熊本大、地球に飛来するナノヘルツ重力波到来の証拠を掴む 30
ストーリー by nagazou
重力波 部門より
重力波 部門より
熊本大学らの研究グループは6月29日、インドやヨーロッパのグループと共同で、パルサーと呼ばれる天体を観測した結果、ナノヘルツの周波数を持つ重力波が宇宙のあらゆる方向から地球に到来しているという有力な証拠を得たことを発表した(熊本大学発表[PDF]、TECH+)。
パルサーは中性子星の一種で、非常に正確な周期で電波シグナルを出しているという。その周期は、10ミリ秒程度から10秒程度までさまざまで、このシグナルが地球に到着するタイミングを100ナノ秒の精度で測定できれば、宇宙空間を伝わる重力波を検出することができると期待されていた。研究チームはインドやヨーロッパの電波望遠鏡を用いて、25年分に渡ってパルサーを継続的に観測、その観測データを解析して25個のパルサーに関する統計的な性質を調査した。その結果、ナノヘルツの周波数を持つ重力波が宇宙のあらゆる方向から地球に到来していることが確認されたとしている。
pongchang 曰く、
パルサーは中性子星の一種で、非常に正確な周期で電波シグナルを出しているという。その周期は、10ミリ秒程度から10秒程度までさまざまで、このシグナルが地球に到着するタイミングを100ナノ秒の精度で測定できれば、宇宙空間を伝わる重力波を検出することができると期待されていた。研究チームはインドやヨーロッパの電波望遠鏡を用いて、25年分に渡ってパルサーを継続的に観測、その観測データを解析して25個のパルサーに関する統計的な性質を調査した。その結果、ナノヘルツの周波数を持つ重力波が宇宙のあらゆる方向から地球に到来していることが確認されたとしている。
pongchang 曰く、
熊本大学宇宙理論グループはパルサータイミングによる重力波直接検出を試みていたが、ナノヘルツ重力波到来の証拠をつかんだと発表した。パルサーからの電波を100ナノ秒の精度で測定することで、宇宙空間を伝わる重力波を検出した。インドにあるuGMRT電波望遠鏡を利用した。この電波望遠鏡は45メートルのアンテナ30台からなる(インド側のtweet。
独立した研究成果がNANOGrav(アメリカ合衆国およびカナダ)、PPTA(オーストラリア)、CPTA(中国)からも同時に報告された。
将来的には平方キロメートルにわたる電波望遠鏡アレーSKA(Square Kilometer Array)による観測が期待される。
ナノヘルツ (スコア:1)
すっごくゆっくりした振動なの?
ナノ秒単位の目で見て振動してるとわかるくらい速い振動なの?
Re:ナノヘルツ (スコア:5, 参考になる)
例えば、3ナノヘルツだと1周期は約10年です。波長10光年の重力波。
ちなみに、シグナル到着タイミングが100ナノ秒変動したということは、パルサーと地球の間の
距離が30メートル伸び縮みしたってこと。
Re: (スコア:0)
ちなみに、シグナル到着タイミングが100ナノ秒変動したということは、パルサーと地球の間の
距離が30メートル伸び縮みしたってこと。
波の減衰をどの解釈で理由付けするかによりますね
・効果が減衰し波長が伸びた
・途中で他の重力波と干渉し減衰した
・宇宙は膨張しているので減衰した
など
# 逆の場合も含めまだ一意の理由に絞れる科学はないかな
Re: (スコア:0)
減衰ってどこから出てきたの?
Re: (スコア:0)
同意。
そもそも、重力波って減衰するのかね…?
距離の二乗に反比例して減衰はするけどそれ以外の理由で。相互作用するとしても極わずかだろうし。
軽く調べた限りでは、重力波は減衰しないと出てくる。(ほぼ減衰しないと減衰しないでは意味が異なるんだけどそこは分からん…。)
宇宙膨張に伴う波長の赤方偏移はあるだろうね。
まぁそれを別としても、#4489399へのレスで減衰が出てくる理由がわからん。減衰関係なくね?
波長が30m伸びたと勘違いしてる?
Re: (スコア:0)
重力波って屈折とかするんでしょうかね。
光は重力によって空間がゆがむから遠回りして到着が遅れるし曲がるけど、重力波って大きな重力源もそのまま通過してくるんでしょうか。それとも何かで曲がって重力レンズみたいなことが発生したりするのでしょうか?
屈折するなら遠回りして届けば通過してくる空間がトータルとして伸びて時間がかかることもありそう。
Re: (スコア:0)
グラビトン(重力子)があるなら、光と同じような性質(粒子波動の2重性等)もってて
重力源近傍で周りこむとか屈折するとかあるのではないかと類推できそうですけど。
まだその辺は未解明な物理法則なのでしょうね。
Re: (スコア:0)
おそらく屈折とか回折とかありそうな気はするけども、なにせ波長が10光年とかじゃなぁ…。
というか屈折は無理か? 媒質って時空間そのものだよね。
回折もどうなんだろ? 相互作用ほとんどしないから無理な気がする。
ブラックホールで回折格子つくれば回折する?? 何か違うような。
重力による時空間の歪みにそって進むだろうから重力レンズ効果ってのはありそうだけど。
スケール大きくてヨクワカランですよね。
重力波はビッグバン以前の情報も得られるんじゃないかって話があるようで。
ビッグバンってのは宇宙開闢後の火の玉の頃を言うので、それ以前の情報は光/電波や粒子では見ることができない。重力波なら残ってるんだそうだ…。
※宇宙開闢→インフレーション→ビッグバンの順で発生。
重力波背景放射とか言うのかな。ニュートリノ背景放射ってのもあるらしい。電磁波より少し過去を見れるかもとのこと。
Re: (スコア:0)
減衰ってどこから出てきたの?
一切減衰することのない波なんてあるの?
Re:ナノヘルツ (スコア:1)
減衰の原因は何か考えることが必要。
例えば音の場合は、媒質である空気を振動させているので、空気分子を振動させる時のエネルギー消費で減衰する。
そのエネルギーは熱になってると思われるね。
電磁波の場合、真空中ならば減衰しない。
ただし超高エネルギーの場合真空そのものと相互作用してエネルギーを消耗するが、波というより粒子の性質になるので今は無視しとく。
真空中ではなく、多少なりとも物質があるなら、電磁波は物質と電磁相互作用を起こすのでその影響で減衰する。
重力波の場合はどうか。
重力波は相互作用する対象がない。空間の歪みそのものが伝搬するのが重力波。なので媒質は空間そのもの。
重力と相互作用しそうに思えるけども、重力とは空間の歪みなので、歪みに波が通った場合方向が変わることがあっても減衰はしない。
重力波の振動で空間をゆがめた場合熱が出るとか、そういう話は特に無いようだ。極端に歪んだ空間からはホーキング輻射が生じるけども、重力波が関係するような領域では無さそう。
てわけで、おそらく今の時点での知見だと、重力波は一切減衰しないんじゃないかと思われる。
距離に応じた減衰(逆二乗の法則)は当然あるし、宇宙膨張(空間そのものの膨張)による波長の赤方偏移はあるだろうけども。それ以外の理由での減衰はちょっと思いつかない。
重力波が質量を振動させた結果、質量が何かエネルギーを得るとしたら減衰するのかもなぁ? どうなんだろね。空間そのものが振動してるとしても、そこに乗ってる物質から見たら静止状態だと思うんだよね…。
KAGRA大型低温重力波望遠鏡のQAも参考のこと。
https://gwcenter.icrr.u-tokyo.ac.jp/faq [u-tokyo.ac.jp]
こっちの説明も詳しい [quora.com]。
※このスレッドで物理学に強そうな人が言っている「減衰」ってのは、距離の二乗に反比例する減衰は織り込み済みで、それ以外の減衰のことを言っているので注意してください。逆二乗の法則は当然のこととしている。
Re:ナノヘルツ (スコア:5, 参考になる)
重力波ってのは、とてもとても弱い。
なにしろ重力は、相互作用四天王の中で最弱だからね。
なので、実験室とかで人工的に作り出そうとしても、全く検出できない。
おのずと、巨大質量が発生源となるもの、つまり天体による自然現象の観測に期待するしかない。
ただまあ、天体を観測するってことは、その変化も天文学的スケールになりがち。
最も好条件の一つとして、超巨大ブラックホール2つが接近して互いの周りを回っている場合。
でも、それですら1回転に10年とかかかる。
周期10年の重力波は、およそ3.17ナノヘルツ。
しかしながら、10年かけてわずかに変化を繰り返す重力なんて、簡単には観測できない。
発生源も1つじゃないだろうしね。
そこで、パルサーの出番となるわけよ。
パルサーの正体は、自転する中性子星。発表にあるような10ミリ周期のパルサーは、なんと自転周期1/100秒。
回転する中性子星が放出しているビームが地球の方に向いたときだけ(電波的に)明るく見える。まさに宇宙の灯台。
中性子星はそれなりに巨大な天体なので、その自転周期はかなり安定しているはず。
そのパルスの到着に「よれ」がある場合、重力波が影響しているんじゃないのかな、というのが今回の発表。
Re:ナノヘルツ (スコア:1)
ヘルツとは1秒間の波の数、1秒間に波が1回が1ヘルツ。
こう考えてはどうだろう
1ナノヘルツ=1/10億ヘルツ
1秒間にやってくるのが波全体の1/10億
10億秒(約32年)じっと見ていてやっと波がひとつ観測できると
気の長い話です
Re: (スコア:0)
プレスリリースにちゃんと書いてある。
「我々がターゲットとしている重力波はナノヘルツというとても周波数が低いものです」
Re: (スコア:0)
元コメ本人ですが、みなさん説明ありがとうございます。
ナノヘルツの意味を考えて、
>3ナノヘルツだと1周期は約10年です。
というあたりは理屈ではわかったのですが、文字通り天文学的スケールでイメージできなかったのと、
記事に別に「100ナノ秒」という別のナノも出てきたことから、まさかナノ秒単位の特別な言い方
だったりするのかな……と思ってしまったのです。
ただ予想としては
「それ『~なの?』って言いたいだけだろ」 とか
高町なのはたん(サブタイトル以外では特になの?なの?言ってないんですけどね)に
ひっかけたつっこみとかがないのスラドとしては意外。みなさんけっこう真面目。
Re:ナノヘルツ (スコア:1)
電波の世界で周波数が低くなるとすぐ波長に逃げるけど(超長波とか)
重力の人たちは真面目なんだなあという印象
Re: (スコア:0)
高くなっても波長で言いますよね。マイクロ波とか。
でも実はこれは波長じゃなかった。
ミリ波は波長由来だけどマイクロ波は比喩。
波長で言うのはアンテナの長さが肝だったからとか
(アマチュア無線で)高調波相手に通信するのを避けるため
波長をコールしたとか聞いたことがある。
Re: (スコア:0)
電波では短い方も「超短波」と言うが。
再現しないハグは (スコア:0)
ナノヘルツ波のせいです!
Re:再現しないハグは (スコア:1)
…などと言って可愛い娘をハグしまくっている#4489384であった
Re: (スコア:0)
ユー、イーにしちゃいないよ
Re: (スコア:0)
いや、奴はとんでもないものを盗んでいきました。
Re: (スコア:0)
それはハゲ
独立した研究成果がNANOGrav、PPTA、CPTからも同時に報告された (スコア:0)
29日に夜空で何かあったの?
Re: (スコア:0)
29日に夜空で何かあったの?
肉の日またはNICTの仕業(違
Re: (スコア:0)
「観測結果は包み隠さず共有しようぜ。そこから何かを発見したら、それはそいつだけの物だ」てな感じの紳士協定でもあったのでは?
Re:独立した研究成果がNANOGrav、PPTA、CPTからも同時に報告された (スコア:1)
約2年前に3P+協定というのを結んで、今回一斉に発表したらしいです。
https://ipta4gw.org/news/2023/06/28/IPTA_statement_on_PTA_results.html [ipta4gw.org]
Re: (スコア:0)
ノーベル賞級の成果かもしれないと思ってるんだけど、3団体で成果を分け合うならそれぞれの代表者3人がもらう形になるのだろうか。
ビッグバン付近の重力波が捉えられたならば、かな。
ミリ秒パルサーは原子時計よりも高精度な時計だそうで。
NICTの研究の範囲かもw
惑星間空間や、恒星間で時刻同期する時は複数のミリ秒パルサー使ったりするようになるかもね。
Re: (スコア:0)
そこまで決めてるなら合同で発表すりゃいいのにね
ガチョーン (スコア:0)
谷啓のギャグって重力波を発生していたんですね