アリアン5の打ち上げ連続成功記録、82回で途絶える 23
異常 部門より
2002年以後連続82回にわたって打ち上げ成功を続けてきたアリアン5ロケットだが、1月25日の打ち上げにおいて衛星を予定の軌道に投入することに失敗、その記録に終止符が打たれた模様である。
通算97回目の打ち上げとなったこのミッションでは、当初「テレメトリを一時喪失したものの衛星の軌道投入には成功した」と報じられており、深刻なトラブルではなかったと思われていた(打ち上げ直後のSorae.jpの記事)。しかし、その後の調査で衛星の軌道傾斜角が20度もずれていることが判明。さらにロケット自体も打ち上げ直後から大きく予定経路を外れていたとみられることが明らかになった(Spaceflight101の記事、打ち上げ直後の映像)。
現状では情報が錯綜しており原因もはっきりしていないが、アリアン5は競合他社より信頼性が高い事を売りに市場を維持してきたため、大きな影響は避けられないだろう。
今回打ち上げられたのは、ルクセンブルク・SESの人工衛星「SES-14」と、UAE・Yahsatの人工衛星「Al Yah 3」の2機。SES-14はNASAのGOLD(Global-scale Observations of the Limb and Disk)ミッションをホストする。分離後の2機は予定の軌道とは異なるが、安定した軌道に投入されたという。2機とも状態に問題はなく、SESとYahsatはそれぞれ通信の確立に成功しており、今後予定軌道へ向けて移動する計画だ。SES-14は予定よりも4週間遅れで静止軌道へ達する見通しで、NASAは打ち上げ時の異常によるGOLDミッション機材への影響は最低限との連絡をSESから受けているそうだ。ArianespaceはESAの監察官を長として独立した調査委員会を構成し、原因の調査にあたる。なお、Arianaspaceの今後の打ち上げは予定通り実施するとのことだ(プレスリリース: Arianespace、 ESA、 SES、 Yahsat、 NASA)。