大型ハドロン衝突型加速器(LHC)に発生するトラブル、「宇宙の力」が原因? 96
ストーリー by hylom
高度な科学は迷信と区別がつかない……のか? 部門より
高度な科学は迷信と区別がつかない……のか? 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、
CERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)の稼働を妨げている故障や様々な問題は、ヒッグス粒子の発生に対して宇宙の力が働いていることが原因ではないかという説が提唱されているそうだ(NY Timesの記事、本家/.記事)。
この説はコペンハーゲンのニールス・ボーア研究所のHolger Bech Nielsen博士と、京都大学基礎物理研究所の二宮正夫博士が唱えているとのこと(arXiv.orgに掲載されている論文要旨)。
この研究によると、LHCで発生させようとしているヒッグス粒子は、その発生が時間を遡って阻止される程に自然界にとって受け入れ難いものであり、LHCでのヒッグス粒子発生は逆向きの因果関係によって未来から阻止されているという仮説を立てているそうだ。
両博士はこの説を2008年春頃に提唱し始めたとのことだが、その年の秋にLHCが故障した出来事は「自分たちの説の正当性を信じられるおかしな出来事であった」と振り返る。また、ヒッグス粒子を発生させる米国の超伝導大型加速器計画が1993年に中止されたのも必然であったと考えているとのこと。
これは例えて言えば、時間を遡って自分の祖父を殺すような状況であり、Nielsen博士は「我々の予測ではヒッグス粒子を発生させる装置は全て運が悪いということになる」そうだ。
ゴーストスウィーパー美神みたいですねぇ (スコア:3, おもしろおかしい)
ほら、GS美神にありましたよね、修正不可能な宇宙の改変に対しては逆向きの風が吹く、みたいな...
それだけなんですが。
Re:ゴーストスウィーパー美神みたいですねぇ (スコア:1)
抑止力って基本英霊。だから(あかいあくまに金積むとかして)皮一枚で悪神をも規制する頑固者を警備員に雇えば、犯行現場ぐらい押さえられるかも。
ここは自由の殿堂だ。床につばを吐こうが猫を海賊呼ばわりしようが自由だ。- A.バートラム・チャンドラー 銀河辺境シリーズより
LHCは「いままで存在しなかった物質を作る装置」ではない (スコア:3, 興味深い)
昨年の「ブラックホールさわぎ」の時も思ったのだが,どうも世の中の人はLHCについて根本的な勘違いをしているらしい。
LHCで発生が予想される現象・粒子は「LHCがなければ地球上に全く存在していなかったもの」ではありません。もともと宇宙線と大気の衝突などにより世界中のあちこちで頻繁に発生している事象です。
LHCは,それらの反応を「超巨大な測定器の固まりの中心で」「後から解析が可能なように条件を限定した上で」発生させるだけの装置です。
ヒッグス粒子は,もし存在するのならば,すでに地球上のあちこちで発生しているはずです。
このストーリーとブラックホールのストーリーを考え合わせると… (スコア:3, すばらしい洞察)
|┃. ,イ/〃 ヾ= 、
|┃ N { \
|┃ ト.l ヽ l
ガラッ.|┃ 、ゝ丶 ,..ィ从 |
|┃ \`.、_ _,. _彡'ノリ__,.ゝ、 | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|┃三 `ゞf‐>n;ハ二r^ァnj< y=レヽ < 話は聞かせてもらったぞ!
|┃. |fjl、 ` ̄リj^ヾ)  ̄´ ノ レ リ | 人類は滅亡する!
|┃三 ヾl.`ー- べl,- ` ー-‐' ,ン \____________
|┃ l r─‐-、 /:|
|┃三 ト、 `二¨´ ,.イ |
|┃ _亅::ヽ、 ./ i :ト、
|┃ -‐''「 F′:: `:ー '´ ,.' フ >ー、
|┃ ト、ヾ;、..__ , '_,./ /l
運用ミス、構築ミス、設計ミス (スコア:2, すばらしい洞察)
されている訳で、ヒッグス粒子自体が関係する物理法則とは関係ありません。
たまに根拠無いオカルトに走る人がいるから、科学者が信用されないのかも
Re:運用ミス、構築ミス、設計ミス (スコア:2, 興味深い)
例えば、「ヒッグス粒子が発生する=宇宙が終わる」という仮説を立て、「なぜヒッグス粒子の発生に失敗するのか」をひっくり返して、 「何らかの理由で失敗したから今があるだけ。歴史のIFに文句を付けてもしょうがない」と言っちゃう詭弁の類ですね。 でもって、最終的に万難を排してヒッグス粒子を生み出してみたら、そこから空間が綻んでいって宇宙が壊れるオチが付いたりする。
科学的な説かどうかと言うと、否定の要件は、ヒッグス粒子の発生に成功すること、 肯定の要件は、発生させられないこと、と一応定まるあたりが微妙ですね。 この場合の「発生させられない」は理論的に導き出された「ヒッグス粒子が発生する物理環境」を、「実際に再現できたにも関わらず発生しなかった」ではなく、「なぜかその環境を再現しようとするとどこかが壊れる。単体テストでは全てのコンポーネントは正常なのに組み合わせられない。組み合わせる作業そのものが失敗する。 他のどんなプロジェクトと比べても失敗率が高すぎる」という極めて奇妙な状況を指すので、程なく否定される、と言うか、忘れ去られるでしょう。
量子論ってかなりそれまでの科学的常識から外れた振る舞いが見受けられちゃうので、 ここまでのトンデモ論でもとりあえず言っとこうみたいな感じなんですかね。
Re:運用ミス、構築ミス、設計ミス (スコア:1)
ふつうの原因には興味ありません。
宇宙力、未来力、超越的原因がいたら私の所に来なさい。
the.ACount
Re:運用ミス、構築ミス、設計ミス (スコア:2, 参考になる)
>そろいもそろって信じ込んでるのですから
まあ無粋な突っ込みだけれども,科学者にだって夢溢れる人々がいると言うことで
>光速を超えて物質を運べない
これに関してはいくつかの案が出されています.
有名なものだと,自分の周囲の局所慣性系に対しての移動速度は光速以下だけれども,その空間そのものがさらに外部の空間に対して移動している系だとか.他にも有名なファインバーグの論文(Phys. Rev. 159 (1967) 1089他)とか,まあ,いろいろ有りますわな.
なんだかんだ言いつつ研究者ってのは自然の(というか既存の理論の)裏をかくのが大好きなのです.
>永久機関は不可能
こちらも今でも(第二種)永久機関は本当に出来ないのか?というあたりをつついてる人はいまして,例えばちょっと前に話題になったスピンと周期的振動磁場を用いることで単一の熱浴から仕事を引き出せるのではないか?という論文(Phys. Rev. Lett. 87 (2001) 220601)とかも出てみたりしました.まあこの論文自体はこれではダメだと言うことがのちに指摘されてますが.
#でも,このときはアメリカでは特許関連で「永久機関は物理的に可能な可能性が出てきたから,審査は慎重に」というコメントも出てみたりしてたはず.
実際,第二法則そのものに関しては特に量子論との絡みではっきりしていないところがある(まあ恐らく成立しているのだろうが,それをきっちり示せない)ため,何とか裏をかけんのかと頑張っている人はいます.
Re:運用ミス、構築ミス、設計ミス (スコア:1)
ま、高名な学者が突然おかしなことを言い出すのは良くあることだから。
the.ACount
誰か擬人化よろしく (スコア:2, おもしろおかしい)
夜中にこっそりLHCのハンダ付けにクラックを入れる仕事にいそしむ「宇宙の法則たん」
2007年論文投稿 (スコア:2)
リンク先見ると、
リンク先にアブストだけじゃなくて、論文全文が見れます。
実現可能性の吟味、ヒッグス粒子の場合も書いてありますね。
2007年7月初稿、12月13日第3版受領とあります。
2008年春頃は、間違いなんじゃないでしょうか。
Re:2007年論文投稿 (スコア:2)
Re:2007年論文投稿 (スコア:2)
要するに、 (スコア:2)
超並列世界の中で、ヒッグス粒子を誕生させた世界は消滅してしまった = ヒッグス粒子を誕生させた世界は誕生しえない?
元記事とか論文読まないで書いてますが、ワクテカが止まりません。
マーフィーの法則 (スコア:1, 興味深い)
Re:マーフィーの法則 (スコア:1)
もし「ヒッグス粒子を発生させる実験は頓挫する」という宇宙の法則があるなら、それを応用してこんな便利なことが出来るぞ、と、トンデモ論をどんどん発展させて行ったりして。 そんな便利なことはあり得ないんだから、「実験は頓挫する」という法則は間違っている、と主張するのも有名なテクニック [wikipedia.org]ですし。
未来からの補正予算 (スコア:1, おもしろおかしい)
ヒッグスさんのコスト意識は異常
Re:未来からの補正予算 (スコア:2)
まったくで。
「実験が失敗する」のは良いとしても、それは実際の粒子衝突でヒッグス粒子が出てこない、という形で実現される(?)のが最もシンプルでしょう。粒子加速器計画の頓挫や故障というようなマクロなレベルで現れる必然性がない。
それを受け入れるなら、そもそもヒッグス粒子に興味を持つような知的生命(人類)がこの宇宙に生まれてくることがガードされてないと。
Re:未来からの補正予算 (スコア:1, 興味深い)
きっと妨害してる
ゲマ宇宙の力にも、伝説の勇者ヒッグス粒子がどこから現れるか分からないのですよ。一生懸命できる範囲で妨害するけど、本当の発生原因には気付かず結局は…。
Re:未来からの補正予算 (スコア:1, 興味深い)
いえ、そうとは言い切れないのですよ。ヒッグス粒子の仮定が真であって、
ヒッグス粒子が出てくる条件をすべて整えた実験をおこなったなら、
ヒッグス粒子が出てこないという形では論理的に破綻してしまうからです。
そのため、ヒッグス粒子が出てくる条件を整えることは永遠に出来ないという形で
保護されている、と言うこともありえる……かどうからないがないとはいえないと。
ホーキングの時間順序保護仮説なんかもそうですね。逆向きのタイムトラベルは理屈の
上では可能だが、あの手この手でふさがれていて決して行うことが出来ないという。
この手の仮説の真偽はともかく、考え方としては面白いのでアリじゃないですかね。
Re:未来からの補正予算 (スコア:2, 興味深い)
>ヒッグス粒子が出てくる条件を整えることは永遠に出来ないという形で保護されている、と言うこともありえる……
これ自体は物理的にあっても良いとは思うのですが,やはり素直なのはビームの軌跡が干渉項によって曲がって衝突が起こらないとかそういう形での変化でしょう.干渉項によってハンダにクラックが入るとは,未来の仮想ヒッグスさん(いや,仮想であって実現しないんだから未来ではないのか?),かなり頑張ってる.
Re:未来からの補正予算 (スコア:1)
ビームの軌跡を曲げられちゃうと、人類はますます意地になってLHCをぶん回しかねません。 そうなると、「毎衝突ごとにビームの軌跡を曲げ続ける労力」>「クラックを入れる労力」となっちゃうので、宇宙の力は楽な方を選んだ、と。
要するに、人類があきらめない限りは延々とビームを曲げ続けないといけなくなるので、最も自然にあきらめるような道筋が選ばれちゃうわけです。
# あきらめんなよ! 絶対できるって!!
コスト削減に聖域無し (スコア:2)
いやいや、コストにこだわるなら、ヒッグス粒子を実際に探そうとする事態になってしまう前に手を打ったほうが安いです。
千数百年前のフン族の青年を1人殺してその後の歴史を大きく変えてしまうとか、もっと遡って数百万年前の猿モドキ1匹のDNA配列をちょいと変えてやるとか、あるいはビッグバン直後に何らかの初期パラメータをほんの少しだけいじくるとか、そちらのほうがきっと低コストですよー。
Re:未来からの補正予算 (スコア:1)
「強い人間原理」で説明可能かも。
宇宙の法則たんは、ヒッグス粒子に興味を持つような知的生命を必要としてる一方で、本当にヒッグス粒子を発生させられるのも、ちょっと困る、と。
Re:未来からの補正予算 (スコア:2)
強いて妨害があるとしたら、それは人間のやったことのはず。
Re:未来からの補正予算 (スコア:1)
スカイネット法案が可決(されていれば/すれば)、
人間ではなくて、機械かもしれないですけどね。
# 全裸のマッチョには気を付けないと
Re: (スコア:0)
Re:未来からの補正予算 (スコア:2, すばらしい洞察)
無粋を承知で…元ネタ
「未来からのホットライン」
創元SF文庫 ジェイムズ・P・ホーガン著
僕の発生実験も阻止されてるみたいです (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:僕の発生実験も阻止されてるみたいです (スコア:3, おもしろおかしい)
ふむ。
「実験自体」はしているのですな。
でも子孫が発生しないと・・・。
# いいじゃないかぁ。どこが問題でしょう?
Re:僕の発生実験も阻止されてるみたいです (スコア:1)
いや、実験条件が整わないということなんじゃないですか。「大宇宙の力」のせいで。
Re:僕の発生実験も阻止されてるみたいです (スコア:2, すばらしい洞察)
主に過去の自分が干渉している場合がほとんどかと……
Re:僕の発生実験も阻止されてるみたいです (スコア:1)
マンデルブロー状に無限に分岐した未来の一端を見ているだけ・・・ですよ。
#女心を解くぐらいなら、宇宙の謎を解くほうが簡単だと、聡明な学者は考えるだろう
#壮大なストーリ。空転するアイディア。
えーと (スコア:1)
子の因果が親に報い?
らじゃったのだ
Re:えーと (スコア:2)
細木メソッドですね。彼女の提携するバカ高い墓石を買わなければ、祖先が苦しむという。
Tevatronは… (スコア:1, おもしろおかしい)
神がアメリカの実験をお見逃しになっているのは、彼らがヒッグス粒子を見つけられないからなのですね?
実験がトラブルでうまく行かないのは「規定事項」 (スコア:1)
その理由は「禁則事項」てか?
因果の流れは (スコア:1)
宇宙の法則さんだか未来人だか何か知りませんが、
誰かさんがもう既に過去に干渉しちゃってるってことだよね?
それって、タイムパトロール的に許されることなの??
どちらかというとオカルト (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:どちらかというとオカルト (スコア:1, おもしろおかしい)
東原→ヒガシハラ→Higashihara→Hig's粒子→ 転じてHiggs粒子
Re:どちらかというとオカルト (スコア:1)
-- 哀れな日本人専用(sorry Japanese only) --
なんちゃらの猫 (スコア:1)
-- 哀れな日本人専用(sorry Japanese only) --
眉に唾をつけて、っと (スコア:0)
ヒッグス粒子さん (スコア:0)
俺、今から憧れの彼女に告白してくる。
断られたらヒッグス粒子作っちゃうよ。
じゃ、行ってくる。
Re: (スコア:0)
しかし告白自体が事前に妨害されてしまったのであった……
Re:ヒッグス粒子(りゅうこ) (スコア:2)
萌え元素本の次は、萌え素粒子物理ですか…。日本ハジマタ。
そういえば、ケーオン [slashdot.jp]とか流行っていたしなあ。
Re:ヒッグス粒子(りゅうこ) (スコア:1)
「わたし、ジョセフソンという人とだけは結婚しない」
とかなんとか言っていたのを思い出しました。
昨今だとペルチェさんとかもイヤかもしんない。
未来から過去に干渉できるなら (スコア:0)
人間は何となくひらめいたことだけやってりゃいいってことになりますね。
エンドレスエイト (スコア:0)
# Spring8でやってる実験ならいいオチなんだけど
Re: (スコア:0)