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月

土星の衛星タイタンが従来の推定よりはるかに速く土星から遠ざかっているという研究成果 20

ストーリー by headless
百倍 部門より
NASAとイタリア宇宙機関などの研究グループの研究成果によると、土星の衛星タイタンは従来考えられていたよりはるかに速く土星から遠ざかっているそうだ(JPL Newsの記事論文アブストラクトSlashGearの記事The Registerの記事)。

今回、研究グループはNASAの土星探査機カッシーニが撮影した写真を用い、背景に写った恒星をマッピングしてタイタンの位置を追跡した。さらにカッシーニがタイタンに最接近(フライバイ)した際に地球へ送った電波を用い、信号の周波数変化からタイタンの軌道の拡大を推定。これら2つのデータセットにより、タイタンは年に約11cmの速さで土星から遠ざかっていることが判明した。これは従来考えられていた速度の100倍に相当するという。

衛星が惑星を周回する軌道上を進む際、衛星の重力に引かれて惑星に一時的な膨らみが生じ、元に戻る。この繰り返しによるエネルギーが衛星に送られることで衛星は外側に押し出され、月の場合は年に約3.8cmずつ地球から遠ざかっている。土星は太陽系初期の46億年前に形成されたと考えられているが、土星の環や80以上の衛星が形成された時期は明確になっていない。現在のタイタンは土星から約120万kmの距離にある。今回判明した速度は、タイタンがこれまで考えられていたよりも土星にずっと近い位置で形成されたことを示唆し、土星系がずっと速く拡張していることを意味する。

従来、衛星が惑星から遠ざかる速度は惑星から遠いほど遅くなると考えられていた。しかし、今回の論文執筆者の一人は4年前、惑星からの距離にかかわらず同様の速度で衛星が遠ざることが示す研究成果を発表している。今回の発見はこの理論を裏付けるものとなる。新しい理論は衛星と惑星の相互作用が従来考えられていたよりも顕著になる可能性を示し、太陽系外を含む幅広い衛星系や連星系にも適用できる可能があるとのことだ。
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  • by Anonymous Coward on 2020年06月14日 15時25分 (#3833210)

    >衛星の重力に引かれて惑星に一時的な膨らみが生じ、元に戻る。

    重力だけじゃ説明できない動きだよね。

    • by nnnhhh (47970) on 2020年06月14日 15時31分 (#3833218) 日記

      力のかかる場所がずれてくからだよ
      満潮の後には干潮が来るでしょ
      月のに引かれて地球にできた一時的な膨らみが満潮だよ

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      >一時的な膨らみ

      重力は関係ない。
      エッチなこと考えるとなる。

    • by Anonymous Coward

      自転周期と公転周期のずれによるものなので、基本はきわめて単純です

    • by Anonymous Coward

      潮汐力は重力によるものだよ。
      #3833218にも書かれているように、土星から見たタイタンの位置が変わることで引っ張られたり元に戻ったりする。

      一方、4年前の論文は軌道共鳴によってもっと早く遠ざかっている可能性を指摘したものらしい。

    • by Anonymous Coward

      惑星、衛星の変形にエネルギーが使われてしまう結果、衛星はエネルギーを失って徐々に惑星の方に落ちていく…というのなら納得なのだが、実際は逆で惑星から衛星にエネルギーを供給できる上にその供給力は距離が離れても衰えないという。実際なんでだろ?

      • by Anonymous Coward on 2020年06月15日 9時53分 (#3833474)

        >衛星はエネルギーを失って徐々に惑星の方に落ちていく…というのなら納得なのだが

        エネルギー(というか角運動量というか)の出所が違うのよ。
        惑星の自転が吸い出され、衛星の公転に送り込まれる、という感じ。

        まず、多くの場合で衛星の公転方向と惑星の自転方向は同じで、惑星の自転の角速度のほうが速い。
        これは、同一のガスやら塵やらの円盤からできた場合には、回転方向が同じだし、中心付近(=惑星のいる位置)に縮んだほうが角運動量保存則で早く回転することに対応する。
        潮汐力が働くと、惑星も衛星も相手の方向(鉛直方向)に変形する。
        惑星の自転のほうが衛星の公転よりも早いので、惑星は変形したままより速い速度で回ろうとする。すると、潮汐力で伸びた形状が衛星の公転の「前」方向にずれる(惑星の自転より衛星の公転のほうが遅いため)。
        すると衛星にとってみると、(ほんのわずかだけれど)自分の進行方向に惑星の伸びた部分が存在するわけなので、惑星から受ける重力に、ほんのちょっとだけ自分を前方に引っ張る成分が加わる。このため公転が加速され(*)、軌道半径が伸びる。逆に、惑星のほうは自転を後ろ向きに引っ張る力を受けるわけだから、自転が遅くなる。

        (*)公転半径が伸びた結果、最終的に公転の「速度」そのものは遅くなる。

        親コメント
        • by simon (1336) on 2020年06月15日 12時53分 (#3833568)

          地球も自転の速度をちょっとづつ月に渡してるので自転速度は年々わずかづつ遅くなっている
          一方月は地球の自転エネルギーを受け取ってるので公転軌道が年々広がっている

          で、もし仮に今地球の自転が止まったら
          月は逆に公転エネルギーを地球の自転に渡すことで地球の自転を再開させるだろうと計算されている(どうして地球の自転がとまったかについては知らん)

          親コメント
        • by Anonymous Coward

          なるほど。母星はのろい衛星たちを速く回そうと一生懸命引っ張っているけど、引っ張るほど遅くなっていくばかりなんだね。しかし距離が離れても引っ張る力が衰えないのはなんでだろ?それが新理論の核心なんだろうけど…?

          • by Anonymous Coward

            >しかし距離が離れても引っ張る力が衰えないのはなんでだろ?

            距離が離れても衰えない、わけじゃない感じ。
            惑星の固有の振動(地殻の硬さとか分布に依存したり、大気の振動だったり)と、複数の衛星の起こす潮汐力だったりの振動数がいい感じに共鳴状態になると、より効率的に角運動量が衛星側に移行するから、もっと単純なモデルで考えていたよりはかなり早く衛星が遠ざかるよ、とかそんな感じみたい。
            (それも、偶然周波数が合う、とかじゃなく、そういう周波数に吸い寄せられるように共鳴にはまり込むから、結構効率が良いとかそんなふう?)
            https://academic.oup.com/mnras/article/458/4/3867/2613868 [oup.com]

          • by Anonymous Coward

            ポテンシャルエネルギーは距離の-1乗なので、
            「遠ざかる速度は一定」なのであれば、届くエネルギーは距離に比例して減ってる、って事になるね

  • by Anonymous Coward on 2020年06月14日 17時00分 (#3833247)

    タイタン変動重力源、宇宙怪獣だろう

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