NASA、次期火星探査車の着陸地点を発表 14
ストーリー by reo
火星探査の意義って何だろう 部門より
火星探査の意義って何だろう 部門より
headless 曰く、
NASA は 7 月 22 日、次期火星探査車の着陸地点として直径 154 キロメートルのゲールクレーターを選んだことを発表した (NASAのニュースリリース、Nature News の記事、本家 /. 記事より)。なお本家 /. 記事は正式発表前のもの。
「Curiosity」という愛称で呼ばれる最新型火星探査車「Mars Science Laboratory」は乗用車サイズ。過去に打ち上げられた 3 台の火星探査車よりもはるかに大きいという。過去 3 台の火星探査車による調査で、火星上には十分な量の水が存在することが判明しているが、生命の存在は確認されていない。年内に打ち上げられる Curiosity は 2012 年 8 月の火星着陸を予定しており、クレーター内で 1 火星年間 (およそ 2 年間) の探査を行う。科学者たちはクレーター内で微生物など生命の痕跡を発見することを期待しているそうだ。
先月公開されてたCG動画 (スコア:3, 参考になる)
Next Mars Rover in Action-Animation [youtube.com]
すごいかっこいいけど着陸工程がいままでのエアバッグで包んでボヨンボヨンに比べると相当複雑
自律制御なんだろうしちょっとしたトラブルで失敗しそう
着陸過程を撮影するミニポットを先にボヨンボヨンで落としとけばいいのにね・・・
Re:先月公開されてたCG動画 (スコア:1)
トラブルに弱そうなのに加えて、盛大に部品を捨てまくっているのが気になりますね
火星表面に到達しそうな探査機以外のものだけでもかなりの質量になりそうです。
普通にパラシュートを段階的に複数開いた方が、地表で活用できる質量が増えるし、
地表に衝突して散乱したりして火星の環境を汚染しないで済みそうなのですが、それじゃ減速が足りないのかな?
将来の火星探査において、今回の探査機の廃棄物などでもたらされた地球由来の物質が誤検出される可能性が問題になったりしないか心配です。
#CG映像はSFっぽくて格好いいけどさ
#英語力がないから、何か勘違いしてるのかも
ちゃんと考えられてはいる (スコア:4, 参考になる)
>トラブルに弱そうなのに加えて、盛大に部品を捨てまくっているのが気になりますね
>火星表面に到達しそうな探査機以外のものだけでもかなりの質量になりそうです。
NASAだって馬鹿ではないはずなので、なぜこうなるのか考えてみました。
熱シールドを前にして大気圏突入、は異論が無いと思います。
この熱シールド、これまでの宇宙機で最大のものらしく重量もかなりありそうです。
効果的な減速を行うには、さっさと捨てるべきでしょう。ということで、パラシュート展開時にポイッ。
本体質量が900kgと重いことを考えると、さっさとパラシュートを展開して減速するべきでしょう。
ということでおそらく技術限界であるマッハ2で展開。
パラシュートのサイズですが、正直言ってあまり大きくしたくありません。
ランダー・ローバー合わせて530kgぐらいの先代ですら、直径15m、209kgのパラシュートを使っていました。
ローバーだけでも900kgのこいつで同等の減速をしようとすると、パラシュートだけで400kgは超えてしまいそうです。
パラシュートのサイズはちょっと保留しましょう。
パラシュートで減速したあとはいよいよ着陸です。
まず先代で使われたエアバッグ方式は、本体質量が先代の3倍あるので無理という説を信じることにします(Wikipedia英語版より)。こればっかりは検証できない。
となるとバイキング計画等で使われたロケット噴射が必要になります。
このときの所要エネルギーも減らしたいので、邪魔なパラシュートもポイッ。
この探査機の目的の一つは、生命関係の探索です。表土も重要な計測対象。
万が一ローバーの移動システムが動作しなかった時のことを考えると、着陸地点の表土できるだけ吹き飛ばしたくありません。方法は2通り考えられます。
一つ目は、バイキング計画で採用された、広範囲に噴射するロケットの採用。
二つ目は、ロケットを地表からできるだけ遠ざけること。
・・・両方採用しちゃいましょう。相反するものではないし。
さて、このロケットですがローバー移動時には邪魔です。ローバーから切り離せるようにしましょう。
ローバーの下側にロケットを置くと表土を吹き飛ばしちゃうので、ロケットはローバーの上側に置くことにしましょう。
でも、ロケットのスペースの都合上、そんなに上には置けない・・・。なら、伸ばしちゃいましょう。
などと議論しているうちに、スカイクレーン方式(最終的にローバーを吊り下げる方式)になりました。
さて、減速にロケットを使うことにしました。減速量は、特に低速ではパラシュートよりもロケットの方が
大きいです。頑張って巨大パラシュートを積むより、燃料積んだほうが軽くなります。
ということで、最適値を算出し、そんなに大きなパラシュートは積まないことにします。
以上で全行程が確定しました。
1. 熱シールドを前にして大気圏突入。
2. できるだけ早くパラシュートを展開し、熱シールドを捨てる。
3. 重量を考えるとパラシュートはあまり大きくできないため、はやめにロケット噴射。邪魔なパラシュートを捨てる。
4. 表土を吹き飛ばさないようにするため、ロケットとローバーの間に距離を設ける。
5. ローバー着地後、ロケットはポイッ。
・・・なんだ、NASAとおなじじゃん。
結局、大気が中途半端に薄い火星に、表土の調査も行う大型のローバーを送り込む場合は、今の技術ではこうなっちゃうのでしょう。
Re: (スコア:0)
火星の大気条件だと、パラシュートでの減速効率はかなり悪いんですよ。
パラの多段では全く減速が足りません。
こいつの着陸方法はなかなかイカれてる (スコア:2)
キュリオシティ(MSR)って、バイキング1/2号の着陸船より(もちろんフェニックスよりも)重いんですよね。有人のアポロ計画の着陸船を除くと、一番条件が厳しい他天体への軟着陸じゃないかな?
質量だけなら旧ソ連の金星探査機もかなり重いですが(さらに金星の重力も火星より強いですが)、確かあれはパラシュートのみだったと思いますし。あちらは大気濃いですからね。
フェニックス着陸の時もちょっとハラハラでしたが、うまく着陸に成功することを願いたいところです。
Re:こいつの着陸方法はなかなかイカれてる (スコア:2)
金星探査機は、地表につくまでに、熱でぶっ壊れた(設計どおり)んじゃ無かったでしたっけ。
Re:こいつの着陸方法はなかなかイカれてる (スコア:3, 参考になる)
いえ、何機かは地表に到達してしばらくは活動することに成功しました。着陸後、辛うじて信号を送ってきたベネラ7号 [wikipedia.org]を始めとして、ベネラ9号(en:Venera 9 [wikipedia.org])では地表の撮影にも成功しています。ただ、おっしゃるように熱の制限があるので、一番長く地表で活動したものでも2時間程度だったと思います。
着陸さえ無事なら火星表面は金星表面よりずっと探査機に対する条件が緩やかなので、非常に長く活動できるケースも出てくるようです。参考過去日記:マーズローバーオポチュニティ、ヴァイキング1号による地表ミッション最長運用記録を28年ぶりに更新 [slashdot.jp]
重機のような気配さえ感じる (スコア:0)
先日 NHKの火星探査の番組 [nhk.or.jp]でこいつを見ましたが、スピリットなんかと比べて、かなり大きい印象でしたね。
先代は小さな可愛らしい探査車・ロボットという印象でしたが、こいつにはむしろ重機のような気配さえ感じます。
重量増の大半は基本スペックを上げるのに使われている(総重量800kg, 科学機器 [wikipedia.org]
Re:重機のような気配さえ感じる (スコア:1)
Re: (スコア:0)
あら、原子力電池なんですね、なるほど。MERのとき電力でだいぶ苦労したので変えたんですかね。
ということは、ほんとうに着陸さえ無事乗り切ってしまえば、後はそうそう大きな課題もなく活躍できそうですね。
・・・他のコメントで結構危険視されてるので、無事着陸成功して欲しいところです。
Re: (スコア:0)
土地買い占め (スコア:0)
killed the cat (スコア:0)
ここまで「猫をも殺す」無し
実際、好奇心で何匹も死んだと思いますよ。サルの頃から。 (スコア:2)
部門名にも「火星探査の意義って何」と書かれていますが、この探査が日常生活の何かに役立つということは(少なくともすぐには)なくて、まあ名前通り好奇心を満たすものですね。「この宇宙には、我々(地球生命)のほかにも生命っているの? あるいは、かつていたの?」という割と根源的な問いに対して。
ヒトのご先祖様が智慧の実を食ったからだかなんだか分かりませんが、結局のところ人類がここまで発展してきたのは、好奇心で命を落とす個体が出てくるリスクよりも、種族として新しい食い物にありつけたり、版図を広げたりといったメリットの方がでかかったんでしょうね。
# 初めて腐った食べ物に手を出したご先祖様まじ偉い。発酵食品うまー。