マラリアの「ワクチン」を蚊によって媒介させる実験 45
ストーリー by hayakawa
マラリア流行地域に行く予定のある方は、この「マラリアワクチン蚊」のいる部屋で24時間お過ごしください 部門より
マラリア流行地域に行く予定のある方は、この「マラリアワクチン蚊」のいる部屋で24時間お過ごしください 部門より
本家/.orgの記事より。
Associated Pressによれば、マラリアの「ワクチン」を蚊に媒介させる実験が行われたそうだ。記事によるとその効果は明らかで、ワクチン接種を受けたグループ(10人)は100%免疫を獲得し、そうでないグループ(5人)は免疫の獲得ができなかったとのこと。
今回「ワクチン」とされたものは放射線照射して病原性を抑えたマラリア原虫で、これによって人間の免疫機構をトレーニングし、普通のマラリア原虫に対する抵抗性が得られるとのこと。マラリアの治療薬は副作用が強かったり、耐性原虫が出現したりしていたため、よく効くワクチンの開発は強く望まれているらしい。
あやしい (スコア:5, おもしろおかしい)
>今回「ワクチン」とされたものは放射線照射して病原性を抑えたマラリア原虫で
普通、放射線を照射された生き物は、巨大化したり放射線を吐いたりするようになるというのが
すでに定説になっているのに。
エビデンスの記録映像も延べ数百時間分にもなるほど蓄積されている。
Re:あやしい (スコア:1, 興味深い)
Re: (スコア:0)
巨大化するのも良くわからんが冷静に考えると
放射線照射したら病原性が弱まるってのも良くわかんないな
教えてえろい人
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
違わないと生ワクチンじゃないってとこだろうか
Re: (スコア:0)
アメリカでは放射線を照射された虫が人間を刺すと、
刺された人間は元の虫が持っていた能力を発揮できるようになると言う症例が報告されているな。
蚊にさされた場合、どういう能力が備わるのか想像もつかんが。
Re: (スコア:0, すばらしい洞察)
しったかの小学生がよく言いそうなセリフだが、よく理解せずに話すので返って恥をかくという例。
虫=昆虫では無いですよ。
蜘蛛を昆虫と言ったら間違いかもしれないが、虫 [wikipedia.org]という分類には入る。
マラリアかかりました (スコア:5, 参考になる)
耐性菌らしく、Quinineだけでは効かず、現地の病院で、Quinine, Doxycycline,
Paracetamol, Amoxyl をもらいましたが、耳鳴りはひどいしけっこうきつい
薬ですね。
虫除けスプレーでなんて甘い考えで防ぐことは全く不可能なので、こういうのが
広まるといいですね。
ま、現地の人は3日辛抱すれば治る、と風邪のような感覚でしたが。
これがほんとの (スコア:5, おもしろおかしい)
マラリア・キャリー
全然違う (スコア:5, 参考になる)
#本家にもそんなこと全く書かれてないというのに。
もとの論文は、NEJMに出たこの論文 [nejm.org]で、行われてるのはタレコミにあるのとはまったく別の実験です。今回の実験でいう「ワクチン」というのは、弱毒化した病原体ではなく、クロロキン感受性のある(=クロロキン耐性でない)病原性のマラリア原虫(NF54株)そのものを用いてます。(1)「ワクチン群」としてはこのマラリア原虫を保菌した蚊に、(2)「対照群」としては保菌していない蚊に、それぞれクロロキンを投与している被験者を刺させています。その後、クロロキン投与を中断し保菌蚊に刺させて、「クロロキンの予防投与+クロロキン感受性マラリア」の処置を行ったワクチン群で、免疫を獲得していることを確認しているものです。
じゃあ「放射線」云々というのは何かというと、これはもう40年くらい前に [nih.gov]すでに報告されてることです。マラリア原虫は、特殊な生活環 [kyoto-phu.ac.jp]を持っており、蚊によってヒトの血液中に入り込んだ後、まず肝細胞に入り込んで細胞内増殖し、その後、赤血球の中で細胞内増殖する、というサイクルを繰り返します。このとき赤血球を壊してしまうために貧血が起こりますし、このライフサイクルの周期に従って、規則的な(48時間とか72時間とか:ただし一部は不規則)高熱が出ます。保菌蚊に比較的低線量のX線照射を行った場合(高線量では病原体自体が死んでしまいますが)、マラリア原虫自体は生きてるのだけど、増殖はできないような状態にすることが可能です。この場合、不活化したマラリア原虫は肝細胞の中に侵入しますが、そこから体内で増えることはできないため、マラリアを発症することはなく、免疫だけが獲得できる、ということです。
ただしこのX線照射による方法の最大の問題点は、これで十分な免疫を得ようと思ったら、この蚊に1000回くらい刺されなければならない、ということだそうで。今回の方法は、より病原性の高いマラリア原虫(しかもクロロキンで完全に押さえ込めるもの)ならば、数回の接種でも免疫が可能だということを示したことになります。
もちろん、これまでには様々な別のやり方も模索されてきてるのですが、(1)蚊を使わない接種方法では弱毒化したマラリア原虫が上手く感染できない、(2)弱毒生ワクチン以外の、成分ワクチン(マラリア原虫の抗原タンパク質)では十分な免疫が得られない、という感じで、有効なワクチンはまだ開発されてないというのが現状です。
マラリアで成分ワクチンが上手く出来ない理由としては、マラリア原虫の遺伝子多型 [wanonaka.jp]の存在などが指摘されています。一般論として、生きた病原体を用いる生ワクチンでは、一つの抗原タンパクを標的とする成分ワクチンと比べて、抗原になる成分の種類が多くなるため、遺伝子多型の問題は少なくなる傾向があります。このあたり、今回の実験ではNF54という一株しか使っていないので、他の多型のマラリア原虫にどの程度有効なのかを検討することが今後の課題になるかと思います。また、ご存知のようにクロロキン耐性を獲得しているマラリア原虫は世界的に増えていることもあり、今回の方法を実用化する際には、新たな耐性の獲得などにも十分配慮しながら進める必要があると思われます。
Re:全然違う (スコア:1)
タレコミ人です。Associated Pressの下の方で「放射線」云々の紹介をチラッとしていた部分を誤解してしまったようです。申し訳ありません。
修行してでなおします。
マラリア撲滅への道 (スコア:3, おもしろおかしい)
不妊虫放飼 [wikipedia.org]編
番外編
Re:マラリア撲滅への道 (スコア:1)
蚊が人を刺すのは、卵を作るためのタンパク質を効率よく獲得するためであって、
不妊化した蚊は人を刺さないと思うのですが。
やるとすれば、次の世代が不妊化するような遺伝子を持つ、オスの蚊を放つべきでしょうが、
どの道、人間が放流する以上のペースで普通の蚊が増殖するので、無駄ですね。
Re:マラリア撲滅への道 (スコア:1)
卵を発達させるために吸血するのですから、その卵が不妊化してあっても(多分DNAレベルで、でしょうから) 吸血するような気もしますが…。
結局、どっちが先なんでしょう。大きくなった卵を受精させているのか、受精卵を大きくしているのか。
# 受精卵を大きくするとなると、栄養供給速度が卵の分裂速度を上回らなくてはいけないので、
# 大変な気がする。常識的には「卵を大きくして」から「受精」させると思うんだが…
fjの教祖様
Re: (スコア:0)
野に放てー (スコア:2)
これで普通のマラリアより繁殖力や感染力が強かったら、
養殖して放流(?)すればそのうち普通のマラリアを絶滅させられそう。
・・・そのうちワクチンのほうが毒性を獲得したりして。
Re:野に放てー (スコア:2, 参考になる)
>これで普通のマラリアより繁殖力や感染力が強かったら
いや、繁殖力が低いからこそ弱毒性なわけで。
#マラリアは別にマラリア原虫が作る毒素が問題なわけではなく、原虫の増殖そのものが問題です。
Re:野に放てー (スコア:2)
判別困難 (スコア:1)
「何事かね。」
『ワクチンを媒介させる蚊の中に、ワクチンでないマラリアを媒介する蚊が紛れ込んだようです。』
「・・・具体的には?」
『用意したワクチン用の蚊1000万匹を今朝カウントしたら、1匹増えてました。』
「数え間違いではないのかね?」
『はい。しかも実験用に用意していたマラリア感染用の蚊が一匹減っています。』
「君はアホか。すぐに建物を封鎖して強力な殺虫剤で隅々まで殺虫したまえ。全職員には大至急ワクチン投与を」
# こういうのもバイオハザードって言うのだろうか
Re: (スコア:0)
(全数カウントのテクノロジーはすばらしいと思いますが)
その研究室は、普通の研究でも研究員が感染してとっとと閉鎖になりそうですね。
蚊の意見 (スコア:0)
免疫を獲得したかどうかはどうやって確認したの? (スコア:0)
普通のマラリア原虫に感染させてみたとか?
Re:免疫を獲得したかどうかはどうやって確認したの? (スコア:1)
マラリアの場合については知りませんが、結核の場合はBCG接種の結果をツベルクリン反応でチェックしますよね。結核菌を接種してみたりはしません。この場合は多人数を処理するわけでもないので、採血して、血清で抗原抗体反応を見たんじゃないでしょうか。
Re:免疫を獲得したかどうかはどうやって確認したの? (スコア:1)
> 普通のマラリア原虫に感染させてみたとか?
タレコミ人です。結論から言いますと本当に感染させたそうです。
元記事の
everyone in a non-vaccinated comparison group did not, and developed malaria when exposed to the parasites later.
--- 私訳 ----
ワクチン非接種グループは後でマラリア原虫に感染したときにマラリアを発症したが、(蚊による)ワクチンを接種したグループは発症しなかった。
ってところあたり、本当にマラリアを発症するかどうか見たようです。
後の方を読むと、より詳しく書いてあります。
They assigned 10 volunteers to a "vaccine" group and five others to a comparison group. All were given chloroquine for three months, and exposed once a month to about a dozen mosquitoes — malaria-infected ones in the vaccine group and non-infected mosquitoes in the comparison group.
That was to allow the "vaccine" effect to develop. Next came a test to see if it was working.
All 15 stopped taking chloroquine. Two months later, all were bitten by malaria-infected mosquitoes. None of the 10 in the vaccine group developed parasites in their bloodstreams; all five in the comparison group did.
--- 私訳 ---
10人の志願者が「ワクチン接種」グループに割り当てられ、残り5人は比較グループに割り当てられた。最初の3ヶ月間は(15人)全員がクロロキン [wikipedia.org]を服用し、一月に一回1ダースの蚊に刺された。この蚊は「ワクチン接種」グループにおいてはマラリア持ち(訳注:弱らせたマラリア原虫持ちということだと思う)であり、比較グループにおいてはマラリアのない蚊だった。
この期間は「ワクチン」的な効果が進行することを期待したもので、次に本当に効果があったかどうかをテストした。
15人全員がクロロキンの服用を停止し2ヶ月待って、全員がマラリア蚊に刺された。10人の「ワクチン接種」グループは血流内に原虫の寄生がなかったのに対し、比較グループの5人はでは寄生が確認された。
Re:免疫を獲得したかどうかはどうやって確認したの? (スコア:1)
y_tambe先生のご指摘 [srad.jp]のとおり、
> (訳注:弱らせたマラリア原虫持ちということだと思う)
の部分は誤りで、ある種類のマラリア原虫を加工せずに用いたというのが正しいようです。申し訳ない。
部門名 (スコア:0)
# 刺されない対策をした上での予防策だと思うけれど。
Re:部門名 (スコア:5, 参考になる)
># 刺されない対策をした上での予防策だと思うけれど。
たぶん、衛生的な日本と違って対策の根本的な考え方が違うのだと思います。
たとえば海外の地域によっては、蠅の数が多すぎて
少々食べ物に蠅が止まっているくらい気にしてられないです。
(もちろん蠅が近くによると、追い払うんですけど、頻度が高すぎて)
同じように対策をしていても、少々蚊に刺されるくらいは、避けられないリスクなんじゃないかと思います。
建物の内気の外気との遮断率もそんなに高くないだろうし、一日中肌を完全に覆う衣服を着るのも難しいでしょうから。
(刺された蚊がマラリアをもっているかどうかは確率の問題でゼロにできないリスクかと)
Re:部門名 (スコア:2, おもしろおかしい)
Re:部門名 (スコア:2, 参考になる)
元々蚊が血を吸うときは痛み止め(+血が固まるのを防ぐ)効果のある唾液を打ってますよ。
それに対するアレルギーで痒くなるらしい。
Re:部門名 (スコア:1)
人間のアレルギーの事くらい考慮してほしいものだ
Re: (スコア:0)
ということは、
そのアレルギーに対する痒み止めを混ぜておけばいいんだ!
# 違う?
--
臆病者、ということで。
陰謀論 (スコア:1)
>痒い思いをするくらいなら
この話の背後には、蚊媒介ワクチンとセットで、
痒み止めを売りつけようとする、深慮遠謀が!
マラリア流行地域 (スコア:0)
ついで、地球温暖化が進んだ暁には、北海道以外の全国が該当するようになる・・・
Re:マラリア流行地域 (スコア:5, 参考になる)
限らない、という話をみたことがあります。その理由は
1.マラリア自体は熱帯の病気ではない(開拓団時代の
北海道でも流行していた。熱帯性のマラリアは特に
重篤になるらしいが)のに撲滅した実績がある
2.家屋の密閉性が良いのでなかなか蚊が侵入しにくい
ということだそうです。
Re:マラリア流行地域 (スコア:1)
地球温暖化の影響で、通気性のよい家屋がまず増えるのではないかと…
fjの教祖様
Re: (スコア:0)
温暖化が進むと、根性の無い現代人では風に頼るのを諦めて
むしろ家屋を密閉・断熱してエアコンに頼る人間が増えると思われ。
Re:マラリア流行地域 (スコア:4, 参考になる)
「現時点でも北海道含めて全国が該当」します。
網戸も蚊帳も殺虫剤も使えない極貧の生活をしている住人が多ければ、ですけど。
現状のハマダラカの生息北限は、カナダ南部,グリーンランド沿岸,北欧,沿海州,樺太など。
けっこう寒いとこまで及んでいます。
したがって、蔓延する可能性は「現時点でも北海道含めて全国が該当」します。
事実、1920年代、旧ソ連の北の方でマラリア(三日熱)が流行しています。
(北海道での流行については別コメントを参照)
notice : I ignore an anonymous contribution.
Re:マラリア流行地域 (スコア:1, 参考になる)
そういえば、日本でも終戦後あたりまで流行していましたね。
私の住む近畿地方だと、例えば巨椋池や琵琶湖周辺などでマラリアが蔓延していたとよく伝え聞きます。
もともと夏が暑くて湿気が多くて蚊がいっぱいいるので、日本全土どこでも再興する可能性はあるでしょうね。
Re: (スコア:0)
たぶん願望
セキュリティホールをふさいでまわるワーム作って放流しようぜって話か。(T/O) (スコア:0)
Re: (スコア:0)
攻撃されたら相手のプロバイダに通知する囮がいいな。
それ用のAPI標準化して自動切断できるようにしてくれるといいな。
技術的には可能でも倫理的にどうであろうか (スコア:0)
# かつてNetskyの通った道
本当にまともなウィルス駆除ツールをインストールしていくだけのワームとか
でも本人が同意していないものを勝手に突っ込むのでNGというのが現在の考え方なんだよなぁ。
リアル病原体でもワクチン接種は本人(子供は保護者)の同意が必要だったような?
## autorun無効化 [microsoft.com]をautorun.infから実行するバッチを書いちゃいました、使ってはいませんAC
何事も実験 (スコア:0)