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2017年4月のサイエンス人気記事トップ10
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地球

豊洲土壌汚染問題の根底にある「ゼロリスク信仰」 206

ストーリー by hylom
どこに落ち着くのか 部門より
masakun曰く、

小池知事が豊洲市場の安全性に疑問を呈したことで市場の移転が延期されたままになっている築地移転問題について、産業技術総合研究所名誉フェローの中西準子氏が書いた『築地移転問題が改めて示した「ゼロリスク」の呪縛』という記事がWedge Infinityに掲載された(Wedge Infinity)。

この記事では、豊洲市場をめぐる報道で盛り土問題をめぐって地下水の水質が分析され、環境基準値を超えるかどうかがしばしば問題視されたため(過去のストーリー)、多くの人が豊洲では地下水を使うと勘違いしたのが混乱の原因となったと説明。さらに土壌中にヒ素やベンゼンが高濃度で見つかったと報道されたことで(maiaの日記)、わけもわからない多くの人が抱く健康リスク不安に拍車をかけることになった。

しかしながら土壌対策汚染法の概要によれば、汚染された土地を再利用する場合、摂取経路が遮断され、きちんと健康リスクの管理さえされていればよい。豊洲市場では地下水を一切使用しないので、法律上は飛散防止だけでよく、地下水の水質を測定する義務もない。また豊洲市場の地下から汚染物質を取り除くことは環境リスクを増すことにほかならない。筆者は豊洲問題の報道から「行政、市民、事業者、マスメディアのどの側にも、環境問題について健康リスクを評価し、そのリスクの大きさに応じて対策を決めるという態度がないと感じる」と書いている。

ただしこれは今に始まったことではなく、過去のBSE問題の全頭検査に始まり、福島県の帰還問題にもつながる話だという。中西氏は2013年9月に開かれた日本学術会議のシンポジウムで、「年間5ミリシーベルト以下の地区なら避難指示を解除すべし」という意見を出したそうだが、それは広島や長崎の研究で導き出されたものだという。多くの人に早く帰還してもらうためには、一定程度の放射線リスクを受容してもらう必要がある。しかしながら国を含めすべての関係者が混乱を引き起こすことを恐れるあまり、多くの人が自宅に帰還できない現実を作ってしまった。年間1ミリシーベルトという非科学的な数字を目指す国主導の除染活動をみた外国人研究者が半分呆れかえり「日本はお金があるから」と言って帰っていく実態を知れば、BSE問題で若齢牛も含む全頭検査をしなかった海外の考え方について、日本政府とは異なることも知り得よう。

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サイエンス

「学歴の高い人ほど子供が少ない」という問題 100

ストーリー by hylom
学歴なんていらない、という人が増える問題 部門より
aruto250 曰く、

既に旧聞となってしまったが、アイスランドの研究チームがより多くの時間を教育に費やす傾向のある遺伝子群が減少傾向にあるという研究結果を発表した。この発表についてのNewsweekの記事によると、つまりは高等教育を受けるために時間をかけたことにより婚期が遅れるということであるようだが、ニュースリリースには

However, it appears that higher POLYedu scores have a substantial effect on delayed reproduction that is independent of the actual education attained. The effect is stronger in women than men.

《POLYedu(研究チームが算出した教育レベルに関する遺伝子群のスコア)の高さは、実際の学歴とは関係なく生殖時期の遅れをもたらしている》

との一文もあり、単純に時間的な制約だけの問題ではないことを示唆している。

個人的には、人間も未だに生存と繁殖の競争に生きているものの、医療の発展によって知恵を絞って生き残るタイプの有利さが(相対的に)失われ、繁殖力の高いタイプの人々が圧倒的に優勢になってきているように見える。現代の社会はPOLYeduスコアの高い層が有利になるシステムのために勢力の不均衡が目立たないが、誰の目にも明らかになった時には衝突が避けられないんじゃないだろうか。

結局は、結婚するのが当然という圧力のもと、見合いや縁組みで一律早々に結婚し繁殖する方式が、結果的には遺伝的な多様性を維持することに寄与していたのかも知れない。だとすると今は学問の発展と引き換えにそのボーナスを取り崩している段階ということか。

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サイエンス

絶対零度より低い温度で「負の質量」を観測したとの報告 41

ストーリー by hylom
何がどうなっているのだ 部門より

米ワシントン州立大学の研究者らが、「負の質量」を持つ物体を確認したと発表した(PC Watch、ITライターのゆきまさかずよし氏のTweet)。

「負の質量」を持つ物体は、たとえばある方向への力を加えると、その方向とは反対方向に加速する。研究者らはルビジウム原子を使ってこの現象を確認したという。ただしこの現象は絶対零度近くで粒子が並のように振る舞う状態になっている場合でのみ発生し、また生成できる確率もまだ低いという。

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お金

英中央銀行、ポリマー紙幣の原料に添加する獣脂の代替品の調査結果を公表 92

ストーリー by headless
脂肪 部門より
昨年9月に発行が始まったポリマー製の英5ポンド紙幣は、原料のポリマーペレットに微量の獣脂が添加されていることが判明して問題となった。英中央銀行では、今後の10ポンド・20ポンドポリマー紙幣の発行に向け、代替の添加物などに関する調査結果を公表し、意見を募集している(英中央銀行の発表The Registerの記事)。

添加物として使われている獣脂の成分は脂肪酸に由来するもので、ポリマー紙幣の原料となるポリプロピレンの生産過程で世界的に使われているものだという。ポリマー紙幣は世界30か国以上で使われているが、添加物についてはこれまで注目されていなかった。しかし今回の調査の結果、世界のポリマー紙幣はすべて獣脂の成分を含むことが判明したそうだ。

代替品としては植物油脂が検討されているが、大豆脂や菜種油、ヒマワリ油などは飽和脂肪酸が少なく、水素添加が必要だ。そのため、飽和脂肪酸を豊富に含むパーム油やココナッツ油が候補として挙げられている。ただし、ココナッツ油はパーム油と比べて生産量が少ないことなどから、現実的な代替品はパーム油しかないという。

しかし、パーム油は開拓による森林破壊など環境負荷が大きく、プランテーションでの児童労働を含む違法労働などの問題もある。「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」といった団体による環境に配慮する枠組みも存在するが、RSPOの認証基準には抜け穴があるといった批判も出ている。一方、獣脂は食肉生産の副産物であり、家畜の飼育は環境負荷が大きいものの、持続可能な生産方法であれば無視できるレベルになるとのこと。

ポリマー紙幣への獣脂添加が他国で問題になるかどうかは不明だが、英中央銀行は2010年平等法(EA 2010)により、すべての人を平等に扱うことが義務付けられており、これには宗教や信条の違いなども含まれる。ポリマー紙幣への獣脂の添加はごく微量であっても、宗教面・倫理面から触れてはいけないと考える人々への影響が大きい。これに対し、パーム油は環境に配慮すべきと考える人々に影響を与える。世界自然保護基金(WWF) UKでは、RSPO認証品でないならパーム油を使用すべきではないとの考えを示している。
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バイオテック

メダカの遺伝子汚染が拡大、原因は善意の放流か? 62

ストーリー by headless
放流 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、

大阪府内のメダカ生息調査を継続的に実施しているNPO法人「シニア自然大学校」の水辺環境調査会が大阪府立大学の協力により遺伝子解析調査を実施したところ、在来種が別の地域のメダカと交雑する「遺伝子汚染」が進んでいる実態が明らかになった(YOMIURI ONLINEの記事シニア自然大学校のニュース記事: PDF)。

遺伝子解析が完了したのは2010年~2016年に河川やため池、水路、公園など55か所で採集した計242個体。全体の約3分の1にあたる18か所で大阪在来種以外のメダカが確認された。特に河川や公園ではその割合が高かったという。

メダカは観賞用などで一般的な生物だが、自然界のものは環境省のレッドリストで絶滅危惧2類に指定されるなど種の存続が危惧されている。そのため、保護活動のつもりで養殖メダカや観賞用メダカを放流してしまう例があり、逆に在来種の駆逐が加速されているようだ。今回の調査は大阪府内のものだが、こうした善意の放流は日本各地でみられるようで、注意が必要である。

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地球

新江ノ島水族館など、日本動物園水族館協会による追い込み漁でのイルカ入手禁止に反対して協会を脱退 82

ストーリー by hylom
追い込み漁で何が悪い 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、

日本動物園水族館協会は2015年、世界動物園水族館協会からの要求を受けて「追い込み漁」で捕獲したイルカの入手を禁止することを発表したが(ハフィントンポスト)、追い込み漁でのイルカ入手を希望するなどとして2水族館が同協会を脱退することが明らかになった(神奈川新聞産経新聞)。

脱退したのは神奈川県藤沢市の新江ノ島水族館と、山口県下関市のしものせき水族館「海響館」。追い込み漁は漁船や漁網でイルカを入り江や浜辺に追い込んで捕獲する漁法で、日本では和歌山県太地町での漁が有名。新江ノ島水族館は今後も太地町からのイルカや鯨の搬入を希望しているとのことで、また海響館は追い込み漁は合法であり禁止する方針を容認できないと主張している。

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サイエンス

なぜ靴ひもはいきなりほどけるのかを実験で解明 71

ストーリー by hylom
そんな気はしていたが 部門より
あるAnonymous Coward曰く、

なぜ靴ひもは歩いているときにいきなりほどけるのか、という長年の謎が解き明かされたそうだ(AFPProceedings of the Royal Society A掲載論文)。

トレッドミルで走っている間に靴ひもがほどけていく様子を高速カメラで撮影して分析したところ、足が地面を蹴る衝撃が伝わって結び目に伸びや緩みが発生し、さらに足を前後に動かすことによって生じる慣性によって靴紐の端に生じる力によって靴紐がほどけていくことが分かったという。

また、ほどけにくい靴ひもは存在するものの、絶対にほどけない靴ひもは存在しないことも分かったという。

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医療

他人の顔を覚える能力をテストできる「Face Memory Test」 36

ストーリー by hylom
ガチなテストだった 部門より

ロンドン大学バークベックカレッジが、人の顔を覚える能力をテストするという「Cambridge Face Memory Test」なるものを公開している(ギズモード・ジャパン)。

テストの所要時間はおよそ20分で、まず顔を提示されるのでそれを記憶し、続いて表示された3つの顔写真から覚えた真生を選択する、というもの。大人の平均スコアは80%程度とのことで、60%以下の場合は顔を識別できない「相貌失認」の可能性があるそうだ。

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サイエンス

理研が表面ブロックパターン形成による色彩表現技術を開発 88

ストーリー by headless
色々 部門より
coward-chan 曰く、

理化学研究所は26日、アルミ薄膜による座布団形状のナノ構造を持つメタマテリアルで、可視光全体をカバーする「色」の作成に成功したことを発表した(プレスリリース60秒でわかるプレスリリース朝日新聞デジタルの記事)。

塗装や材料物性による色彩ではなく、薄膜上に形成するブロックパターンの大きさや間隔の違いで吸収する波長を変化させて自由に色彩表現できる技術で、従来できなかった高彩度や黒も表現可能らしい。

元記事では塗装よりも軽量だというメリットに触れているが、タレこみ人としてはプレスリリースで触れられている映像関連への応用や曲面への適用のほか、母材の制限なども気になるところ。

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テクノロジー

人工肉に興味のある米国人は少なくない 61

ストーリー by hylom
コンビーフ的なものだったらアリかな 部門より

さまざまな企業や組織が「人工肉」の研究開発を進めている。効率的に人工肉を作成できるようになれば今後の食糧問題を解決する助けになると期待されているが、味などについての懸念もある。こういった中、米国で一般市民は人工肉をどう考えているのかを調査した結果が公開された(PLOS ONE掲載論文)。

調査結果によると、調査対象の673人のうち約3分の2は人工肉に興味を示しており、また3分の1はいずれ人工肉を日常的に食べるかもしれないと回答したという。また、4分の1は人工肉に対し倫理的な懸念を示したという。

また、菜食主義者からは動物を殺すことがない人工肉に賛同する意見や、それ以外の人においても人工肉であれば犬や猫、馬などの肉を食べてみたいと回答した人がいたという。

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私はプログラマです。1040 formに私の職業としてそう書いています -- Ken Thompson

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