人類のX染色体上にネアンデルタール人由来のDNA配列が見つかる 12
ストーリー by hylom
共存していたらどうなっていたのだろう 部門より
共存していたらどうなっていたのだろう 部門より
eggy 曰く、
遺伝子研究の結果、現生人類のX染色体DNA配列の一部がネアンデルタール人由来であることが分かったとのこと。だが、アフリカ大陸の人に限ってはこれに該当しないのだそうだ。本研究はMolecular Biology and Evolutionの7月号に掲載されている(本家/.記事)。
ネアンデルタール人はかつては人類の祖先との説があったが、DNAを調べた結果ネアンデルタール人は我々人類とは異なる種の人類であるということがほぼ明らかになっており、交配もできないのではないか、という説が唱えられていた。
Damian Labuda氏率いる、モントリオール大学とCHU Sainte-Justine Research Centerの研究者で構成された研究チームは10年程前、人間のX染色体上に起源の不確かなDNA配列、ハプロタイプを特定することに成功している。そしてチームは、ネアンデルタール人のゲノムが解読された2010年に、あらゆる地域の染色体6万個とネアンデルタール人のハプロタイプを比較したところ、サハラ以南アフリカの地域以外の世界中の人々の遺伝子にネアンデルタール人のDNA配列が存在することが分かったのだそうだ。
本研究に参加していないBroad Institute of MIT and Harvard UniversityのNick Patterson教授は、「我々の祖先とネアンデルタール人が交配したからハプロタイプが存在すると結論付けるには若干疑問が残る」としているものの、「大変素晴らしい結果であり、分析が進めば更なる事実の解明に役立つだろう」と研究チームの成果を讃えている。
関連 (スコア:2, 参考になる)
以前のトピック
http://srad.jp/science/article.pl?sid=10/05/12/014222 [srad.jp]
上記2010年の(別グループによる)報告で出アフリカ以降の早い時期にネアンデルタールとの混血が起きたことが示唆されていたけどまだ確定ではなかったから,もうちょっといろんな部分の配列を比較してもうちょっと補強してみましたよ,と.
(今回のグループはネアンデルタールの遺伝子配列自体の解明には参加していなくて,報告されたものを元に比較)
Re:関連 (スコア:3, 参考になる)
> もうちょっといろんな部分の配列を比較してもうちょっと補強してみましたよ,と.
いえ,今回の論文は「いろんな部分」ではなく,特定の一部分だけに集中して調べたものです.
具体的にはdystrophin遺伝子の44番目のエクソンにある多様性「だけ」しか見ていません.
しかもほぼ一箇所の塩基の置換(SNPs)だけの証拠なので,サハラ以北,あるいは出アフリカした集団に特異的なSNPがあった,そしてそれがネアンデルタール人と共通していたか,ネアンデルタール人「に」伝搬されたとしても説明がつくものです.
このためまだ批判的に検証される余地は残されていると言えるでしょう.
統計的には以前の報告のほうが混血の可能性を高い信頼性で示していると思いますが,今回具体的な痕跡の位置と数字を出すことができたので,検証の叩き台としては一歩進めたかと思います.
kaho
Re: (スコア:0)
ネアンデルタール人と(初期)現生人類とで異なると学会レベルで認識されている部分を比較したんじゃないかな。
じゃないと、この論文の前提そのものが崩れるわけで…。
ただまぁ、おっしゃるとおり、この手の論文は揚げ足取りできる部分が多数あるのは確かなんですが。
ネアンデルタール人固有? (スコア:2, 興味深い)
「我々の祖先とネアンデルタール人が交配したからハプロタイプが存在すると結論付けるには若干疑問が残る」
クロマニヨン人に無くてネアンデルタール人と現人類にだけある => ○
それ以前の原人に無くてネアンデルタール人と現人類にだけある => ○
みたいな条件でないと、ネアンデルタール人そのものの子孫かどうかは判断できないんじゃないかなと。
他の原人のDNA解析も重要な研究推進材料ですね。
Re:ネアンデルタール人固有? (スコア:2)
なるほど。
でもまあ、サハラ以南の人達に見つからないのは補強材料ですね。
ミトコンドリアの多様性などではサハラ以南のアフリカ人のが大きいらしいですし。
Re:ネアンデルタール人固有? (スコア:1, 参考になる)
出アフリカ後の人類(A)
アフリカに残った人類(B)
ネアンデルタール(C)
1. 遺伝的には、AとBがかなり近く、それと離れてCがある。従って、AとBが分かれる以前にCが分かれていたことが推定される。
2. 遺伝的な変異の分析から、BからAが別れ世界に広がっていった事が推測されている。
3. ところが、Cに存在するある因子が、Bには存在しないのに、Aにはある程度存在することが判明した。
4. この因子をBが持たないことから、この因子はホモサピエンス誕生後(そしてさらに出アフリカ後)に導入されたことはほぼ明らか。当然、A(やB)とCの共通の先祖から受け継いだものでないことも明らか(何故ならBがこの因子を持っていないから)
5. この当時に、ホモサピエンス(AおよびB)とネアンデルタール(C)以外に交雑可能な種がいないなら、Aに取り込まれているこの因子はCからAへと導入されたと考えられる。
という流れかと。
あと、クロマニヨン人って現生人類の一種のようなものでは?
(地方在住の○○族みたいな感じで)
Re:ネアンデルタール人固有? (スコア:2, 興味深い)
交雑しなくてもレトロウイルスが運んだ可能性もあるかな?
人間はウイルス由来のDNAをたくさん持たされてるそうな。
the.ACount
Re: (スコア:0)
Re:ネアンデルタール人固有? (スコア:2)
それは確率低そう。
大雑把に、Bの多様性の部分集合としてAがあるわけですので。(あとは、出アフリカ後に変位した部分がA,B双方にいくらかあるという程度)
あと、ネアンデルタール人って北方適応というかヨーロッパに分布してたんですよね。
コンタミ考えなければ、出アフリカ後の交雑という事になりそうな。
本当にうまくDNAを採取出来たのかな。。。 (スコア:2, 参考になる)
何万年も前のネアンデルタール人の遺骸から
本当にうまくDNAを採取出来たのかな。。。
1.アフリカにてネアンデルタール人発生、
2.ネアンデルタール人の出アフリカ、
3.ネアンデルタール人のアフリカ残留組はなんらかの理由で滅びる。
それか、
『アフリカにて発生したのは、プレーネアンデルタール人。
そして出アフリカ組がネアンデルタール人になった。
(アフリカ残留組はネアンデルタール人では無い)』
4.アフリカにて現世人類発生。ある程度増えて種として確定。
5.その後なんらかの原因により現世人類は数千人まで人口縮小し存続の危機に陥る
(ボトルネック効果で遺伝子多様性が低くなる)
6.が、現世人類はなんとか生き延びて、その後人口増大
7.現世人類が出アフリカ
(いわゆるアフリカ人とそれ以外の人種の分離。
アフリカからアフリカ人以外が追い出されたか、
出アフリカしてから、アフリカ人から分化したかは、わからないが、、、
まあ、他種の動物に比べれば現世人類の人種なんて大きな違いではないけども。)
要するに、出アフリカ組とアフリカ残留組には、遺伝的違いがある。
8.ネアンデルタール人と現世人類は混血してない。
何らかの理由でネアンデルタール人滅びる。
そして現在、
科学技術の発展した現生人類がネアンデルタール人の遺骸からDNAを採取。
しかし採取した時に、現世人類のDNAが混入。というか純粋なDNA抽出は無理。
元々、何万年も前の遺骸でありDNAの採取は元々困難だし、、、
そして汚染主は、出アフリカ組。
あたかもネアンデルタール人と現世人類の出アフリカ組が混血したように誤解。
そんな可能性。
(何万年も前の遺骸からのDNAの採取は元々無理、、、)
Re:本当にうまくDNAを採取出来たのかな。。。 (スコア:2, 参考になる)
まあ確かに、この手の話ではコンタミが非常に問題になり、いつもそこを巡って論争になります。
(当然今回の話に関しても、2010年の発表以来そういう話は出ている)
そのため元々のGreenらの論文(というか、そのSupp. Online Mater.)では延々とどうやってコンタミを防いだか、どのようにコンタミがないことを確認したか、が述べられています。
とは言ってももちろん、コンタミの可能性が無いことを証明するのは現段階ではほとんど無理なわけで、あとは最終的には著者をどのぐらい信用するかという何とも言いがたいところになって来ちゃうんですが……
(将来的には、もっとサンプル数が増えることで解決するんでしょうが)
つまり、 (スコア:0)
>遺伝子研究の結果、現生人類のX染色体DNA配列の一部がネアンデルタール人由来であることが分かったとのこと。
ミトコンドリアでは見つからなかったことを考えると、ホモサピエンス萌なネアンデルタール人に娘がいたということか。