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2020年11月25日のサイエンス記事一覧(全1件)
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医療

手作りマスク用の素材、咳の風速におけるフィルター効率に関する研究成果 28

ストーリー by nagazou
HEPAフィルタ付きマスクはありなんだな 部門より
headless 曰く、

手作りマスク用に入手しやすい素材のフィルター効率について、成人が咳をしたときの風速における実験の結果を英ケンブリッジ大学などの研究グループが発表している(論文The Next Webの記事)。

手作りマスクでよく使われる素材のフィルター効率についてはこれまでにも研究されているが、咳の風速を想定したものはないという。今回の実験では2006年に発表された咳による唾液の飛沫に関する研究のデータを元に、およそ16.5m/sの風速で実験を行っている。

実験装置は中間にマスク素材を取り付けたホルダーをはめ込めるようにした直径2.5cmのチューブで、塩化ナトリウム水溶液のエアロゾルを吹き込み、フィルターの両側で粒子数を測定する。実験では布帛・ニット・フェルト・キルティング生地のほか、接着芯や掃除機のHEPAフィルター集塵パック(使い捨てタイプ・繰り返し使用タイプ)、N95マスクとサージカルマスクを使用している。生地は繰り返し洗って使用することを想定し、1回洗濯したという。呼吸しやすさの評価は研究者の2人が実際にホルダーを口に当てて試したそうだ。

フィルター効率は使い捨て集塵パック(60.86%)が最も高く、N95マスク(52.47%)やサージカルマスク(47.46%)を上回った。ウィンドブレーカー生地(47.12%)やデニム生地(45.94%)もサージカルマスクに迫るが、呼吸しにくいのが難点だ。多くの素材は20%台後半から30%台中盤に分布している。2種類の素材を重ねるとフィルター効率が向上するものの、呼吸しにくくなる。ただし、単体でのフィルター効率が低い接着芯(15%)を他の素材と組み合わせた場合、呼吸しやすさに影響せずフィルター効率が最大11%向上したという。湿らせた場合のフィルター効率は低下するものが多いが、集塵パックと綿フランネル生地では上昇している。

N95マスクを上回るフィルター効率を示した集塵パックだが、特定の製品に含まれる繊維を吸い込んだ場合に肺損傷を引き起こすなど、顔に密着させて呼吸を続ける場合には安全でない可能性もある。そのほかの生地でも綿ぼこりや繊維を大量に吸い込めば呼吸器系の障害の原因となる。そのため、マスクを手作りする場合は安全で毒性がなく、綿ぼこりの出にくい素材を選ぶ必要がある。手作りマスクに使用する素材の安全性については、今後研究の余地があるとのことだ。

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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者

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