつう。
Re:タイトル:How Science Goes Wrong (スコア:1)
原因はなに? (スコア:2)
成果を急ぐあまり検証がおろそかになったりしているということでいいんでしょうか?
# 昔からおかしなものや質の低いものを創出する人は一定数いるけど
# 聞く感じだと質が低いことに気付けていない人も増えている気がしている
Re:原因はなに? (スコア:1)
原因は、それが自然だからです。
もしも自然だという理由がわからないのなら、
それはあなたが目的と手段を正しく認識していなからでしょう。
現代の研究産業に従事する研究屋にとって、
研究成果の公表という目的のために、論文や学界発表という手段があるのではなく、
論文発表や学界発表によるポイント獲得こそが目的であり、
研究成果というのはそこに至るための手段に過ぎません。
よりポイントを稼ぐためには、
学界追放になるような捏造は避ける範囲で論文を大量生産するのが効率的です。
ですから低質な論文が大量に生産されるのは極めて自然なことなのです。
査読を厳しくすることで質が高まると幻想を抱くかもしれませんが、
査読する側もまたポイント制の研究産業の人間ですから意味はありません。
政治家が政治家を律する立法をできないのと同じです。
少しでも研究かじってればそれが実態であることは分かるでしょうし、
研究業界に縁のなかった人は、成果は研究内容ではなく、
発表の数だということを正しく認識すべきです。
投資の問題では? (スコア:1)
ここで憂いている内容も科学なのでしょうが、信用の立証の前に結構な投資がなされるというのは、主に投資する側の問題や都合ですね。それと投資対象としての研究産業の拡大もあるでしょう。
科学者から投資家への説明の誠実さも問題ですが、それを判断するのが投資家の仕事ですから、投資が回収できる研究の割合が少ないのは今に始まったことではない。
産業構造の変化で研究産業の規模や割合が大きくなったとか(品質を維持した拡大は難しいし)、資金のだぶつきで低い期待値でも投資対象に選ばれるとか、研究規模の拡大により個人や企業内部の資金では足りずに外部に頼る率が上がって、失敗が外部にも知られるようになってきたとか、短期で結果が評価されるようになってきたとか、そんなこんなで成功率がさらに低く計算されてしまう。
お金を使ってお金を儲ける行為を非難はしませんが、強欲が失敗につながることは先刻承知の上でしょう?投資家が変化すれば、科学者の方もそれに適応してゆきます、堕落と評価される科学者も増えても不思議ありません、今更文句を言われてもなあ。
ならば、追試専門の機関を (スコア:1)
論文の追試を主な業務とする組織を建てて、追試を行えばよいのでは?
製薬メーカの共同出資で。
# 変な論文に騙されて、臨床試験まで進める金と手間が節約できるなら元はとれそう。
# (事態が、そこまで酷くならない事を祈る)
notice : I ignore an anonymous contribution.
成功が全てというわけでもない (スコア:1)
これだと、役に立つ薬を見つけられなかった研究は無駄、と言っているように見えて、ちょっとおかしい気がする。
ある薬が効くかも知れないと仮説を立てて実験をしたけど、効かなかった、
というのは、「その薬が効かないことが分かった」という成功事例であって、無駄な研究ではない。
他の人が同じ薬を試してみようとする無駄な努力を減らせる。
それをそのまま「効かなかった」として発表すれば良いところを、無理矢理に
結果をいじくって「効いた」として論文に纏めると、問題になる。
でもそれは、無駄な研究にコストが浪費されたわけではない。
それなりには役に立つ研究だったけど、論文に嘘を書いたせいで台無しになっただけ。
本来、「効いた」という論文も「効かなかった」という論文も公平に評価されるべきだけど、
「効かなかった」という成果では製薬会社から研究予算を取ってきたりという面で不利になる。
なので、何とかして「効いた」として纏めたいと無理をする。この無理の部分は無駄な努力だけど。
問題は研究結果そのものじゃなくて、論文としてのまとめ方とか、そういうまとめ方を誘導してしまう、
研究成果を評価する尺度の方にあるかも知れない。
取られるべき方策は、ウソの書かれた論文は元となった研究自体から無駄なのでその研究成果を全部捨てましょう、ではなく、
ウソを付いた奴らに正しいデータを出させましょう、だと思う。
原因は (スコア:1)
科学技術発展のスピードだと思うね。
ゆっくりなら検証が終わってから使う事も出来たが、現状では未検証でも次の研究に使わにゃならん。
そのため未検証で溜まる事の悪影響が増大してる。
検証専門機関でも作るかな?
the.ACount
経済学 (スコア:0)
一応数値シミュレーションの対象ではあるのだが…。
マルクス経済学辺りになると、最早哲学か宗教の領域だとは聞くけどね。
Re:経済学 (スコア:3, すばらしい洞察)
マル経にかぎらず、他にも例えばトリクルダウントリクルダウン規制緩和規制緩和構造改革構造改革とお題目を唱える一派も大概……。
失敗しても「規制緩和が足りなかったんだ!」だしな。
Re: (スコア:0)
> 一応数値シミュレーションの対象ではあるのだが…。
これ、科学的であるかどうかと関係あるの?
Re: (スコア:0)
数値シミュレーションといっても要求される結果を前提にモデルを決定していますので
院生(オフトピ) (スコア:0)
予算獲得の為に、研究者としては一本立ち出来そうにない人材を、院生に仕立てたせんせーは少なくないと云う噂を聞く事はあるけど、真相は如何に?
バイオテクノロジー系ベンチャーキャピタルでは (スコア:0)
科学の研究するとこじゃなくて金を儲けるとこじゃん。
期待が間違ってると思うよ。
Re:バイオテクノロジー系ベンチャーキャピタルでは (スコア:2)
バイオテクノロジー系ベンチャーキャピタルが研究してるわけじゃなくて、
「(投資の対象を評価するために研究論文をレビューしている)バイオテクノロジー系ベンチャーキャピタルの経験則では、(それらの)論文の半分は再現性がない(だから当てにして投資すると危ない)」
ってことですよね。
むしろ金儲けに繋がる研究を血眼で探してる人たちの科学研究に対する評価なので、
ある意味同業のレビュアよりも実用化(≒再現性)に対して厳しく正当な評価なのだと思います。
大学とかって (スコア:0)
大学が教授の資格に年間の論文数を規定してるんだから内容など推して知るべき。
そこにあるのは、科学ではなく、就職活動なんですから。
Re: (スコア:0)
かなり古いが、藤原正彦『若き数学者のアメリカ』あたりを読めば、アメリカの論文主義がよく分かる。現在の地位を守るのも大変だ。と、自己啓蒙活動レポートを書きながら投稿してみる。こんなの書く暇あったら、本当はデバックでもしていたいのだがなあ。レポートと論文の違いはあれど、今の地位を守るために書かなければならない書類は多い。
お約束 (スコア:0)
お兄様は墜落しました
Re:お約束 (スコア:1)
堕落と墜落はよく似ている.
Re:お約束 (スコア:2)
解脱と解説も似ている。
Re:お約束 (スコア:1)
あ~、えりかとイルカって似てる~
らじゃったのだ
Re:お約束 (スコア:1)
相模と相撲も似てますか?
~パタポン教徒~
Re: (スコア:0)
15世紀に経済学的方法が提示されて以来、「信用に先立つ取引」が経済の根底にあると考えられているはずだが、現代の経済学者が充分な立証を行っていないという問題が起きているとのこと
なんでもいけそうなコピペやな
Re: (スコア:0)
(C)ゆうきまさみ
Re: (スコア:0)
間抜けは仕方ないが堕落だけはいかん
Re:お約束 (スコア:1)
スラドは幼稚園のバス扱いなのか…
RYZEN始めました
エセ科学 (スコア:0)
つまり科学ではない。
そもそも (スコア:0)
「バイオテクノロジー企業勤務の研究員」を
古来からの科学者と同列に扱う事に違和感が・・・
お兄様 (スコア:0)
だらく or ついらく?