パスワードを忘れた? アカウント作成
13754371 story
NASA

NASA、正常なデータを出力しなかったハブル宇宙望遠鏡の予備のジャイロスコープを振って直す 33

ストーリー by headless
修復 部門より

NASAは23日、ハブル宇宙望遠鏡の予備のジャイロスコープ(ジャイロ)が正常範囲のデータを出力するようになったと発表した(NASAの記事)。

ハブル宇宙望遠鏡はジャイロの故障で5日にセーフモードへ移行したため、予備のジャイロを起動したが、実際の回転速度とは桁違いに大きな値を出力する問題が発生していた。このジャイロは1分間に19,200回転するホイールが「フロート」と呼ばれる密封されたシリンダー内にマウントされており、フロートは粘性の高い液体中を浮遊している。

まず運用チームでは、7年半使われていなかったジャイロの起動時に何らかの問題が発生した可能性を考慮し、16日にジャイロを再起動してみたが、特に改善は見られなかったという。次に、何らかの障害物によりフロートが中央からずれ、極端に大きな値を出力している可能性を考慮し、18日には宇宙機に連続して方向転換を行うようコマンドを送って障害物の除去を試みる。

ジャイロには大きな回転を測定するHighモードと細かい回転を測定するLowモードがあり、フロートの周りに蓄積した障害物を取り除くため、方向転換するたびにモードを切り替えていった。その結果、出力される回転速度は大幅に低下し、短時間であればLowモードでの測定が可能な状態になったという。翌19日には再び同様の連続方向転換とモード切替を実施し、いずれのモードでも正常と思われる回転速度が出力されるようになったとのこと。

チームはさらに追加の方向転換を行ってジャイロの安定性を確認し、週末いっぱい監視を続けたが、特に問題はみられなかったそうだ。今後は実際の観測時と同様の条件でテストを行い、問題がなければ間もなく通常の運用が可能になると予想されている。

なお、10日にセーフモードへ移行し、15日に復旧したチャンドラX線観測衛星は、21日から科学観測を再開しているそうだ。

追記: ハブル宇宙望遠鏡も日本時間27日15時10分、科学観測を再開したとのこと。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by tamaco (19059) on 2018年10月28日 18時57分 (#3505851)

    日本も結構頑張っていますよ。
    今ではずいぶん昔になりましたが、amazonでなか見!できるようなので、久々に読み返してしまいました。
    まさかこのあと、「はやぶさ」で同じような・それ以上の満身創痍になるとは思いませんでしたが。

    恐るべき旅路―火星探査機「のぞみ」のたどった12年 [amazon.co.jp]
    P.379(なか見!検索)

    「スイッチオンを繰り返せ」というコマンドを「のぞみ」がいるはずの空の一点に向かって送信された。翌7月16日、推定7500回の「スイッチオン」を繰り返したところで、「のぞみ」からのビーコン電波が復活した。

    P.387(なか見!検索)

    「のぞみ」は、いくつかの星がどの方向に見えるかを測定するスターセンサーと太陽の方向を調べる太陽センサーで、自らの姿勢を調べる仕組みになっている。「この星が、これこれの角度からこの角度までの間に入っているか?イエスかノーか」というコマンドを送り、結果を受けて角度の範囲を狭めていけば、「のぞみ」の姿勢を知ることができるのだ(1ビット通信)

    P.409(なか見!検索)

    「のぞみ」に送り込まれたコマンド列が「スイッチオン」を繰り返す。7月9日、予測されていた事態が発生した。この日以降「のぞみ」から電波が届くことは無かった。「のぞみ」は生きていることは間違いない。どこにいるかもわかる。空のどこにいるかは、事前の軌道決定によって完全にわかっている。

    P.416(なか見!検索)

    しかし、川口淳一郎と軌道設計チームは諦めていなかった。共通系電源に発生したショートは、半年ぐらいの連続スイッチオンでは焼き切れないぐらい頑固なものらしい。

typodupeerror

弘法筆を選ばず、アレゲはキーボードを選ぶ -- アレゲ研究家

読み込み中...