パスワードを忘れた? アカウント作成
14969969 story
地球

放射冷却で表面温度を外気温よりも下げることが可能な塗料 49

ストーリー by headless
冷却 部門より
炭酸カルシウムを用い、商業的に生産されている遮熱塗料よりも太陽光の反射率が高く、放射冷却により直射日光下でも表面温度を外気温よりも下げることが可能なアクリル塗料を米パデュー大学の研究チームが開発したそうだ(パデュー大学のニュース記事論文ScienceDailyの記事動画)。

8~13マイクロメートルの波長領域は「大気の窓(sky window)」とも呼ばれ、大気中でほとんど吸収されずに宇宙へ放出される。放射冷却はこの波長領域の赤外線を放射する物体が冷却される現象だ。放射冷却は外部エネルギーを消費しない冷却技術として長年研究されているが、現在のところ1層のみで日中の表面温度を外気温以下に冷却可能な塗料は商業的に実現していない。

炭酸カルシウムはバンドギャップが大きく紫外線をあまり吸収しないが、屈折率は低い。そのため、研究チームは60%という高濃度で炭酸カルシウムを配合し、粒子を幅広いサイズに分布させることで光の散乱を強めている。これにより、現在商業的に生産されている遮熱塗料の反射率が80~90%程度にとどまるのに対し、炭酸カルシウム・アクリル塗料の反射率は95.5%に達し、大気の窓で0.94という高い放射率を実現した。なお、高い放射率は炭酸カルシウムではなく、アクリル基剤の貢献が大きいという。

パデュー大学のあるインディアナ州ラファイエットで2018年3月に行った実験では、サンプルの温度が夜間には外気温よりも10℃低く、太陽放射ピーク時でも1.7℃以上低くなったそうだ。また、2018年8月にネバダ州リノで行った実験では夜間の冷却能力が56W/m2、10時から14時の冷却能力が37W/m2だったとのこと。炭酸カルシウムは酸化チタンなどと比べて安価であり、低価格な遮熱塗料が実現できる。また、金属を含まないことから無線通信設備の冷却といった用途での使用も期待される。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2020年10月25日 12時56分 (#3912775)

    熱力学の法則が破綻する!!??

    • by Anonymous Coward on 2020年10月25日 13時06分 (#3912781)

      ネタにマジレス失礼。
      宇宙空間と言う低音の熱源に熱を捨てているので、この場合は熱力学的の法則は破綻していない。
      逆に言うと、宇宙空間全体と地球の温度(赤外線の放射量)が等しくなったら、放射冷却は成り立たなくなる。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        つまりそのうち使えなくなると。あまりスジのいいやり方じゃないですね(真顔

        • by Anonymous Coward

          宇宙空間自体はどんどん冷えて行ってるので、人間ごときが捨てる熱量より温度が下がる方が速い。
          太陽質量のすべてに相当するエネルギーを捨てたって何の影響もない。

          • by Anonymous Coward

            真空って何もないので、宇宙空間には温度もないと思ってたけど違うかな。
            気体や液体・固体があれば、そのモノの温度はあるだろうけど。
            その何もない空間がさらに今より冷えていってるという話で訳が分からない。

            電磁波や光が放射されている空間で、そのエネルギーでもってその場にある気体や固体が熱せられて温度が上がるというならまだ分かるが。
            と言ってもそれはその気体や固体の温度であって、やっぱり宇宙空間の温度ではないのでは?

            • by Anonymous Coward

              「黒体輻射」で調べると答えがわかる.

              • by Anonymous Coward

                そりゃ今回のストーリーのように放射冷却で熱を出してるモノ自体について言うことだろ。
                親コメがいう宇宙空間の温度についてではない。

            • by Anonymous Coward

              背景放射から推定される「温度」とかは星間物質の温度であるとかいうならそれはそうなんだろうかな

            • 気体の分子や普通の物質の粒子を全部取り除いても、真空中には光子が存在します。

              例えば断熱材で囲んだ真空に温度計を突っ込んで、この光子と熱平衡状態になった温度計の目盛を読めば、その部分の真空の温度が判ります。

              常温やそれ以下の辺りだと真空の比熱は非常に小さいので、測定行為の影響を受けやすいですが、水の分子と熱平衡状態の温度計で水温が判るのと原理的には同じです。

              また光子すら存在しない絶対零度の真空は熱力学的に存在しないと考えられています。

            • by Anonymous Coward

              3K輻射って聞いたことないですか?
              ビッグバンの名残とか言われてますけど、あれってすなわち
              宇宙空間(真空)の温度が3ケルビンってことですよ。

            • by Anonymous Coward

              宇宙空間は絶対真空ではありませんし、「熱の放射」というのは実体を介してだけではなく赤外線など無実体でも伝わります。
              なので「宇宙空間でも熱は伝わる」し、「宇宙空間に熱を放射して温度を下げる」ということができます。
              そして宇宙空間の温度というのは「宇宙空間から観測地点に向かって飛んできている(当たっている)熱の総和」みたいなイメージで捉えるといいでしょう。
              (他コメントで背景放射の話をしていますが、これは「観測・推定できる他の放射体の影響を全て差し引いても残る、過去からの熱放射」の話なので「宇宙空間の温度」とは関連するけど違う話をしています)

              • by Anonymous Coward

                温度が熱の総和とか
                背景放射の分光分布は温度とは違う話とか

                理解できない・・・
                物理法則が違う世界からのコメントなのかしら

            • by Anonymous Coward

              真空は何もないけど、宇宙空間は真空じゃないから。
              なんか色々浮いてるだろ。だから平均温度3Kとか言われるわけで。

    • by Anonymous Coward

      その分宇宙の温度がわずかに上昇しているので、全体でエントロピーは増えているはずです。

    • by Anonymous Coward

      マクスウェルの悪魔が仕事してんだよ。
      邪魔してやんな!

  • by Anonymous Coward on 2020年10月25日 13時00分 (#3912777)

    それって中の人は快適かもしれないが、周囲の人は眩しくてやってられないっていう・・
    周りに迷惑かけると生きにくいぞ、とりわけ日本社会では。

    • by Anonymous Coward on 2020年10月25日 14時13分 (#3912812)

      既存の遮熱塗料の反射率が80~90%だそうなので、これが95%になったところで外の人には眩しさ10%upとかにしかならないよ。
      中の人は残りの20~10%分の熱が5%に減るから効果大。

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2020年10月25日 23時14分 (#3912999)

      太陽光の反射率が 95.5% とありますが,これは鏡の反射のように一条の光の反射ではなく、可視光ではほぼ全方向に散乱する反射です。
      したがって,目に入る光の量は散乱体からの距離にも依りますが鏡からの直接反射光の 1% 以下となり全然まぶしくないです。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      また毛の話をしてる・・・

      ではなく、平面を空に向けているなら大丈夫でそ
      隣のビルに向けると問題かもだが

      • 反射で迷惑を被るのは、
        現在の街中で結構ある。
        ビルの窓の反射フィルム。

        真夏に街中を歩く際、日陰をもとめ、南側の歩道を歩く。
        普通は、道路の南にあるビルの陰で日陰になる。
        しかし、道路の北にあるビルの反射フィルム付きの窓に反射した日光が南側の歩道に射す。

        親コメント
        • by Anonymous Coward

          では炭酸カルシウムでコーティングされた服の登場を待つべきやも

          • by Anonymous Coward

            では炭酸カルシウムでコーティングされた服の登場を待つべきやも

            夜間もヘッドライトを良く反射するだろうから事故防止にもなるね。

          • by Anonymous Coward

            レジ袋を着て歩けば良いのか

            • by Anonymous Coward

              炭酸カルシウムが入っているのは指定の袋を強要するために焼却炉にやさしいとかの見苦しい言い訳をしている東京のゴミ袋だけじゃないの?

    • by Anonymous Coward

      まぶしいって。。。
      赤外線だよ?君は赤外線が見えてまぶしく感じるのかね

  • by Anonymous Coward on 2020年10月25日 13時22分 (#3912782)

    ・大気の窓と呼ばれ、大気中でほとんど吸収されずに宇宙へ放出されるのは8~13マイクロメートルの波長領域(遠赤外線
    ・一方この塗料については、「市販の白い塗料と比較して、より多くの紫外線を反射できることを示した。」のと「炭酸カルシウムフィラーは紫外線をあまり吸収せず屈折率は低い。」

    温度測定が放射温度計に拠っているということは他の塗料に比べ赤外線放射は少ないということは確かなのでしょうが、「反射率が高いけど大気を温めるということじゃないよ」と謳っているのと矛盾する。
    (同じ温度なのに8~13umの波長放射が特異的に多くなるというなら、大気を温めずに放射冷却できるといえるのでしょうけど)

    放射率と吸収率は可逆のはずで、熱を放射しやすいものは光を吸収して熱にしやすい(例:黒体)ので、
    光を反射しつつ、熱も光(赤外線)に変えて放射したいとなったら、波長変換しないといけない。
    放射する波長を「大気の窓」の遠赤に合わせるならそこの反射率を下げ,他の領域で反射率を上げたうえで、そのエネルギー収支をマイナスにしないと温度は下がらないはずだけどなぁ。

    • by Anonymous Coward on 2020年10月25日 15時37分 (#3912846)

      よく判らないのなら、論文を読みましょう
      https://www.cell.com/cell-reports-physical-science/fulltext/S2666-3864... [cell.com]

      要は
      - 太陽光の95.5%を反射(=太陽光で暖まりにくい)
      - 8~13マイクロメートルの波長の放射率は0.94(=冷えやすい)
      ってことです

      細かい事は Figure 2とか、本文読めば全部書いています

      > 放射率と吸収率は可逆のはずで、

      その考えは間違ってます。論文読みましょう。冷える理由が書いてあります。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        元コメの言う通り、定義上、放射率と吸収率は同じものだよ。窓の波長は太陽から来る分が無視できるってだけの話で。あと、空気が反射光で温まるってのもその通り。

    • by Anonymous Coward

      元記事ざっと見た限りだけど、太陽光のスペクトラムと大気の窓を通した300Kのスペクトラムが違うから、可視光~赤外線は市販の白色塗料と同程度に放射しやすく、紫外線は反射しやすく太陽光スペクトラムの紫外線側を吸収せずに済むなら冷やせるといってるようだ。

    • by Anonymous Coward

      紫外線を反射するのは炭酸カルシウム、遠赤外線を放射するのはアクリル基材、ってのは読めばわかるやん

    • by Anonymous Coward

      理想的な冷却体は大気の窓で放射率 100% でそれ以外の波長では反射率が 100%(吸収率 0%)ということになりますので,
      そういう観点でリンク先の論文の最初の図の従来の塗料と本論文の塗料を比較していただければ分かると思います。

      紫外線反射率については、大気の窓以外で反射率が高い方/吸収率が低い方がいいという意味で大気の窓とは直接関係ないです。
      放射率と吸収率が可逆というのもそのとおりで、それ以降のくだりも論文の内容と何も矛盾してないようですが。

  • by Anonymous Coward on 2020年10月25日 13時38分 (#3912788)

    放射率が異なる複数材料をサーモグラフィーカメラの同一画面で比較することは測定原理的に正しくなく外因による
    測定誤差が大きくなります。
    リンク先の動画は見栄え重視で作られており。測定的に正しくない動画です。
    論文のほうでは熱電対でも測定しているので動画は意図的に正しくないやりかたをしたのでしょうね。

  • by Anonymous Coward on 2020年10月26日 10時42分 (#3913110)

    やってみればいいと思うよ。結構コストかかると思うけど。

  • by Anonymous Coward on 2020年10月26日 14時07分 (#3913215)

    夏の灼熱地獄が少しはマシになるってことですよね?

    • by Anonymous Coward

      自動車の場合は窓から入ってくる光が支配的なんではないかなぁ。

typodupeerror

ソースを見ろ -- ある4桁UID

読み込み中...