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地震

熊本地震論文の地震計データに改ざんの疑い 24

ストーリー by hylom
どうしたんだ 部門より
masakun曰く、

去年4月に起きた熊本地震の論文「Preliminary Analysis of Strong Ground Motions in the Heavily Damaged Zone in Mashiki Town, Kumamoto, Japan, during the Mainshock of the 2016 Kumamoto Earthquake (Mw 7.0) Observed by a Dense Seismic Array」に掲載されたデータに改ざんの疑いがあることが分かり、共著者が論文を取り下げると発表するなど騒ぎになっている(MBS毎日放送)。

論文では益城町に臨時で設置された地震計3か所の記録が掲載されているが、このデータが改ざんされて使われた可能性があるようだ。

論文の共著者である京都大学防災研究所の後藤准教授による「益城町本震記録に関するお詫びによると、益城町にて観測されたとするデータに関する資料(PDF)が匿名で提供されたという。この資料では、論文に掲載されているデータと防災科研が設置した「KiK-net(基盤強震観測網)益城(KMMH16)」のデータを相関分析したところ、ほぼ一致したということが示されている。後藤准教授は「提供された資料に記載の事実に誤りがないこと、すなわちデータに重要な問題があることを確認いたしました」としている。

別の共著者である産総研の吉見研究員も「早い段階で、初期微動部分について、高周波数成分が少ないように感じていた等、根本的検討をする時間は十分にあったにも関わらず、疑問点を検証しないままとしてしまった」と陳謝、問題のデータの公開を中止した(「2016年熊本地震の益城町臨時観測点における本震記録について」)。主筆者である大阪大学の秦吉弥准教授については大学が事情を聴いているという。

この問題については一時土木学会地震工学委員会のWebサイトにも情報が掲載されていたが、その後内容が修正されている(土木学会地震工学委員会「熊本地震本震の臨時観測公開データの問題について」修正前記事のWebArchive)。京都大学の澤田純男教授によると、「公開データがその時点でも進行形で研究等に使われていることを鑑み、一刻も早く皆様にお知らせすることが重要であると考え、土木学会の了承を得ることなく、澤田だけの判断で地震工学委員会のホームページに掲載した(京都大学防災研究所地震災害研究部門Webサイトに掲載された澤田教授による報告)とのこと。

実際、このデータをもとに益城町でこれまででは考えられないような強い揺れが生じていたとして、揺れを増幅させる「表層地盤」のメカニズムが広く報じられていた(たとえばNHKによる「熊本地震が浮き彫りにした「表層地盤」というリスク | NスペPlus」など。すでに記事は削除済み)

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  • ちゃんと解明するつもりがあるのなら、
    ・間違った論文
    ・指摘された内容
    ・間違っていたと判断した根拠
    をちゃんとのこして公開して欲しい。

    資料を削除してしまったら、偽造をなかったことにしているのと同じだよねぇ。

    • > ・指摘された内容
      > ・間違っていたと判断した根拠

      はhttp://wwwcatfish.dpri.kyoto-u.ac.jp/~goto/が出てるかな。

      親コメント
      • いまは地震計を設置した大阪大学の当事者を含め検証待ちの段階ですね。

        ついでにさっき見つけた福岡大学工学部建築学科地震防災システム研究室の高山教授のブログ記事をメモしておこ。

        教授のひとりごと「熊本地震での本震の観測」 [livedoor.jp](2016年10月09日17:00)

        この記録は、地震動の大きさと被害率の関係を検討する上では非常に貴重である。
        (略)
        観測で使用した地震計はサーボ型(JU-210)で、論文では地面にアンカーして固定した(the accelerometer fixed to the ground with an anchor)と書かれている。どうやってアンカーされたのは分からないが、強烈な揺れでも地震計が動いたりしないようになってはいるのだろう。

        「熊本地震本震の臨時観測公開データの問題について」 [livedoor.jp](2017年9月28日17:00)

        「かなり大きなレベルの地震動が対象であり、表層地盤はそれなりに非線形化していることを想定すると、各地点の方向別に相関分析をした結果が一致するというのは、極めて特徴的と考えられる」としている。かなり不自然な観測記録ということか。

        この臨時観測点で得られた記録を使った分析や研究が進められており、検討結果が早急に公表されることを望みたい。

        --
        モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
        親コメント
      • by Anonymous Coward

        リンク先がgotoだって!?どこにリダイレクトされるんだ…と思ってしまったのでAC

    • by Anonymous Coward

      改ざんは「間違い」ではない

  • 捏造の疑い (スコア:2, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2017年10月05日 20時42分 (#3291462)

    正確に言うと「改ざん」ではなくて「捏造」の疑い。「既存地震計の空白域(家屋倒壊が多かった益城町中心)において、前震後に阪大研究者が設置した地震計で得たという本震波形データは、実は近隣の既存地震計で得られた波形データを加工して作成したもの」の疑いなので。

    • by Anonymous Coward on 2017年10月05日 22時30分 (#3291511)

      今年の四月に准教授に昇進 [osaka-u.ac.jp]か。
      ちょうど、あと一本大きな業績があればってところだったのかな。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        前震直後の本震という貴重な測定に失敗したが,
        貴重であるがゆえにデータが取れなかったと言えなかったのかもしれない.
        (それでも問題であることに変わりはないのですが)

        秦氏は,阪神淡路大震災の被災者で,
        『阪神淡路大震災が今の僕の原点』 [civil-hu.jp]と話しているので,
        業績のために震災の解明を妨げるようなことをしたと思いたくない.

        • by Anonymous Coward

          この一件で彼が主導して観測したデータや論文およびそれを根拠にした研究は尽くが再検証すべき状態に陥ったのは間違いない。
          業績だろうが面子だろうが、理由が何であっても結果として震災の解明を妨げてしまったのは変わらない。

    • by Anonymous Coward

      ありがとうございます。
      ストーリー本文や他のコメではよくわからなかったんですが
      このコメのおかげで(おぼろげながら(汗))理解できたような気がします

  • by Anonymous Coward on 2017年10月05日 20時59分 (#3291470)

    この本のデータの元ネタを発掘するのが流行りそう

    被害地震の揺れに迫る
    ―地震波形デジタルデータCD付き―
    秦 吉弥,野津 厚 著
    http://www.osaka-up.or.jp/books/ISBN978-4-87259-565-9.html [osaka-up.or.jp]

    • by Anonymous Coward

      目次を見る限りでは,第一著者が研究職に就く前の 2011年東北地方太平洋沖地震まで,
      古くは1968年からのデータが入っています.
      おそらく著者自身はこれらのデータを測定しておらず,
      他者の測定データをまとめて出版したのではないでしょうか.
      そうなら,データが改竄・捏造されている可能性は低いと思います.

  • by Anonymous Coward on 2017年10月05日 22時48分 (#3291524)

    筆頭著者のウェブページ [osaka-u.ac.jp]を見ると,今年の9月だけで9か所の計測を行っている.
    前にさかのぼれば,もっと多くの計測データがある.

    しかし,このような疑いが指摘された後では,計測されたデータに信頼性がないので,もう使えない.
    それでも使うなら,書き換えられていないことを示す手間がかかる.
    どちらにしろ,もったいない.

  • by Anonymous Coward on 2017年10月06日 10時41分 (#3291664)

    せっかく各地のデータがそろうように地震を起こしたのに。

    • by Anonymous Coward
      君は全文検索でもしていなさい。
  • by Takahiro_Chou (21972) on 2017年10月03日 9時32分 (#3289756) 日記

    あそこの宗教団体に応援された政治家は、何故かロクな目に遭わない事が多いですが、今回の選挙に関しては、今の所、特に応援or非難している政治家・政党は無いみたいですので、被害で自分とこだけになりそうですね

  • by Anonymous Coward on 2017年10月05日 17時31分 (#3291366)

    デジタルデータだから、どうやっていじった? エディタがあるとか?
    いじったデータで何をしたかった?

    ちなみに熊本地震のように何千回も余震が起きるのは、プレートじゃ説明できない。
    地震の現行モデルがおかしい。

    • by Anonymous Coward

      他の観測点のデータから別の観測点(存在しない可能性あり)のデータをそれっぽく捏造した。
      そしてそのデータの分析から被害が発生するメカニズムについていろいろな分析が行われた。

      >地震の現行モデルがおかしい。
      現行モデルで説明しづらい部分を説明する仮説を、捏造により証明している形なんじゃないかな。
      実際にその仮設が正しくても、今後はぐうの音も出ないような検証がされない限り信用されないかもしれない。

      科学が後退する現場そのもの、かな。これは。

  • by Anonymous Coward on 2017年10月05日 19時59分 (#3291442)

    指摘を受け,観測記録とされるデータを改めて精査したところ,提供された資料に記載の事実に誤りがないこと,すなわちデータに重要な問題があることを確認いたしました.

    資料とはデータだろうと思ったので、
    提供された資料に誤りがないのかあるのかどっちなんだ?と、誤読。

  • by Anonymous Coward on 2017年10月07日 17時15分 (#3292282)

    秦吉弥は益城町に設置した臨時の地震観測点において4/16の本震記録を取得しました [kyoto-u.ac.jp],と書いてあるので,
    ほかの著者はデータ書き換えについて知らなかった,という立場で,すぐ謝罪を表明したのかな.

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計算機科学者とは、壊れていないものを修理する人々のことである

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