パスワードを忘れた? アカウント作成
14945284 story
バイオテック

2020年ノーベル生理学・医学賞はC型肝炎ウイルスを発見した米国と英国の3氏が共同受賞 14

ストーリー by nagazou
今年も始まりました 部門より
headless 曰く、

2020年のノーベル生理学・医学賞は米国のハービー・J・オルター氏チャールズ・M・ライス氏および英国のマイケル・ホートン氏3氏が共同受賞した。授賞理由はC型肝炎ウイルスの発見(プレスリリース詳細情報)。

ウイルス性肝炎を引き起こす肝炎ウイルスには、飲み水などを通じて感染する急性のA型肝炎ウイルスのほか、輸血を通じて感染する慢性の肝炎ウイルスの存在が1940年代から知られていた。1967年にはバルーク・S・ブランバーグ氏が輸血を通じて感染するB型肝炎ウイルスを発見し、1976年ノーベル医学・生理学賞を受賞している。当時米国立衛生研究所(NIH)で輸血患者の肝炎発症を研究していたオルター氏は同僚とともに、新たにB型肝炎ウイルスが発見されたことで輸血による肝炎の症例が大きく減少する一方、引き続き多数の症例が出ていることを示す。A型肝炎ウイルスの検査法も同時期に開発されており、A型でもB型でもない未知の肝炎ウイルスの存在が明らかになった。

その後10年以上にわたって未知の慢性肝炎ウイルスは発見されなかったが、ホートン氏は同僚は感染したチンパンジーの血液から採取したDNAフラグメントのクローンと患者の血清を用い、ウイルスタンパク質をコード化するDNAフラグメントを特定。その後の研究でクローンはフラビウイルス属のこれまで知られていなかったRNAウイルスから派生したものであることが確認され、C型肝炎ウイルスと名付けられた。さらにホートン氏のグループはC型肝炎ウイルス感染者の血液を識別する方法を確立し、輸血による肝炎を大幅に減少させた。

ただし、この段階ではC型肝炎ウイルスが単独で肝炎を引き起こすのかどうかわかっていなかった。ライス氏は日本の国立がん研究センターの下遠野邦忠氏(当時)のグループと共同で、C型肝炎ウイルスの複製にかかわるゲノム領域を特定。C型肝炎ウイルスが輸血を通じて肝炎を引き起こすことが証明された。3氏によるC型肝炎ウイルスの発見は血液検査による感染防止や治療薬の迅速な開発を可能にした。現在のところC型肝炎ウイルスの撲滅には至っておらず、世界中で血液検査や治療薬を利用できるようにする取り組みが今後の課題になるとのことだ。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2020年10月06日 12時58分 (#3901465)

    B 型肝炎のときは発見から受賞までが 9 年
    今回は最初の発見が 1989 年だから、受賞までに 31 年かかっている
    予算もあるし名誉のためにも乱発はできないから仕方ないが、受賞に値する研究に対しては研究者が没後であっても広く知らしめるようなものがあってもいいとは思う
    それはもうノーベル賞では無く、別の賞ということになるのだろうけど……

    # 一番受賞者候補の行列が酷いのが文学賞でしたっけ?

    • by Anonymous Coward

      > # 一番受賞者候補の行列が酷いのが文学賞でしたっけ?
       
      なるほど。だから終身文学賞候補とかができちゃうのか。

    • by Anonymous Coward

      酷いのは文学賞の存在価値でしょ

  • by Anonymous Coward on 2020年10月06日 23時48分 (#3901861)

    オフトピかも知れませんが...

    テレビ等のニュースでは、日本人が受賞すると一大事のように臨時インタビューを組み、
    その人の生い立ちなど受賞と直接関係ないようなことまで取り上げて特集しますが、
    外国人の受賞は「普通のニュース」として片付けられているようです。

    もちろん研究には研究者コミュニティの協力や国の支援が重要だから、日本から大きな研究成果が出れば、国として喜ばしいとは言えるでしょう。
    しかし、他国の人の発見も学術的には同じ価値があるはずですから、もっと取り上げられていいのではないでしょうか。

    どうにも主要メディアでは、ノーベル賞は国別対抗戦とか一種の芸能ニュースとしてしか伝えられていないように見えます。

typodupeerror

アレゲは一日にしてならず -- アレゲ研究家

読み込み中...