パスワードを忘れた? アカウント作成
10606119 story
バイオテック

細胞を酸に浸すことで多能性細胞へと変化させられることが発見される 143

ストーリー by hylom
世紀の発見となるか 部門より
aruto250 曰く、

理化学研究所などの研究グループが、マウスのリンパ球を酸性の溶液に入れて培養した後、多能性細胞の維持・増殖に必要な増殖因子であるLIFを含む培養液で培養したところ、多能性細胞に得意な遺伝子であるOct4を持つ細胞が多数得られたという。これを応用することで、iPS細胞よりもさらに手軽かつ安全な万能細胞を作製できる可能性があるという(NHKニュース理化学研究所のプレスリリース)。

この細胞は正式名称である「刺激惹起性多能性獲得(Stimulus-Triggerd Acquisition of Pluripotency)細胞」の英語表記から「STAP(スタップ)細胞」と命名されたとのこと。

また、人工多能性幹細胞(iPS細胞)で問題になるがん化や染色体への影響も確認されていない、などとの報道もある(毎日新聞)。

iPS細胞では作れなかった胎盤への変化も確認され、より受精卵に近い能力を持っていると考えられるそうなので、まさに画期的な発見と言えそう。この製法が人間の細胞にも応用できれば、性能のよい万能細胞の入手が簡単になることで、再生医療の研究が一気に進むかも知れないですね。

この発見は、従来は遺伝子操作によってしか作れなかった万能細胞を、酸に浸すだけという比較的単純な操作で作ることができたという点で画期的であり、発表論文2本が同時にNature誌1月30日号に掲載される(「Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency」、「Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency」)とともにNature誌のNEWS(「Acid bath offers easy path to stem cells」)にも取り上げられるなど、非常に注目されている。

なお、なぜこのような現象が発生するかは分かっていないという。今後はヒト細胞への適用を検討するとともに、原理解明を進めていくという。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by TarZ (28055) on 2014年01月30日 18時44分 (#2536497) 日記

    なぜこんな単純にみえる方法で初期化できるのか。とっくの昔に誰かが見つけていてもよさそうなのですが、どのあたりが盲点だったのでしょう?

    • Re:不思議 (スコア:5, おもしろおかしい)

      by Anonymous Coward on 2014年01月30日 18時53分 (#2536501)

      神「ヤバイ!root取られる!」

      親コメント
    • Re:不思議 (スコア:5, 興味深い)

      by Anonymous Coward on 2014年01月30日 21時18分 (#2536605)

      実験中に意図しない細胞が現れたことから、今回の発見につながったと聞いています。
      まずは彼女にセレンディピティ [wikipedia.org]があったと言うことでしょう。

      そして近年になって細胞を初期化できるという事実が示された、というのも大きいでしょうね。
      これにより、もしかしたらこれも初期化されてる?と疑えるだけの余地が生じました。
      それ以前の、初期化なんてありえないという常識下の研究者では
      同じことが起きても異物の混入などで片付けるしか、判断の選択肢がなかったのですから。
      時代が味方したという面もあるのでしょう。

      親コメント
    • Re:不思議 (スコア:3, 興味深い)

      by aruto250 (21874) on 2014年01月30日 19時16分 (#2536521) 日記

      酸に浸す以外にも、化学物質でダメージを与えたり、圧迫してすりつぶすようなストレスでも万能細胞化のスイッチが入ったそうですね。
      むしろこんなシンプルなトリガーで細胞の多能性が発現するのであれば、生物の体内で起こる既知の説明不能だった現象の機序が明らかになっていくかも知れませんね。

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2014年01月30日 18時54分 (#2536502)

      >なぜこんな単純にみえる方法で初期化できるのか。とっくの昔に誰かが見つけていてもよさそうなのですが、
      まさにおっしゃってること自体が盲点だったのだと思います。
      とっくの昔に誰かが見つけていたかもしれませんがそれを追試するに値するかを見極めてさらに上司を説得したり研究費も確保したり足場固めたりいろいろしたりで、実験以外のことも全てこなして成功できる世界なんですよね。

      親コメント
      • 研究当初は「生物細胞学会の歴史への侮辱だ」とかなんとか言われてたらしいですね。
        コロンブスの卵というか、固定観念が目を曇らせていたというか。

        --
        一人以外は全員敗者
        それでもあきらめるより熱くなれ
        親コメント
    • by Anonymous Coward on 2014年01月30日 20時03分 (#2536554)

      これと関係あるのかは知らんけど、毒性調べる実験とかでも

      培養してる細胞になんかかける → 一部に不定形の塊が出来る

      とかは時々あって、「ああ、なんか駄目になっちゃった(癌化かなにかしちゃった)から捨てるか」ってのはあった気が。
      未分化に戻ったなんてのは欠片も思わなかったから調べなかったけど、もしかしたらああいうのがそうだったのかなあ。

      親コメント
    • by SanPierre (37035) on 2014年01月30日 22時13分 (#2536644) 日記

      プレスリリースを読んでの素人考えですけど

      15. 副腎刺激ホルモンを含む多能性細胞用の培養液
      理研発生・再生科学総合研究センターの丹羽仁史プロジェクトリーダーが開発した高効率なマウスES/iPS細胞の維持培養のための培地。既に市販されている。広く使われているES/iPS細胞の維持培養培地に比べて、維持培養の効率に優れ、低密度に細胞を蒔いた場合にも多くの細胞コロニーが生えてくることが報告されている。

      これの貢献が大きいんじゃないでしょうか。
      「既に市販されている」と言っても、物が物だけにそんなに昔からあるわけじゃないと思うんですよね。

      親コメント
  • 最初は細胞をガラス管に通して変化したのを見つけたという事なので、
    ポリウォーター [wikipedia.org]かよ! と思ってしまった。
    たぶん今までに同じツッコミを散々受けたんだろうなあ。

  • ユニットリーダーが結構若そうでした。
    ネットの情報によると30才だとか。すごいな。

    小奇麗にした女の人です。

    • 実験は白衣じゃなくて割烹着を使ってるんだそうで.

      親コメント
    • 今しがたNHKの昼ニュースでお顔を拝見しました。
      こぎれいな整った容姿もさることながら、「小顔」というアドバンテージがモノをいいそうですね。

      親コメント
    • よく海外から、日本は女性の社会進出が進んでないとか、若手の扱いが悪いとか言われますが、今回の発見が報道されると、海外からの見る目はかなり変わるんじゃないでしょうかね。大多数の実態がどこにあるかはともかく。

      そういう意味でもインパクトのあるニュースだと思います。

      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2014年01月30日 22時11分 (#2536641)

        イギリス「ノーベル賞は確実 これまでの偉大な先人たちの研究のすべてをひっくり返すほどのインパクト」
        ドイツ「IPSとSTAPの相互研究によって、医学は新たな時代に入ることは確実」
        フランス「IPSにくらべて原始的で短期間に作ることができる。簡単な細胞はSTAPで大量生産できる。難細胞向きのIPSとの住み分けが重要だ」
        アメリカ1「問題はこれからだ。どこが主導権をとるか。ハーバード以外にも研究拠点が必要だろう」
        アメリカ2「決して恵まれた環境にあったわけではない。努力の賜物といえる」
        アメリカ3「人類全体の未来に貢献したい、という研究者の言葉は素晴らしい」
        イスラエル「近い将来ノーベル賞を授与されるのはまちがいない。IPSが開いた扉の向こうにSTAPがみつかった。」
        ロシア「驚異的な発見。ただ、マウス実験の段階である。ここからが難しいともいえる」

        ジャップ1「リケジョ」
        ジャップ2「割烹着かわいい」
        ジャップメディア「女性!女性!」

        親コメント
      • by SteppingWind (2654) on 2014年01月30日 21時16分 (#2536601)

        こと医薬・生化学系の研究所だと, 1980年代後半から女性の研究者は多かったと思います. 関東甲信だと2〜3割は女性だったような. ベースが化粧品系(と言っても取り扱う範囲は化学全般だったりするわけですが)企業の研究所だと半数近く女性だったり.

        ただ, これって地域差が大きいみたいで, 九州とかだと全然いなかった…

        # 関西のユーザは担当していなかったので分からないです

        親コメント
  • by nemui4 (20313) on 2014年01月30日 16時37分 (#2536392) 日記

    ってのが、そのまんまSFネタになりそうでぐっと来た。
    初期化して多能化してって、なんにでも変身できそう。

    寺沢さんのゴクウかコブラだったかで、細胞が記憶してる生物に変身するネタで悪魔に変身するとかいう話を連想。

  • iPS細胞を利用する技術はいろいろ応用できそうですが,
    iPS細胞そのものは過去のものになってしまうんですかね・・・

    • ニューヨークタイムスなんかを読んでみると、既存のやり方も進歩しているから、今回の手法が安全性や実用性に優れていると言うには時期尚早というコメントも掲載していますね。
      パッと見ではそのあたりもクリアできそうな気はしますが、ディスアドバンテージもこれから明らかになっていくかも知れません。

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2014年01月30日 18時42分 (#2536496)

      今回の発見は元になる細胞が若い個体のものであるという条件があるのでiPS細胞の技術は別に無駄にはならないですよ。iPS細胞の研究はすでに臨床、治験のレベルまで進んでいます。
      iPS網膜:来年にも治験 治療用製品に [mainichi.jp]

      親コメント
      • ふと思い付いたんですが、万能細胞で胚まで戻して若い個体を作ってしまえばどうなんでしょうかね。

        倫理的な問題になってしまいそうですが…。

        親コメント
      • by Anonymous Coward on 2014年01月30日 21時15分 (#2536600)

        一端、万能細胞ができてしまったら、今度は誘導・分化(元コメで言えば「万能細胞→網膜」のプロセス)のノウハウの方がメインになってくるだろうから、そこの技術が無駄になることはないだろうけれど、いろんな面でiPS細胞が下火になるだろうね。

        細胞の年齢がネックにならない、例えば、「人工臓器を作って新薬の薬効を調べる」っといった、いわゆる「応用」的な分野はこっちにとって代わられるのは確定的じゃないかな。

        > 若い個体
        これだって、今は弱酸しか試してないわけだから、温度・圧力・紫外線など、まだまだ試すべきバリエーションが腐るほどあるし、人体のどの器官から細胞を採取すべきかもこれからの研究だ。仮に年齢制限(分裂回数)が根本的な条件だったとしても、生殖細胞を採取すれば、「擬似的な自分の子供」から臓器を提供される道は残るわけで、最終的な使い勝手はiPSを上回ることになると思う。

        親コメント
      • >若い個体のものであるという条件

        新生児の細胞を将来の保険のために冷凍保存するサービスとかが成り立ちそうです。

        親コメント
  • by Anonymous Coward on 2014年01月30日 18時35分 (#2536491)

    過酷な環境にさらすことで細胞が若返る

    ということは、火の鳥の伝説は本当だったんだ!

  • by caesark (31961) on 2014年01月30日 19時38分 (#2536540)
    その背後の原理が解明されればさらに面白いことになると思うので、そちらに期待するところ大です。
    体内で直接細胞を脱分化させる・・・なんてことすらできるかもしれません。
  • 制御方法や適用範囲によって化けるかどうか、かなぁ。

    # 凄いとは思うが、実適用できるかは重視されちゃうだろうな。

    --
    M-FalconSky (暑いか寒い)
typodupeerror

UNIXはシンプルである。必要なのはそのシンプルさを理解する素質だけである -- Dennis Ritchie

読み込み中...