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バイオテック

iPS細胞を使わずに人の皮膚細胞から血液細胞を作ることに成功 31

ストーリー by kazekiri
遺伝子の力 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

カナダ・マクマスター大の研究チームが、iPS細胞を使わずに「造血幹細胞」を作成することに成功した(Nature誌掲載の論文毎日新聞読売新聞)。造血幹細胞は白血球や赤血球、血小板などに変化する細胞。作り出した細胞が実際に白血球や赤血球になることも確認したという。

手法としては、「レンチウイルス」を使って、皮膚の線維芽細胞に「OCT4」という遺伝子を挿入、サイトカインと呼ばれるたんぱく質を加えることで造血幹細胞を作成できたという。

danceman 曰く、

Nature誌で、人間の皮膚から人間の血を作り出すことができると、McMaster大学ガン幹細胞研究所のMick Bhatia氏率いる研究者グループの発見が発表されたとのこと(/.本家)。

この発見により、貧血といった血液の病気の治療、その他手術、がん治療の際に必要となる大量の血を、一片の皮膚から作りだして、輸血することができるようになるそうだ。2012年には臨床試験を行うことが出来るだろうとのこと。また、同グループは二年間に及んで、様々な年代の人の皮膚で試みた結果、血を作り出すのに年齢は関係がなかったようだ。

自分の皮膚から血が作られるのであれば、人様から血を頂く際に心配な感染症に気を揉む必要がない。また、血が足りなくなってもどんどん作りだすことができる。素晴らしい発見に拍手したい。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2010年11月09日 10時00分 (#1855529)
    >血が足りなくなってもどんどん作りだすことができる。

    ってことは、将来的には献血が不要になるのかな?
    • by PRAXI (35385) on 2010年11月09日 10時20分 (#1855542)
      論文の斜め読みレベルですが、最初の培養で21日、遺伝子導入で4日とか、培養増殖なのでやはり結構時間が掛かってますね。

      手術することが決まっているとか血液疾患の治療とか、待てる場合には有望でしょう。

      一方で事故での緊急輸血とかは対応できないので、すぐに献血が要らなくなることにはならないのではないでしょうか。

      (そういえばしばらく献血してないな)
      親コメント
      • これが実用化されれば、培養血液を貯蔵しておいて、
        緊急時に使用できる血液保険なるビジネスが普及したりしそう。

        --
        一人以外は全員敗者
        それでもあきらめるより熱くなれ
        親コメント
        • by branbran (27004) on 2010年11月10日 16時03分 (#1856383)

          真っ先にスポーツ選手向けドーピングが思いつくなぁ

          赤血球メインに培養しておいて、試合前にぶちゅっとすればあら不思議!

          親コメント
        • by Anonymous Coward
          血液中の老廃物を取り除くのが大変な人工透析には革命的なことかもしれません。
          自分由来の新鮮な血液が大量に確保できるとなると、古い血液を捨てて新しい血液を入れれば良いわけですから。
          • by kakitaro (10664) on 2010年11月09日 16時08分 (#1855766)
            うーん、透析患者の負担は変わらないんじゃね?
            どっちにしてもぶっとい針差して血液抜いて血液戻すんだから。。。因みに透析装置では血液から抜く成分と加える成分があって、その上水分量制御もしていますから、手間も変わらないように思いますよ。
            やっぱり、上で書き込みのあった事前に血液が必要なのが分かる手術向けでしょう。その他にはあんまり使い勝手がよろしくないかと。。。ただ血液製剤は作りやすくなりそうですが。。
            親コメント
            • by Anonymous Coward
              透析だと、200ml/分で4時間が標準かな。同じ速度で血漿交換できるのなら、20~30分で済むことになり、かなり負担は減りますね。ただし、急激に水分を抜くといろいろな副作用が起きるからそっちの所要時間が律速かな。
          • by saitoh (10803) on 2010年11月09日 13時08分 (#1855663)
            血液は老廃物(全身の細胞から出てくる)を運んでいるだけなので、血液が安価に入手できるからと言って透析の代わりに血液交換で済んだりはしないのでは?どうなんだろうなぁ。 体重60kgの人で血液は4Lくらいだそうですが、そのうち1Lを抜いて新しい血液1Lを輸血するだけでも、難しそう(抜いた時点で気絶者続出)。血を抜きながら別の欠陥から輸血したんでは新旧の血液がどんどん体内で混じっちゃうし。

            もひとつ、輸血じゃなくて血液交換となると血球だけじゃなくて血漿も必要ですが、こっちは人工的に作れてるのでしょうか?

            親コメント
            • 処置の種類としては全血交換とかあるので(母体と胎児の不適合とか)、「1L抜いてから1L入れる」とかじゃなく「右から抜きながら左から入れる」って方法でやれるっちゃやれますね。
              ただ言うほど簡単な処置じゃないでしょうけど。(簡単なんだったら感染症でもドバドバ交換したら良いよねってことになっちゃう)

              後半は私も同じことを思ってて、造血細胞移植だの血球の補給とかならともかく全血を用意できるほどの造血能力を体外で発揮できるんですかね。
              それとも科学技術発見系によくある「実用化までは壁が何枚もあるけどこういう夢が成り立つよね」って話なんでしょうか。

              親コメント
        • by Anonymous Coward

          献血していれば一定期間自分の血液を優先的に使える(預血制度)
          システムにすれば、献血量も増えると思うのだけど。

          #衛生面の懸念から廃止されましたが。

      • by TarZ (28055) on 2010年11月09日 12時52分 (#1855653) 日記

        将来的には普通の輸血にも使えるのかもしれませんが、おそらく、まずは造血幹細胞移植に向けた技術なんでしょうね。

        骨髄移植(ドナーの負担大)にしろ臍帯血移植(量が少ない)にしろ、患者と同じ型の造血幹細胞を必要なだけ用意するのは大変。自分の細胞から安全に作れればいろいろおいしい。

        親コメント
        • この論文ですが、多分化能は証明していますが自己複製能は証明していないですね。だから、stem cellsではなくprogenitorsという言葉が注意深く使われています。

          造血幹細胞移植に臨床応用するなら造血幹細胞の増幅技術がセットでないと使えませんが、そもそも造血幹細胞を増幅する技術があれば、非血液細胞から造血幹細胞を誘導しなくてもドナー問題の多くは片付いてしまいます。

          骨髄液を1000ml取ろうとするから(日本でも非血縁者間末梢血幹細胞移植ができるようになりましたが)全身麻酔や自己血貯血や厳密な健康診断や入院スケジュール調整や弁護士立会いの同意面談

      • Re:現状は時間が掛かる (スコア:1, すばらしい洞察)

        by Anonymous Coward on 2010年11月09日 12時21分 (#1855623)

        現在の輸血だって他人の血を入れるわけですから、
        事前に一定種類分培養しておくだけの話では?

        親コメント
      • by saitoh (10803) on 2010年11月09日 19時26分 (#1855899)
        献血コーナーでよく「AB型の血液が足りません!」とか掲示が上がってますが。この技術でRH-ABとかの血液を量産したら、献血よりコストが安くなったりするんでしょうか。ちょっと期待。
        親コメント
        • by Anonymous Coward

          その場合、量産するのは O RhD(-) だけじゃないでしょうか。
          献血によるものと違い血漿成分は入っていないので、レシピエントの血液型を問わず誰にでも使えます。

    • by Anonymous Coward

      その代わり肌がカサカサになります。

  • HTLV-1の時みたいに臨床でやってみたらがんのプロモータの前にばっかりインサートされたりするんじゃねえかなぁ。
  • by Anonymous Coward on 2010年11月09日 11時28分 (#1855590)

    エホバの証人とか一部で輸血拒否をする宗教がある [wikipedia.org]ようだけど、こういう宗教の人でも、人工的につくられた血ならば、それは今でも許可されている代替血液扱いで血ではないとして輸血可能っていう事にならないかな。
    それとも血であるというだけで駄目なのだろうか。

    • by Anonymous Coward on 2010年11月09日 12時03分 (#1855617)

      エホバの証人は自己血も禁止しているようですから、これもたぶん拒否するのではないでしょうか。
      教義的には、血が生命の源とかそんな感じなので、このような人工的に作り出された血=神の領域を人が侵したとかで拒否反応が強そうです。

      ちなみに代替血液は文字通りの代替ではなく、血圧を上げる目的などに使用される酸素循環能力のないものを指すことが多いです。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        明らかに「血液」になってしまうとどうでしょうね。公式に禁止かもしれません。
        ただし、自己血については人工心肺とかは循環器系の延長として受け入れる人もいますし、
        人工的に作り出された「血液っぽくて血液じゃない血のような何か」として
        個人の判断に任せられるかもしれませんね。
        でも、
        > 人工的に作り出された血=神の領域を人が侵した
        というような方向での考え方は聞いたことないですね。

        • >> 人工的に作り出された血=神の領域を人が侵した
          >というような方向での考え方は聞いたことないですね。
          ああ、ごめんなさい。エホバの証人がこういう考え方だと言っていたわけではなくて、
          「ヒトは創造主・造物主が生み出した」って言うところは新世界訳聖書でも同じで、
          クローンに否定的というところから思ったことです(iPS細胞の活用はクローン技術の一つと捉えたとした前提で)
          ちょっとググってみたら完全に輸血拒否というわけではなくて、いろいろと教義上の指針とかあるみたいですね。
          個人的には、ここに限らず宗教側がこういった科学技術に対してどう解釈をするのかというのには興味があります。

    • by Anonymous Coward
      ないですな。
      人工的に培養されてはいても、人間の細胞由来であって「人工的につくられた血」じゃないですから。
    • by Anonymous Coward

      そもそも現世利益が連中にとって「朗報」なんですか?
      自分の意志で入信しているかどうかもわからない子供が親の輸血拒否で殺されるから問題なわけで。

  • T/O
    • by Anonymous Coward

      一つ上の男を思い出した。献皮はヤメレw

      • by saitoh (10803) on 2010年11月09日 19時33分 (#1855905)
        欧米では、宗教上の理由から割礼という形で新生児のペニスから包皮を切除する。これが培養皮膚の素材となる。新生児からの皮膚であるため、新鮮であり、細胞の活性もよい。・・・
        だそうですんで、すでに足りているのでは?
        親コメント
  • by Anonymous Coward on 2010年11月09日 9時20分 (#1855515)
    血も涙もない奴も血だけは確保できるわけですね
    • >その他手術、がん治療の際に必要となる大量の血を、一片の皮膚から作りだして、輸血することができるようになるそうだ。
  • by Anonymous Coward on 2010年11月09日 10時18分 (#1855540)

    妖怪垢なめに。

  • by Anonymous Coward on 2010年11月09日 13時48分 (#1855686)

    自己血輸血ドーピングがやりやすくなるのですかね。

    それとも介在する人が多くなるため発覚しやすくなるから、現行の方法のままかな。

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UNIXはただ死んだだけでなく、本当にひどい臭いを放ち始めている -- あるソフトウェアエンジニア

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