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2021年4月18日のサイエンス記事一覧(全2件)
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NASA

NASA、アルテミス計画の月着陸船にSpaceXの「Starship」を単独選定 9

ストーリー by headless
着陸 部門より
AC0x01 曰く、

NASAは17日、2024年の月着陸を目指すアルテミス計画の有人月着陸船として、候補としていたBlue Origin、Dynetics、SpaceXの3社の案の中から、SpaceXの「Starship」案のみを選定したことを発表した(プレスリリースBBC Newsの記事CNBCの記事The Washington Postの記事)。

NASAは民間による月着陸船開発候補として2020年に3社を選定して複数の案を競わせたいとしていたが、今年3月には予算が25%しかつかず計画が遅延すると報じられるなど難しい状況にあった。3社の案は、堅実なDyneticsに、現代技術によって再設計したBlue Origin、全く路線が異なるSpaceXという内容であったが、今回の発表では中でも最も特異なSpaceX案のみが採用された。この契約により、SpaceXはNASAから28.9億ドルの予算を獲得する。

既に報じられている通り、SpaceXの案は、同社が現在開発中の超大型宇宙船「Starship」を月面バージョンに改造して使用するというものである。地球用のStarshipの垂直離着陸はいまだ試験中の状態だが、真空で低重力の月面での垂直離着陸は地球でのそれと比べて技術的難易度が遥かに低いため、十分に可能であると判断されたのだろう。計画では、NASAはオリオン宇宙船で宇宙飛行士を打ち上げた後、ゲートウェイでStarshipに乗り換えて月面を目指すこととなる。巨大なStarshipが用いられることで、アルテミス計画の月着陸はかなりインパクトのある光景になるだろう。

Blue OriginはLockheed MartinやNorthrop Grumman、Draperとともに「国家代表チーム」を編成して月着陸機を開発する計画を示していた。The Washington Postが入手した文書によれば、NASAの現在の予算では単一の契約も厳しい状態であり、SpaceXはそれに合わせて支払いスケジュールを調整したとのことだ。

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地球

米パデュー大学の研究チーム、放射冷却能力をさらに高めた超白色塗料を開発 41

ストーリー by headless
超白 部門より
放射冷却で外気温よりも表面温度を下げることが可能な塗料を研究している米パデュー大学の研究チームが、昨年発表したものよりもさらに冷却能力の高い超白色塗料を開発した(Purdue University Newsの記事SlashGearの記事The Vergeの記事論文アブストラクト)。

放射冷却は波長8~13マイクロメートルの赤外線を放射する物体が冷却される現象だ。この波長領域は大気中でほとんど吸収されずに宇宙へ放出されることから「大気の窓」とも呼ばれる。同研究チームが昨年発表した塗料は炭酸カルシウムとアクリル塗料を組み合わせたもので、粒子を幅広いサイズに分布させることで反射率95.5%、大気の窓における放射率0.94を実現していた。

研究チームが今回開発したのは硫酸バリウムを用いたナノ粒子のフィルムとナノコンポジットのアクリル塗料だ。白色塗料や造影剤などに用いられる硫酸バリウムは高バンドギャップにより太陽光吸収率が低く、波長9マイクロメートルのフォノン共鳴により大気の窓における放射率が高い。炭酸カルシウム-アクリル塗料と同様に硫酸バリウムの粒子を幅広いサイズに分布させた結果、フィルムは反射率97.6%、大気の窓における放射率0.96に達し、フィールドテストでは環境温度より4.5℃以上低く、平均冷却能力は117W/m2だったという。硫酸バリウムを60%配合した塗料の反射率は98.1%、大気の窓における放射率は0.95に達する。

同チームが提唱する放射冷却指数(RC、大気の窓における放射率1、反射率100%の理想的な表面を1とする)は前回の炭酸カルシウム-アクリル塗料では0.49だったのに対し、硫酸バリウム-アクリル塗料では0.77という現在の放射冷却技術の中でも高い部類に入る値が得られたそうだ。この塗料で1,000平方フィート(約93 m2)の屋根に塗装すれば10KWの冷却能力が得られ、多くの家で使われているセントラル空調よりも高能力だと研究者は語る。反射率98.1%の硫酸バリウム-アクリル塗料は現在最も白い塗料であり、研究者は現在最も黒い素材の一つとされるVantablackに相当すると考えているとのことだ。
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