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JAXA

H3ロケットの第1段エンジンの3基同時噴射試験の模様が公開される 29

ストーリー by hylom
期待 部門より

Anonymous Coward曰く、

2月13日、JAXAが2020年度に試験機の打ち上げを予定しているロケット「H3ロケット」のエンジン噴射試験の様子が報道関係者に公開された(NHK読売新聞)。

H3ロケットでは、1段目に新型エンジン「LE-9」を2基もしくは3基搭載できるようになっており、今回の試験ではメインエンジンの3基同時の噴射が行われた。3基を束ねての噴射は実際の打ち上げ時の構成と同じとなる。H3の初号機は来年に打ち上げられる予定とのこと。

H3の第一段エンジンであるLE-9にはエキスパンダーブリードサイクルという燃焼サイクルを採用している。この燃焼サイクルを実用エンジンに採用しているのは日本だけで、エンジンの構造を単純にでき信頼性を高めやすいという利点と、性能や効率が悪いという欠点があるとのこと。従来はH-IIの第二段エンジンであるLE-5A/LE-5Bに採用されていたが、今回はより大型の第一段エンジンにも採用された。将来的にはH-II以上に高信頼のロケットになるかもしれない。

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  • LE-9が当初予定よりも推力が弱くなってしまったのでLE-9が3基でSRB無しのタイプは当分見られないだろう…、と聞いた。やはり大型・大推力のエキスパンダーブリードサイクルは無理があったのか?
    どうも日本の技術陣には「技術的困難を克服すれば得る見返りも大きい」と錯覚している節がある。

    • by Anonymous Coward

      > どうも日本の技術陣には「技術的困難を克服すれば得る見返りも大きい」と錯覚している節がある。
      否定はしないですが、見返りの評価が難しい(人それぞれ・分野によって違う)ということもあると思いますよ。
      積載量に余裕があるなら信頼性向上によって受注が増えて結局プラスとか、構造化シンプルだから製造費が下がりやすいとか、いろいろ考えはあるんじゃないですか。
      それに流石にある程度シミュレーションで結果の目星は付けて、悪い結果の場合も考慮して開発した結果なのではないでしょうか(お金ないのはやってる人が一番感じてるでしょうし)。

      • 2段燃焼サイクルのLE-7が高コストだから安いエンジンを、ってーんで構造を簡略化したエキスパンダーサイクルのLE-9を開発するというのはわかるんだが、能力がLE-7以下になっちゃうというのもなんだかなあ

        だったらH-2Aで二段目に使ってたLE-5Bをそのまま束ねてクラスターにしちゃうとかいう発想はなかったんだろうか

        親コメント
        • 推力はLE-7Aの1,098kNに対して、LE-9は1,471kNと、33%アップで、
          比推力はLE-7Aの長ノズル(後期)が440s、短ノズル(前期)が429sなのに対し、LE-9は425sだから、
          性能として及第点は取れてるんじゃないかな。

          ていうか、LE-5Bは137kNしかないから、さすがにクラスターにするのも厳しいと思う。
          H-IIA(LE-7A×1)レベルで8本、
          H-IIB(LE-7A×2)レベルで16本
          H3-30S(LE-9×3)レベルだと32本も必要…

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        • by Anonymous Coward

          たとえば故障率1%のエンジンを3個束ねて故障率1%にするなら、
          1個のエンジンの故障率を0.3%くらいにしないといけないから
          LE-5Bをそのままは難しいんじゃないでしょうか。

          • 「9基のエンジンを束ねれば故障率を否が応でも下げなければならなくなるから経験が積める」つーのも偉く乱暴なストラテジですな。

            親コメント
          • by Anonymous Coward

            たとえば故障率1%のエンジンを3個束ねて故障率1%にするなら、
            1個のエンジンの故障率を0.3%くらいにしないといけないから
            LE-5Bをそのままは難しいんじゃないでしょうか。

            3基のクラスターだと1基の故障で軌道投入ができなくなってしまいますが
            10基のクラスターだと1基くらいの故障は見込んだうえでの運用ができるのでやっぱ小さいエンジン沢山束ねるのは大正義なのかも

            • 10基のクラスターで1基までの故障を許して「2基以上故障」を1%に収めるためには、
              1基あたりの故障率は1.6% [wolframalpha.com]に抑える必要があります。2基故障まで許すと4.7%、3基故障まで許すと9.3%。
              10基中1基の故障を許す程度じゃ、故障率の観点で「束ねるのは大正義」にはならないと思う。2~3基は故障を許すぐらいじゃないと。

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              • by Anonymous Coward

                しかも独立故障を仮定して、ですからね。
                1台故障時の条件付き確率での故障率はどんなもんでしょうね。

              • by Anonymous Coward

                初段軟着陸回収=コストダウンの為には、推力(無段階連続)調整範囲が広いクラスターエンジンが大正義。

            • by Anonymous Coward

              サターンVの一段は5基のクラスターで1基故障までは想定内でした(実際アポロ13号では1基故障したが軌道には問題なく投入された)。10基もあれば2基くらい止まっても大丈夫かも。

            • by Anonymous Coward

              > 10基のクラスターだと1基くらいの故障は見込んだうえでの運用ができるのでやっぱ小さいエンジン沢山束ねるのは大正義なのかも

              https://ja.wikipedia.org/wiki/N-1 [wikipedia.org]
              30基のクラスターでやろうとしたけど、制御できず失敗した例

              • by Anonymous Coward

                ファルコンヘビーはエンジン27基で成功した。時代の差かな?

              • by Anonymous Coward

                電子制御の成せる業、ということなんでしょうね。

        • by Anonymous Coward

          >能力がLE-7以下になっちゃうというのもなんだかなあ

          能力って推力なのか比推力なのか?

          エキスパンダーサイクルにすれは確実に二段燃焼サイクルよりも比推力は落ちる。
          安く・信頼性を上げてそこそこのエンジンを作るんだから初めからLE-7より比推力は下がるでしょ

      • by Anonymous Coward

        対米貿易協定により、米製既存ロケットで安価に済む場合、日本で作れないんだろうよ。
        だから何かしら新規開発の理由が必要になる。

      • by Anonymous Coward

        > 見返りの評価が難しい(人それぞれ・分野によって違う)

        見返りの評価をあいまいにしたまま
        予算を取れたら関係者全員幸せだと思って突っ走るからでは

        WikipediaのLE-9の項目には
        「現在の衛星打ち上げ市場において競争力を持つためには」と書いているが
        それを実現するにはエンジンだけじゃだめで
        「費用の合計」が「競争相手より」低くならないといけないのだけど
        ちゃんと見積もってるんでしょうかね。

        • by Anonymous Coward

          https://note.com/ina111/n/n5f5ace35549a [note.com]
          インターステラテクノロジスの社長の考察。
          「ファルコン9が安いのは、安いエンジンを使っているからだ」
          JAXAもMHIも安いロケットを作りたければ、まず安いエンジンを開発するべきだった。

        • by Anonymous Coward

          なぜ、エンジンだけで実現するつもりだと思うのか不思議。

    • by Anonymous Coward

      信頼性アップと製造コスト削減のメリットがあるみたいだけど、退化してるような気もする。
      エキスパンダーブリードサイクルの説明を見て、なんかもっと改良できそうじゃない?と思ったら、二段燃焼サイクルの方がその改良型に見えたよ。

      • by Anonymous Coward

        最高の物が最適の物とは限らないのよー。
        説明見たなら分かってるだろうけど、2段燃焼サイクルは製造が大変で失敗の可能性が出てくる。高コスト高リスク高性能エンジン。
        LE-7で一度手に入れた技術だけど、無駄にハイスペックすぎるとして現実路線(商用可能コスト路線)へ転換しようということ。

        エキスパンダーブリードサイクルのエンジンなら、ターボポンプまで含めて再利用できる可能性が高いのもポイントかもしれない。
        SpaceXに対抗するには日本も再利用を視野に入れる必要があるけど、2段燃焼サイクルエンジンの再利用は整備費用の方が高くつきそうだよ…。(スペースシャ

        • by maruto! (18665) on 2020年02月18日 17時38分 (#3764412) 日記

          エキスパンダーブリードサイクルは配管が2段燃焼サイクルに比べて単純で低コスト化しやすい、故障が起きても爆発しにくいというメリットがあるんだけど「大型化高出力化が著しく困難」という致命的な弱点がある。
          H3ロケットの第一段は当初は「100tfのエンジン4基」の計画だった。ところが実際は「低コスト化」の理由でに150tfのエンジンを2〜3基というわざわざ困難な方向に舵を切ってしまった。エンジン基数を減らしても必ずしもコストが下がるわけじゃない事はSpaceXが証明している。また大型高推力エンジンにした事で高コストになってしまい、民間市場では使えなくなってしまったデルタIVという例がある。なので自分はH3ロケットの「低コストで民間市場で競争可能」というコンセプトに少々疑問を感じている。

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            根拠の無い円高が是正されれば、H3ロケットの「低コストで民間市場で競争可能」というコンセプトは成立するんだがな。

            • by Anonymous Coward

              1ドル360円に戻せばH-2も「低コストで民間市場で競争可能」なコンセプトが成立しますね。

              • by Anonymous Coward

                実際ロシアの複雑なRD-170系ロケットエンジン(何とエンジン一基に、燃焼室+ノズルが四基も付く)等は、高い価格競争力を有する。

              • RD-170系は(推力重量比を除けば)確かに優秀なロケットエンジンなんだが、メインプラットフォームがロシアと仲違いしたウクライナのゼニットなので現在載せるロケットが無い状況。
                遅々として完成しない次期主力ロケットアンガラの状況に痺れを切らしたRoscosmosは次期有人宇宙船打ち上げ用としてRD-171Mを搭載し、ゼニットの射場が利用できる新型ロケット「ソユーズ5・フェニックス」の開発を始めた。初打ち上げは2024年の予定。

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        • by Anonymous Coward

          簡素なエンジンを量産して安価にして多数クラスタする、ってのはSpaceXが成功させてる。

          で、そのSpaceXは今度はフルフローのRaptorを実用化しようとしてるっていうね。

        • by Anonymous Coward

          基本的には元コメに同意なんだけど、そうやってSpaceXみたいに簡素なエンジンでクラスタ化しようとしたら、肝心のSpaceXがフルフロー型2段燃焼サイクルに行ってしまったのはちょっと気になる。

          まあ、SpaceXの高性能路線転換は再使用ありきだから、再使用を想定してなさそうなH3では別に問題ないけど。
          H4ではまた路線変更を強いられるかもしれぬ。

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