2023年ノーベル物理学賞はアト秒単位の光パルス作成を可能にした3氏が受賞 35
ストーリー by nagazou
パルス! 部門より
パルス! 部門より
headless 曰く、
2023 年ノーベル物理学賞は、米オハイオ州立大学のピエール・アゴスティーニ氏とドイツ・マックスプランク量子工学研究所のフェレンス・クラウス氏 (ハンガリー出身)、スウェーデン・ルンド大学のアンヌ・ルリエール氏 (フランス出身)が共同受賞した。授賞理由は物質内部の電子動力学を研究するため光のアト秒パルスを生成する実験的手法 (プレスリリース、 一般向け解説、 詳細解説)。
アト秒 (100京分の1秒) 単位の速さで動く電子を観察するにはアト秒単位の光のパルスが必要となる。最も短い光のパルスはフェムト秒 (1,000 兆分の 1 秒) 単位だと長年考えられてきたが、3 氏の研究によりアト秒単位の光のパルスを作り出すことが可能となった。
ルリエール氏は 1987 年、希ガスを通して送られた赤外線レーザーが多数の異なる光の倍音を生むことを発見。これはレーザー光がガスの原子に作用して生まれるもので、一部の電子に与えられた余分なエネルギーが光として発せられる。ルリエール氏はこの現象の調査を継続し、その後のブレイクスルーの下地を作った。2001 年にはアゴスティーニ氏が長さ 250 アト秒の連続した光のパルスを作り出して調査することに成功しており、クラウス氏も同時期に長さ 650 アト秒で単一の光のパルスを分離可能にする実験を行っていた。
3 氏の貢献によりかつては不可能だった非常に高速なプロセスの調査が可能となり、電子により支配されるメカニズムを知る機会が我々にもたらされた。アト秒パルスは異なる分子の特定に用いた医療診断など、さまざまな分野での応用が期待されているとのことだ。
アトセカンドレーザー (スコア:0)
白内障の手術では、飛秒(フェムトセカンド)レーザーが使われているけど、
阿秒レーザーが実用化すると、手術精度がさらに良くなったりするのかな。
Re:アトセカンドレーザー (スコア:1)
レーザーっていっても近赤外とか可視光じゃなくて軟X線とかになるんじゃないのかな?
可視光だと波1回分が数fsのオーダーなんで
Re: (スコア:0)
昨今のパルスレーザーって時間が短過ぎて
もとが何であれインパルス応答に近いスペクトル(位相の揃った白色)
になってるんじゃなかったっけ?
Re:アトセカンドレーザー (スコア:1)
へー。最近のはそんな状態なんだ。
インパルス応答なら周波数もクソもないなぁ
Ti:Al2O3レーザーしか知らなくて
Re: (スコア:0)
タレコミに書いてある
最も短い光のパルスはフェムト秒 (1,000 兆分の 1 秒) 単位だと長年考えられてきた
ってのは、まさにその発想で、光の周期がパルス幅の短さの限界だと考えられていた。
(揃ってる)倍音を分離・実用化したのがノーベル賞。だから、ある媒質で発振されたレーザーの周期よりパルス幅を短くできる。
Re: (スコア:0)
https://ja.wikipedia.org/wiki/刹那 (数)
Re: (スコア:0)
多分オーバースペックだと思う。というか、既にアト秒パルスって珍しくなくて扱ってる企業はいっぱいあるみたいだから、医療で必要だと思ったら、どこかが既にやってると思う。
Re: (スコア:0)
光のパルスでアト秒を達成したからノーベル賞という話で、需要があるなら既にやってる(文脈上は必要なら製品化してるとしか読めない)と思ったのは何故?
Re: (スコア:0)
ノーベル賞が出るのは「明らかにデカいインパクトがあると分かった時」だから
受賞タイミングでは既に普及している事が多い
まれに例えば「タイムマシンの発明」クラスにヤバいパターンもある
そういう物であれば発明即受賞とか製品化の頃には受賞済みとなる
だから強力なレーザー程度のものなら前者パターンで既に普及して製品化されていてもおかしくない
らいとぴーく (スコア:0)
らいとぴーくが光っていれば、高速化が期待できたのに。ぴかぴか
エリエールと空見 (スコア:0)
勿論、分かってる人は先刻ご承知なのでしょうけど、
不確定性原理の制約下で単一電子を光で観察なんてことが
できるのか不思議でしょうがない。
超伝導のメカニズム解明とかにも使えるのだろうか。
# 素人には高度な技術は魔法と区別がつかない。
Re: (スコア:0)
超伝導のメカニズム解明とかにも使えるのだろうか。
たいへんだ目にもとまらぬ速さで電子を運ぶ小人さんが観測されてしまいます
Re: (スコア:0)
「アゴスティーニ氏」の方はスルーされてしまった
Re: (スコア:0)
今回の記事で初めて、名前だけはよく聞くデアゴスティーニがデ・アゴスティーニという構造なのだと知った
// Wikipediaみたら企業ロゴからしてそんな感じだった
Re: (スコア:0)
ん?アロスティチーニだって?
レーザー関係は進歩がすごい (スコア:0)
レーザーって専門外なので枯れたものだとずっと思ってたのですが
フェムトやアトの話とか、最近でも少数の水分子の運動測定したりとか、かなり熱い分野ですよね
プレスリリースにあるように電子の運動を観察するというのは
時間スケール的にアト秒必要なのはわかるのですが
量子力学的に測定って可能なんでしょうか?
観察ってどういう意味の観察なんだろう?
Re: (スコア:0)
量子力学的に測定って可能なんでしょうか?
ないけどあるアルって状況になるかでいえば大丈夫じゃないかな
電子くらいの大きさなら量子の観測確定の影響を受けないでしょう
# その周りにある何かを観測してしまって、、、
Re: (スコア:0)
>量子力学的に測定って可能なんでしょうか?
逆に、なぜできないと思うのか、というところをもうちょっと説明してほしいかも。
そうすると、どこですれ違っているのか(どの部分に引っかかりを感じているのか)がわかりそう。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
それってナノスケールの検知器を一眼レフのレンズの表面に作りまくって電圧をかけると画質が良くなったりする?
Re: (スコア:0)
むしろ量子力学って測定が必須というか、原理内の話っていうか
例えば電子1個と陽極2つ、どっちかに1/2の確率でくっつく、どっちにくっついたかは観測するまで確定しない、みたいな話があったとして
まず「観測するまで確定しない」ってのは存在したり消えたりするとかじゃ無く、「実験装置に1個電子を用意した」ら「それが装置内に1個ある」のは大前提で
感覚的に難しいのは「確定しない」が「どっちかにくっついてるけど観測者がまだ知らない」じゃ無くて『「観測されるまで不確定(1/2+1/2の重ね合わせ状態)」なのが原理』っていう
観測っていっても人間の認識とかの話じゃ無く、シュレディンガーの猫の例えなら、毒殺のスイッチって観測装置までは量子力学の範疇でも
別にその先の猫の生死まで現実的には量子的はならんよねっていう
んでアト秒レーザーで電子の飛跡を観察すると
・時間解像度が上がるので、位置についての観測精度が上がる
・ストロボ撮影で経路(速度)の観測精度も上がる
・この両方の精度(その積は原理的に一定)の限界にまた一歩近づくぜ
みたいな?
光子の数が数えられたり? (スコア:0)
キヤノンの下のページの動画を見てスゲーと感動していましたが、 アト秒パルスだと縞々になるのかな。
光ファイバー通信がさらに広帯域化しそう。実用化を期待しちゃう。
Re:光子の数が数えられたり? (スコア:1)
シングルフォントンカウンティング自体は普通に行われてて、
その応用が既にノーベル賞取ってるね。
カミオカンデっとか
Re: (スコア:0)
ひと~り、ふた~り(違
分かりやすくて良い (スコア:0)
ノーベル賞は「実用化されてこその科学」みたいな姿勢が分かりやすくて良いね。
現実に人々の生活に影響を与える、あるいは分かりやすい科学の進歩に繋がるものに授与しがち。
多くの科学者が「どんな研究にも役に立つ」「実際に何が役に立つのかは予想できない」みたい非科学で思考停止し自己正当化してるのとは違う。
まぁ授与する側としては予想する必要は別にないが。
Re: (スコア:0)
>ノーベル賞は「実用化されてこその科学」みたいな姿勢
「実用化」という言葉だと誤解を招くような。
例えば2000年以降の物理学賞だけ見ても、2002年の宇宙ニュートリノとか、2004年の強い相互作用関連とか、2006年の背景放射とか、2008年の素核の話とか、2011年の宇宙の加速膨張とか、2013年のヒッグスメカニズムとか、2015年のニュートリノ振動とか、2017年の重力波とか、2019年の系外惑星とか、2020年のブラックホールとか、いわゆる実用性とは無関係な研究も多いわけで。
広く影響を与えた研究に授与されるけれども、実用化とは直接結びつくものではないでしょう。
(もちろん、実用化出来たらだめというわけでもない)
Re: (スコア:0)
電波を発見したヘルツも「何の役にも立たない」って言ってましたよね。
Re: (スコア:0)
これ、ウルフ賞とノーベル賞で受賞者が異なるんだよね。
アンヌ・ルイリエとフェレンツ・クラウスは両賞とも共通なんだけど、2022年のウルフ賞は、ピエール・アゴスティーニではなくて、ポール・コーカムに贈られている。
この辺り、アト秒物理への全体的な貢献度という意味ではポール・コーカムに軍配が上がるんだけど、ノーベル賞は実用化を重視してピエール・アゴスティーニを選んだんだろうね。
Re: (スコア:0)
アト秒単位に達するまでも、達した後も何段階もの技術の進展があったはずで、どれが受賞に値するブレイクスルーだったかは部外者にはよく分からない
Re:分かりやすくて良い (スコア:1)
「個別の量子系に対する計測および制御を可能にする画期的な実験的手法に関する業績」
「高輝度で省電力の白色光源を実現可能にした青色発光ダイオードの発明」
「LIGO検出器および重力波の観測への決定的な貢献 」
「光ピンセットの開発と生体システムへの応用」
「超高出力・超短パルスレーザーの生成方法の開発」
「太陽型恒星を周回する太陽系外惑星の発見」
「地球の気候の物理的モデリング、気候変動の定量化、地球温暖化の確実な予測」
「量子もつれ状態の光子を用いた実験によるベルの不等式の破れの実証と、量子情報科学における先駆的研究」
「物質中の電子ダイナミクスの測定を可能にするアト秒パルス光を生成する実験手法の開発」
全てではないし実用には遠いように思えるかもしれないが、工学系の賞ではなく最先端の物理学に与えるものとしては相当に実用寄りだよコレは。
普通科学ってのは最先端になればなる程短期的な実用を期待なんてできなくなるもんだ。
Re: (スコア:0)
> 普通科学ってのは最先端になればなる程短期的な実用を期待なんてできなくなるもんだ。
ですよねー「実用化されてこその科学」というより、実用寄りもあればそうでないものもすべからく受賞してますよね
Re: (スコア:0)
上コメの趣旨は「物理学基準で言えば実用されてる方」つまり「ちゃんと実用されてるぞ」と言っているに近い
そこに「ですよねーw 実用されてないっすよねーw」って返すのは文盲じゃね?
なんかさあ、そのアホな態度が理解度の低さまで一気通貫に相関してるように見えるんだけど
治んねえのそれ
長さ 250 アト秒の連続した光のパルスを作り出して (スコア:0)
連続した光のパルスって何?
連発した光のパルスなら解るが。
Re: (スコア:0)
> 事象が起きた際に1度だけ発生するものを単発パルス、繰り返して連続的に発生するものを連続パルスといいます。
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/lab/pulse/base.jsp [keyence.co.jp]
「連続したパルス」という言い方も普通に聞く気がしますね.
「連発」の方が意味的にあっているというのは同意しますが.