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2017年8月のサイエンス人気記事トップ10
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医療

ヤマカガシの毒の有無に関する知識、いつ、どのようにして得た? 75

ストーリー by headless
記憶 部門より
先週、兵庫県で小学5年生の男児がヤマカガシにかまれて一時意識不明となる事故が注目を集めたが、福岡県でも7月下旬に小学5年生の男児がヤマカガシとみられるヘビにかまれ、入院治療を受けていたそうだ。テレビの情報番組などではヤマカガシの見分け方なども取り上げられていたが、そもそもヤマカガシを毒ヘビと認識していない人が多いことも問題点として指摘されている(NHKニュースの記事神戸新聞NEXTの記事朝日新聞デジタルの記事西日本新聞の記事)。

これについて、あるAnonymous Coward 曰く、

昭和40年代生まれのタレコミ子は、ヤマカガシは毒が無いと図鑑等で見た覚えがあるが、そうではなかったらしい。

  • 毒の強さはマムシの4倍くらい
  • 脳内出血や急性腎不全、死亡例あり

とのこと。ヤマカガシは1972年に死亡例が確認されるまで、長らく無毒と考えられていたそうだ。編集子も子供の時に何かの本で見た記憶はあるが、ヤマカガシに毒があると書かれていたかどうかは記憶にない。スラドの皆さんはヤマカガシの毒に関する知識をいつ頃、どのようにして得ただろう。その知識は正しかっただろうか。

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地球

子供の数を減らすことが二酸化炭素排出量削減に最も効果的という試算 122

ストーリー by hylom
しかし弊害は少なくない 部門より

地球温暖化の原因となる二酸化炭素排出量の削減には「少子化」が大きな効果があるという調査結果が発表されたという(Forbes)。

この調査結果は、スウェーデン・ルンド大学の研究者らがまとめたもの(Environmental Research Letters掲載論文)。

この論文では、個人の生活の変化によって二酸化炭素の排出量がどれだけ変化するかが試算されている。その結果、大きく二酸化炭素排出量を削減できるものとして「子供を1人減らす」(年間58.6トン)、「自動車を使わない」(年間2.4トン)、「飛行機による移動を避ける」(大陸間1往復あたり1.6トン)、「野菜ベースの食生活」(年間0.8トン)があるという(括弧内は削減できる二酸化炭素排出量)。

いっぽう、従来の取り組みであるリサイクルやLED照明の利用などはこれらと比べて大幅に効果が低いという。

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書籍

SFは衰退したのか 219

ストーリー by hylom
SFを名乗ると敬遠される時代なのかも 部門より
insiderman 曰く、

昨今では「SFは衰退した」といった議論が多いが、SF作家の山本弘氏がこれに対して反論を行っている(Togetterまとめ)。SFは衰退しているわけではなく、宇宙ものやロボットものなどが一般に普及し、SFだと認識されていないだけであり、それこそが問題である、との主張だ。

これに対してはさまざまな意見が出ており、SF的な要素が少しでもあればそれはSF作品なのか、たとえば高校生が子供になってしまう「名探偵コナン」はSF作品なのか、といった反論も寄せられている。

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数学

arxiv に P≠NP 問題を解決した論文が投稿される 52

ストーリー by hylom
検証を待て 部門より
fromage曰く、

計算機科学の未解決問題であるP≠NP予想を解決したとする論文がarxivに投稿された(結城浩氏のツイート論文のページ)。

NP完全問題は、巡回セールスマン問題のような、入力(重み付きグラフと閾値)に対する証拠(巡回経路)があれば入力を多項式時間で判定できる問題の中では最も難しいものである。NP完全問題を多項式時間で解くアルゴリズムはまだ見つかっていない。そのようなアルゴリズムが存在すればP=NPであり、存在しないならばP≠NPであるが、現在までどちらなのか分かっていない。

今回投稿された論文では、P≠NP(つまり、NP完全問題は多項式時間で解けない)と結論付けている。著者が計算機科学の専門家(大学の情報科学科の教授)である点から、この論文に期待する意見もある。しかし、arxivには査読の仕組みがないため、この証明が正しいかどうかは、現段階では不明である。

ところで、P≠NP問題を解決したと主張する論文のリストを示しているページによると、(査読を通ったものを含めて)116本の論文がこれまで発表されている。

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バイオテック

牛肉そっくりの味で赤い肉汁も出る植物性人工肉バーガー、米食品医薬品局は安全性を認定できないとコメント 65

ストーリー by headless
不可 部門より
植物性の原料から製造されながら、牛肉そっくりの味で赤い肉汁も出るという米Impossible Foodsの人工肉バーガー「Impossible Burger」に対し、米食品医薬品局(FDA)が安全性を認定するに足る十分な情報がないとコメントしている(The New York Timesの記事Ars Technicaの記事Impossible FoodsのニュースリリースFDAのコメント入り文書: PDF)。

FDAが懸念を示しているのは、牛肉の味や肉汁を再現する主要な成分となっている大豆レグヘモグロビンだ。レグヘモグロビンは根粒菌に感染したマメ科の植物の根で生成されるヘムタンパク質で、Impossible Foodsでは遺伝子操作した酵母を用いて大豆レグヘモグロビンを製造している。

FDAでは大豆タンパクが人間の食糧として安全と考えられているとする一方、大豆の根は食糧として広く利用されていないことを指摘。大豆レグヘモグロビンを人間が摂取した場合の安全性や、一般的な安全性の認識が確立されていないと述べている。また、一部の大豆タンパクがアレルギー反応を引き起こすことから、大豆レグヘモグロビンについても確認が必要なことなどを指摘している。そのため、現時点では一般に安全と認められるGRAS物質としては認定できないとのこと。

ただし、FDAがGRASとして認定しなくても、使用が禁じられるわけではないという。今回はImpossible FoodsがGRASの認定をFDAに申請しているが、企業が自ら安全性を確認すれば任意の添加物を使用できる。FDAでは安全性の判断について企業に説明を求めることはあっても、必要がなければそれ以上の対応を行うことはないそうだ。それでもImpossible FoodsではGRAS認定を受けるべく、さらなるデータの提出を予定しているとのことだ。

このようなGRAS免除の仕組みが食品の安全をないがしろにしているとの批判も出ており、5月には消費者グループなどが改善を求める訴えを起こしている。
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医療

毒ヘビ「ヤマカガシ」の血清を開発した日本蛇族学術研究所の厳しい状況 51

ストーリー by hylom
貧すれば鈍す 部門より

7月29日、兵庫県で小学5年生が「ヤマカガシ」と見られる毒ヘビに噛まれる事故が発生した(ハフィントンポスト)。男児は一時意識不明となったが、血清を打つといった治療が施され回復したという。この血清を開発したのは日本蛇族学術研究所という一般財団法人であり、血清の研究は科研費で行われていたとのことなのだが、この研究所の経営はかなり厳しい状況で、また研究者も不足しているといった問題があるという(withnews)。

ヤマカガシの毒では、1984年に中学2年生が噛まれて死亡する事故が発生。当時は血清がなかったが、その後同研究所の研究に科研費が付き、血清の開発に至ったという。また、同研究所は血清作成に必要なマムシの毒の採取なども行っているそうだ。しかし、同研究所の運営は併設されているヘビ飼育展示施設「ジャパンスネークセンター」による収益に支えられており、経営や今後の人材育成などには大きな不安があるという。

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人工知能

AIは人類に代わりに地球の支配者になるのか? 85

ストーリー by hylom
真面目な議論 部門より
あるAnonymous Coward曰く、

ロボット法学者とも呼ばれる法学教授のライアン・カロ氏は、ホワイトハウスでAI政策に関する最初のワークショップを主催した。人工知能に関して政策立案者が考慮すべき課題や専門家の意見を説明したとされる(SSRNnprSlashdot)。

課題の中にはイーロン・マスクやビル・ゲイツが主張するような「AIが暴走して人類に危害を加える問題」についても含まれていたようだ。ただし、シリコンバレーの関係者や人工知能研究者すべてがマスク氏らの考えに賛同しているわけではない。コンピュータ科学者のペドロ・ドミンゴス氏は、「AIの抱える問題点は人工知能が利口になったことで、世界のリーダーを人類から引き継ぐ」と言うことではないと主張している。

別の視点では、カール・フェルナンデス氏は、コンピュータにはテストステロンがないので支配欲は存在しないとしている。また、一部論者のように仮に人類がシミュレーション仮説のようにコンピュータ・シミュレーション上で生きているとした場合、AIが将来すべての人を殺してしまうとパラドックスが生じるというもはや哲学レベルの話もあったようだ。

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宇宙

「ダイヤモンドの雨」を地球上で再現 57

ストーリー by hylom
天王星や海王星に行けるようになったらダイヤの価格が暴落するのかも 部門より

氷や水を主体とする巨大な惑星である天王星型惑星では、超高温・超高圧によってダイアモンドが生成され、「ダイアモンドの雨」のようなものが降る現象が発生するという。この現象を実験室で再現することに成功したそうだ(Nature Astronomy掲載論文GIGAZINESLAC National Accelerator Laboratoryの発表)。

この研究では、X線自由電子レーザーを用いて非常に強い力を擬似的に生成し、これを利用して炭素からダイアモンドを生成することに成功したという。ただし、生成されたダイアモンドは1ナノメートル未満という超微小サイズとのこと。この手法で宝石に使えるようなダイアモンドを生成するのは難しいようだ。

なお、天王星や海王星で実際に降っているダイヤモンドは一粒が何百万カラットにもなる大きなものと考えられているそうだ。

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バイオテック

通常の2倍の速度で成長する「遺伝子組み換えサーモン」が出荷される 56

ストーリー by hylom
魚類の加工食品でも「遺伝子組み換えは使っていません」表示がされる時代が来る? 部門より
あるAnonymous Coward曰く、

2014年にFDA認可待ちと報じられた米アクアバウンティ・テクノロジー社の「遺伝子組み換えサーモン」だが、同社の発表によれば、2017年についにカナダで初出荷が行われたとのこと(SankeiBiz東京新聞)。

このサーモンは、成長が速いキングサーモンの成長ホルモン遺伝子をアトランティックサーモンに組み込んで作成されたものだという(※以前の報道では深海魚の遺伝子となっていたがどちらが正しいか不明)。魚や肉など動物の遺伝子組み換え食品が一般市場で販売されたのはこれが世界初となる。1~6月の出荷量は約5トン。

養殖は現在はカナダやパナマの陸上施設で行っており、今後は米国内に施設を作って販売することも計画しているが、環境保護団体からは施設の安全性を懸念する声が上がっている。

Natureの記事によると、1ポンド(0.45kg)あたり5.3ドルという価格で出荷されたとのこと。

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NASA

地球に最も近いハビタブルゾーンの系外惑星「プロキシマb」には大気がない可能性 43

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大気 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、

旧聞となるが、昨年発見され、地球に最も近いハビタブルゾーンに位置する系外惑星として話題になった「プロキシマb」には大気が存在しない可能性が高いことがNASAの最近の研究で明らかになった(NASAのニュース記事論文アブストラクトマイナビニュースの記事)。

主星の「プロキシマ・ケンタウリ」は太陽と比べて温度の低い赤色矮星だが、極めて近い位置を周回するプロキシマbは液体の水が存在可能な温度だと考えられている。一方、プロキシマbが受ける極紫外線は地球が太陽から受ける量の数百万倍におよび、大気が消失する速度は最大で地球の1万倍に達する。そのため、地球の大気と同量の大気が最短で1億年、最長でも20億年で失われることになるという。プロキシマbは40億年前に誕生したと考えられており、既にすべての大気が失われている可能性が高い。

今回の研究は、これまで多く発見されてきた他の赤色矮星系のハビタブルゾーンに位置する系外惑星にも当てはまるという。ただし、確率は低いものの、活発な火山活動などにより大気が補充される可能性もあるということなので、そうした可能性に期待したい。

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Stay hungry, Stay foolish. -- Steven Paul Jobs

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