
2018年のノーベル化学賞、進化の力を利用した米国と英国の3氏が受賞 11
ストーリー by hylom
人為的進化 部門より
人為的進化 部門より
headless曰く、
2018年のノーベル化学賞は、その半分を米国のフランシス・H・アーノルド氏が受賞し、あとの半分を米国のジョージ・P・スミス氏と英国のグレゴリー・P・ウインター氏が共同受賞した(概要、プレスリリースPDF、科学的背景PDF、一般向け情報PDF)。
総合的な授賞理由は進化の力の利用。アーノルド氏の授賞理由は酵素の指向性進化、スミス氏とウインター氏の授賞理由はペプチドと抗体のファージディスプレイとなっている。いずれの研究でも、変異させた遺伝子が作り出すタンパク質の有用性を見極めて選別し、進化を加速させる指向性進化法(directed evolution)と呼ばれる手法がかかわっている。
アーノルド氏は1993年に初めて酵素を指向性進化させて以降、手法を改良していった。酵素は化学反応を促進するタンパク質であり、アーノルド氏が改良した手法は新たな促進物質を開発するのに使われている。アーノルド氏が開発した酵素の中には、薬品や再生可能燃料など、化学物質の製造過程で環境負荷をより低下させるために使われるものも含まれる。
スミス氏は1985年、バクテリアに感染するウイルスであるバクテリオファージに組み込んだ遺伝子を表面に発現させる「ファージディスプレイ」と呼ばれる洗練された手法を開発する。新薬開発を目指していたウインター氏は、指向性進化法で特定の抗原を認識する抗体を選別するため、ファージディスプレイを用いた。この手法による最初の成果は2002年に承認されたリウマチ治療薬「アダリムマブ」であり、以降も毒素の中和や自己免疫疾患の緩和、転移がんの治療などを可能にするさまざまな抗体がファージディスプレイを用いて製造されているとのことだ。
化学賞と医学賞 (スコア:0)
なんか医学賞っぽい匂いがするけど、例年はもっと別物なのかな。
関連リンクの過去の化学賞みてもなんとなく医学っぽい雰囲気がするが。
Re:化学賞と医学賞 (スコア:3, すばらしい洞察)
まあ、今となっては物理・化学・生理学って分け方が古すぎるのかもね。薬学に大企業が多いってだけかもしれないけど。
Re:化学賞と医学賞 (スコア:3, 参考になる)
Re: (スコア:0)
ラザフォードが化学賞を受賞していたり、化学賞は物理学賞と医学賞の足りない分を補っている観があります
Re: (スコア:0)
ラザフォード(とハーン)は元素の変換方法を確立したんだから、錬金術の最終目標を達成したって意味では化学賞が相応しいと思うけどね。
フランシスって (スコア:0)
女の名前だったのか
Re:フランシスって (スコア:1)
日本語表記では両方ともフランシスと書く場合もありますし、女性名はフランセスと書く場合もあります。
Re: (スコア:0)
まあ、FrancisとFrancesはアメリカ人でも間違えることがありますので。
このFrances氏が生まれる前の話ですが、米国でFrancesという女学生が男性だと勘違いされて某一流音大の書類選考を通ってしまい、実技試験会場で大騒ぎになったというエピソードを聞いたことがあります。
彼女は「女は入学資格はない」と言って追い返そうとする職員たちを物理的にはねのけて試験室に突撃し、審査員に「まずは私の演奏を聴いて!」と直談判してオーディションをさせてもらい、見事合格をもぎ取ったそうです。
そして卒業後はプロの演奏家になり、事あるごとにこの武勇伝を弟子達に語っていたとさ。めでたしめでたし。
画一判断はできないよ (スコア:0)
(名づけ)親が神学的教養と常識を持ち合わせていない場合、他人と同じ平凡な名前か、キラキラネームのどちらかにしかならない。
Re: (スコア:0)
フランシス娘 ザビエル
進化の力を利用した米国 (スコア:0)
タイトルを変な区切り方して、なんかラスボス感あるなと思ってしまった。
力を制御できず暴走するところまでワンセットで。