人類は未だに進化し続けているのか 32
結婚できないのは遺伝子のせいだった! 部門より
生物は自然淘汰によって進化してきたといわれているが、この「自然淘汰による進化」は現代の人間でも続いている、という研究結果が発表されているという(本家/.、Science記事)。
PNASに掲載された、ベルリン高等研究院の生物学者Alexandre Courtiol氏らによる論文「Natural and sexual selection in a monogamous historical human population」によると、同氏らの研究チームはフィンランドの農村および漁村で1760~1849年に生まれた5923人を対象に、「15歳以上となるまで生きられたか」、「結婚していたか」、「結婚した回数」、「一回の結婚ごとに生んだ子供の数」を調べたそうだ。その結果、ほぼ半数の人が15歳になるまでに死亡していたことが分かったとのこと。これは病気しやすいといった望ましくない特性が自然淘汰されたことを示すという。
また、15歳以上になるまで生きた人でも、うち20%は未婚で子供を残すことが出来なかったとのこと。これはなんらかの特性により、次世代に遺伝子を受け継ぐことができなかったことを示すという。
いっぽう、異性を惹き付ける力のある人はより多くの子供を残すことができた、ということも示されたそうだ。そのほか男性は若い女性と再婚する傾向があり、また授かった子供の数は女性より男性の方が多かったとのこと。実際にどういった性的特性が好まれたかは分からなかったものの、授かった子供の数は0人から17人までと差があったため、ここでも自然淘汰が作用していたと考えられるという。
興味深いことに、土地を持っている人も持っていない人も数字に違いがみられなかったとのことで、人間の自然淘汰に財産的に豊かであるかどうかは影響しないことも分かったという。
ただし、これは200年前の人間のデータであり、今日の人間、特に先進国の人間において当てはまるかどうかは定かではないとのこと。
昨年秋に出たカナダの研究に続くものですね (スコア:4, 参考になる)
メディアも同じPNASなので,ピンと来た方も多いと思いますが,昨年秋に出たクードル島の歴史人口研究 [youpouch.com](リンク先は日本語による紹介記事。PNASの元論文はEvidence for evolution in response to natural selection in a contemporary human population. [pnas.org])と(広い意味で言えば)似た手口の論文ですね。実際に遺伝子頻度の変化をみたわけではなく(歴史人口データなので),遺伝子頻度の変化を想定しなくては説明が付かない人口動態変化があったと論じるところがアイディアなんだと思います。
日本の歴史人口データもこれらに匹敵するか凌駕するくらいのものはたくさんあると思うので,いまこの手の分析をすると,PNASに採択されるチャンスかもしれませんね。いや,既に着手している方がいそうな気もしますが……
Minato NAKAZAWA, Ph.D. Demographer, Human Ecologist
>現代の人間でも続いている (スコア:2)
サンプルも18~19世紀からとっているんだし、これは「近代の人間まで続いていた」と言い直したほうがよさそうな。
現代の少なくとも先進国では、医学が非常に進歩してしまったし、もちろん「生存に不利な遺伝子を持っている人は子作りは控えよう」なんて風潮があるわけでもないから、こういう意味での自然淘汰は限りなく停止に近づいているような気がする。
#今後も遺伝子的に変化していこうと思うなら、それこそ人為的に操作するか、
#何かの事象によって人類の大半が死滅して全部リセットされちゃうとかを待つしかないんじゃないかな、という。
Re: (スコア:0)
現代社会においても、みんな同様に確からしく結婚して子供を残すなんて風潮ではないと思う。
Re:>現代の人間でも続いている (スコア:2)
所得が向上し医療が発達して子供の死亡率が下がると女性一人あたりの
子供の数が減るという、おおまかな相関はよく知られているので、風潮というか
一種の自然選択が働いている結果とも言えるかも、ですね。
>自然淘汰は限りなく停止に近づいている
現代の人間は環境を変えてしまうので、淘汰が機能しなくなりつつあるんでは、といのは
良くある議論ですね。現代社会では、別の方向での淘汰圧力があるような気もしますが。
お前がモテないのはどう考えてもお前が悪い (スコア:2, すばらしい洞察)
>結婚できないのは遺伝子のせいだった!
みんな自然淘汰による勝ち組の子孫として生まれているはずだが・・
進化とは何か (スコア:2)
以下、うろ覚えですが、
「生命に仕組まれた遺伝子のいたずら」などによれば、
色は緑オプシン、赤オプシン、青オプシンという蛋白で色を感じる。
錐体に2種類の赤オプシンを有している個体があるというのを、どこかで読んだ。
そういう人は赤に対して鋭敏な知覚を有していることになります。
またヘモグロビンは酸素2分子を運ぶのが一般的だが、3分子を運べる人が
いるらしい。
こうした人は運動能力に優れていることが想像できる。
こういう個体が増殖すれば進化した事になるのだろうか。
Re:進化とは何か (スコア:1)
進化し続けているのは(言葉の意味としては)当たり前としか言いようがないですよね。
遺伝子が(というかその変化の幅が)何万年も固定化されてるんでも無い限り、「進化が止まっている」というのは性急すぎる物言いだと思うんですよ。
一世代が数十年ある人類にとって、進化ってのは、数十年はもとより数百年でも短すぎる。
ストーリーのは「現代でも自然淘汰にさらされた人たちが居た」というだけで、「人類は」と拡大するのは大雑把すぎ。
ただそれはそれとして、何か特異な機能が定着することを進化と呼ぶかどうかってのは難しい問題ですよね。
交配不能なほど種が分化すれば区切りがつくんでいいんですが、
例示されたような機能を、例えば人類の5分の1が持ったとして、それは「人類の進化」と言うのでしょうか。
耳垢がかさかさ派とジットリ派は進化の途中なのでしょうか。
劣性遺伝する非致死性の遺伝病持ちは進化でしょうか。
ただ、たまたま「遺伝子異常だが致死性じゃない個体が生き残り、子孫を残してるだけ」でしょうか?
Re:進化とは何か (スコア:1)
「スーパーサイヤ人?」そういう定義もありますが、少しの時代ですが、「ドイツ民族、即ちアーリア系であること」という定義もありましたね。
進化論と優生学は、倫理や法が謳う「人類はみな平等」という考え方と対立するものがありますね。もっとも、法の謳う「平等」の方は、実際のところはさておいて社会契約上の平等、あるいは、平等に権利を与えることを保証してるだけだから、問題はないのかも知れませんけどね。
それでも、実際に進化が続いていて、進化している系統(民族・家系)なんかが明らかになった場合、倫理的・法的な問題が起こることも考えられそうです。進化の度合の差が小さい場合はいいとしても、進化の度合いの差がとても大きい場合にはとくに…。「契約上の人類」とい「みなし人類」とか、そういう制度も必要かもしれませんね。
宇宙人に人権があるかどうか、みたいな思考実験的で、現実離れした問題ですけど…。(゚ω^* )♪
Re: (スコア:0)
> またヘモグロビンは酸素2分子を運ぶのが一般的だが、3分子を運べる人がいるらしい。
> こうした人は運動能力に優れていることが想像できる。
>
> こういう個体が増殖すれば進化した事になるのだろうか。
群れの中の運動能力の劣る方から死んでいくような過酷な環境じゃない限り、
それ以外の個体が淘汰される事は無さそうだね。
15歳になるまでに死亡 (スコア:1)
可哀想に・・・ここを乗り越えれば一皮むけて進化出来たというのに。
死因はほぼ病死? (スコア:1)
論文読んでないけど(読めないけど)
>その結果、ほぼ半数の人が15歳になるまでに死亡していたことが分かったとのこと。
>これは病気しやすいといった望ましくない特性が自然淘汰されたことを示すという。
その時代その社会での15歳未満の死因はほぼ病気のみということなのか。
事故や殺人や自殺とかまるでない幸せな社会だったのならそうなんだろうけど。
小学校以来の友人が14の春に自殺したのを思い出した。
自殺も「病」だと言えなくないんだろうけど。
もし死因のほとんどが病気だとしても、医療技術の進化や住居や食環境などの改善で病気になりにくいとか。
あるいは病気になっても死ななくなったとかソッチの方も考慮しての結論でしょうね。
もしその論文に基づいたカンファレンスなんかあればこういうことについて質問しちゃいそうだ。
#こういう話はきちんと論文を読めないとできないね。
人類は未だに進化し続けているのか? (スコア:1)
# 退化も進化。
Re:人類は未だに進化し続けているのか? (スコア:1)
私は親知らずが5本ありました。
同世代でもばらつきがあることを考えると進化と言うよりばらつきの範囲でいいのではないかと。
# 単に個体のエラーかもしれない。
ビッグバン・プログレス (スコア:1)
ヒトシンカ
らじゃったのだ
なんでだろ (スコア:0)
>いっぽう、異性を惹き付ける力のある人はより多くの子供を残すことができた、ということも示されたそうだ。
これがほんとなら、今の世の中美男美女ばかりになっていても良さそうなもの。
Re:なんでだろ (スコア:2, すばらしい洞察)
10万年前に比べたら今の人間は美男美女ばかりなのかもしれませんよ?
当時の写真が残ってないのが残念ではありますが…
Re: (スコア:0)
某半島では成人後(金がある人は)皆美男美女に進化するニダ
Re: (スコア:0)
写真は無いですが、複願された縄文人の顔立ちは、
なでしこジャパンの澤選手に似てますよね。
Re:なんでだろ (スコア:1)
>いっぽう、異性を惹き付ける力のある人はより多くの子供を残すことができた、ということも示されたそうだ。
これがほんとなら、今の世の中美男美女ばかりになっていても良さそうなもの。
異性を惹きつけるのは見た目だけじゃないからでしょ
Re:なんでだろ (スコア:1)
> 異性を惹きつけるのは見た目だけじゃないからでしょ
木嶋佳苗は進化した生物ってことでいいですか?
Re: (スコア:0)
Re:なんでだろ (スコア:1)
実際に美男美女ばかりになっているんじゃないでしょうか. 伝統的に美男美女の基準はここ数千年ばかし太っていることでしたから, ちょっとばかし栄養状態が改善されると, その反動でどーんときているんじゃないかと.
# 中年太りとは無縁なので, 美男の区分から外れていると思う
Re: (スコア:0)
残念ながら美醜の基準自体が緩くなってゆくわけではないため、実は美男美女ばかりの世の中であっても、誰にもそうは感じられません。
タイムスリップしてきた人が見れば、驚いたりするかもしれませんが。
#というか、美醜の本質はさておいて、そういった基準自体も進化をしているということはないのだろうか?
#うまく誘導出来れば皆の見た目は変わらなくても晩婚化が止められたりするよね?
Re: (スコア:0)
進化じゃなくて、変化でしょ?
おおざっぱに言って、男は筋肉隆々でたくましいのが好まれ、女は太ってて豊満なのが好まれてた。
昔の彫刻や絵画でわかる。
あと千年くらいしたら、全身ツンツルテンでひょろっとしたのが美しいってなるかもね。
頭も大きく、身体は小さく、でっかいサングラスしてんの。
Re: (スコア:0)
ソレナンテ・グ・レイ
AA略
Re: (スコア:0)
1. 美男美女の基準はころころ変わる。それこそ、自然淘汰で進化が進む速度よりもずっと速く変わる。なので、一定の方向で進化することができない。
2. 美男美女は相対評価なので、時代ごとの母集団のなかで美男美女の割合は変わらない。
Re: (スコア:0)
美男美女だけが異性をひき付ける要因ではないからだよ
一歩先へ進む (スコア:0)
放射能まみれの環境でも生き延びる我ら
むしろそうじゃなかったらおかしいのでは? (スコア:0)
>生物は自然淘汰によって進化してきたといわれているが、この「自然淘汰による進化」は現代の人間でも続いている、
続いてなくて、固定化? してるって結果がでたらビックリするけど。
むしろ未だに進化を止めることができていない (スコア:0)
競争は全くなくなっていない。
競争が不要な心穏やかな世界はいつくるのだろうか…と言ってみる。
Re: (スコア:0)
それはひょっとしてギャグで言ってるのか・・・!?
田舎の固有種 (スコア:0)
地方に行くと、地方特有の文化が形成されていることも多いのですが…
「都会に出ていこう」と考え、実際に行動する人は、その土地から消え
そうでない人だけが残り、子孫を残していきます。
そうすると、田舎に残っているクラスメイトや、よく知る先輩や後輩を見ると
なにか、そういった田舎の固有種的なものに進化していっているような気もしてきます。
錯覚なのかもしれませんけどね。
単純に、長男長女で地元に縛られている奴らは別だし