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2017年5月のサイエンス人気記事トップ10
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オーストラリア

オーストラリア税関、検疫で貴重な植物標本を焼却処分 72

ストーリー by headless
貴重 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、

フランス・パリの国立自然史博物館から貴重な植物標本がオーストラリア・ブリスベンのクイーンズランド植物標本館に送られたのだが、書類の不備により検疫で焼却処分されていたことが判明した(ABC Newsの記事Scienceの記事)。

焼却処分が問題になっているのは、18世紀にフランスの探検隊がオーストラリアで採取したものを含むデイジーのタイプ標本6種類。検疫官は1月初めに到着した標本について、不足している情報を提出するよう標本館に要求した。しかし、標本館側がメールアドレスを間違えたことで返信は3月初めまで遅れ、さらに不足していた情報の提出を求めている最中に処分が行われたという。この問題を受けてニュージーランドの植物標本館が調査したところ、2016年に同館が送付したタイプ標本1種を含む地衣類のサンプルも同じように処分されていたことが明らかになった。

本件についてオーストラリア農業・水資源省は、規定よりも46日遅れていたとはいえ、問題の解決を進めている最中に標本を処分すべきではなかったとコメントしたとのこと。一方各国の植物学者からは「ルーヴル美術館から絵を借りて燃やすようなものだ」といった批判が上がっており、オーストラリアへの標本貸出を停止するなどの動きが広がっている。

税関では低価格な物品について30日以上経過したものを定期的に処分しており、申告書類では標本に2ドルという価格が記載されていたことから処分の対象になったようだ。一方、自然史博物館では最小の価格を記載する規定になっていたという。

なお、農業・水資源省は処分が尚早だったことを認めたうえで、輸入の際はオーストラリアの検疫システムに従う必要があるとも述べているとのことだ。オーストラリアでは固有種の保護などのため、厳しい検疫措置を行っている。

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サイエンス

「カラス侵入禁止」の張り紙を貼ったらカラスがやってこなくなった 105

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なるほど 部門より
masakun曰く、

岩手県大槌町にある東大の研究施設で張り出された「カラス侵入禁止」の張り紙が、なぜかカラスに効果的だという(朝日新聞)。

大槌湾に面した東京大学国際沿岸海洋研究センターは2011年の震災時に津波が最上階の3階に達したため、3階のみ仮復旧して、1、2階は片づけた後物置として使っていたという。カラスの被害が目立ち始めたのは2015年春のことで、建物の窓や扉がないことに目を付けたカラスが、1階の天井配管の断熱材を巣作りに拝借するようになったという。センター職員から相談を受けた佐藤教授にもよいアイデアが浮かばず、知人でカラスの専門家という宇都宮大・雑草と里山の科学教育研究センターの竹田努研究員(環境医学)に相談したところ、「警告文を出してみては」というアドバイス。半信半疑で張り紙を出してみたら、これが効果絶大だという。

竹田研究員によると、警告文を目にした職員や学生がカラスに視線を向けたり指さしたりすることで警戒して寄りつかなくなるらしい。そのためカラスを見る人が増えるほど効果的だという。つまりカラスは警告文を読めないが、空気は読めるみたいですね。

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地球

全国で行われている「錦鯉の放流」が環境に与える問題 149

ストーリー by hylom
地球温暖化懐疑論にも似た擁護が出るとは 部門より

日本各地で河川に錦鯉を放流する活動が行われているが、これに対し自然破壊になるとの批判が出ている(「MistiRoom」ブログの『錦鯉の放流は何故「絶対に」あってはならないのか』記事Togetterまとめ)。

鯉は雑食でかつ生命力が強いため、放流された河川の環境を破壊する可能性が高いという。さらに、養殖や放流がよく行われている鯉は日本の河川に元々生息していた「ノゴイ」とは異なる種で外来種に近く、国際自然保護連合が定めた「世界の侵略的外来種ワースト100」リストにも入っている。

一方でこれに対し、生態系が壊れても住民の合意でやっているなら別に良く、また実際には大きな影響はないのではないか、といった擁護の声も出ている(Togetterまとめ

なお、河川への生物放流については以前にもメダカ金魚が問題となっている。

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NTT

NTT、「マクスウェルの悪魔」を利用した発電に成功したと発表 50

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悪魔的な電力 部門より
あるAnonymous Coward曰く、

NTTが、トランジスタ内でランダムに動く電子から一方向に動く電子のみを選り分けることで電流を流し、電力を得る実験に成功したという(NTTの発表PC WatchNature Communications掲載論文)。

トランジスタ内でランダムに動く電子は熱ノイズとも呼ばれている。このようにランダムに動く粒子を観測し、特定の動きをする粒子のみを選別することは「マクスウェルの悪魔」と呼ばれており、実現が困難な問題とされていた。

今回発表された実験結果では、トランジスタ内の電子の動きを観測し、そこからある一方向に動く電子のみを選別する、まさにこのマクスウェルの悪魔を実現するものとなる。具体的には、ナノスケールのシリコントランジスタを電子を選別する「扉」として使用し、抵抗の変化で電子の動きの観測したという。

マクスウェルの悪魔というと温度差を作り出すという印象があるが、「シラードのエンジン」の項が今回のケースと思われる。昨年1月にフィンランド・アールト大学が製作したものとの違いは、NTT版においては発電が可能ということのようです。

まさか生きている間にマクスウェルの悪魔が現実世界で実現されるとは思ってもみませんでした。量子コンピュータも実現してますし、この先どんな未来になるのか童心にかえってワクワクしてきました

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数学

ディズニーランドのファストパスでは待ち時間は短くならない 86

ストーリー by hylom
冷静に考えるとそうか 部門より

「統計的思考」を用いて問題を解決する例の1つとして、ディズニーランドで導入されているアトラクションの予約システム「ファストパス」が Newsweekにて紹介されている。

ファストパスは場内に設置された発券機にて時間が指定された「パス」を発券しておくことで、指定した時間に優先的にアトラクションを利用できるというもの。指定された時間は通常は数時間後になることが多いが、これによって客は長い行列に並ぶことなしにアトラクションを楽しめるようになる。

記事ではまず前提として、アトラクションに対する需要は絶えず変化することからディズニーランドの行列をなくすのは不可能とし、そのうえでファストパスを導入することで、実際にアトラクションに乗るための待ち時間は変わらないにもかかわらず、顧客の満足度を向上させることができるとし、「天才的な発想」と称している。

ちなみに、ディズニーランドの待ち行列で掲示されている「予想待ち時間」は実際の待ち時間よりもわざと長く表示してあったり、また列が早く進んでいるように感じさせるテクニックが使われているとのこと。

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地球

人類は死体になってもなお地球に悪影響を与える 61

ストーリー by hylom
海に流すしか 部門より

人類の活動は地球の環境に大きな影響を及ぼしているが、人間は死んだ後も地球環境に影響を及ぼすという調査結果が発表された(PHYS.ORGAFP)。

人間の遺体は多くの場合墓地に葬られることとなるが、その遺体からはさまざまな成分が土壌に流出する。そのため、墓地周辺の土壌の成分がほかの場所と異なるものになってしまうという。これらの成分は動植物などに必須なものが多いため、逆にほかの場所で生命にとって必須な成分が希薄になるという可能性がある。

また、遺体からはたとえば歯の詰め物に由来する水銀のような有害な物質が流出する可能性もあるようだ。そのため、今後は環境への影響が少ない埋葬方法を考える必要が出てくるかもしれない。

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変なモノ

日本のサザエは「新種」だった 50

ストーリー by headless
サザエでございまぁ~す! 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、

新聞各紙のオンラインサイトで一斉に報道されていますが、日本産のサザエは「新種」だったことが判明したそうです(時事通信ニュースの記事毎日新聞の記事)。

正確には今まで日本産サザエは中国産サザエと混同されていて、正式な学名がまだついていなかったので、岡山大大学院環境生命科学研究科の福田宏准教授が新たに命名したのだそうです。

魚市場でシーラカンスが売られているのを見つけた、魚屋さんで新種の貝を見つけた、みたいな話はありますが、こんなこともあるのですね。

日本や韓国に産するサザエはこれまで「Turbo cornutus」という学名で呼ばれていたが、この学名は中国南部や台湾に産するナンカイサザエに限定して使われるべきものだったという。一方、日本の研究者が1995年、ナンカイサザエとサザエを識別し、ナンカイサザエの方に「Turbo chinensis」という学名を付けているが、今回の発見により無効な学名となった。また、日本産を意味する「Turbo japonicus」という学名もあるが、こちらは命名時にモーリシャスに産する種と入れ替わってしまっており、結果としてサザエにはこれまで一度も学名が付けられていなかったとのこと。そのため、サザエは新種として「Turbo sazae」と命名された(岡山大学のニュースリリース論文アブストラクト)。

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日本

茨城大などの研究チーム、「チバニアン」認定に向けて国際学会に申請へ 47

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千葉時代 部門より

2015年に『 地球の歴史に「千葉期」追加か?』という話があったが、茨城大や国立極地研究所のチームが今月、国際学会に千葉県市原市の地層を「国際標準模式地」候補として国際学会に申請するとのこと(日経新聞)。

もしこの申請が認められれば、77万年前から12万6千年前までの時代が「チバニアン」として認定される。いっぽう、イタリアの研究チームも同様に国際標準模式地への登録を目指しており、こちらが認定されれば新たに「イオニアン」という時代が認定されることになるようだ。

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サイエンス

社会科学の雑誌に掲載されたジェンダー学の偽論文が問うもの 84

ストーリー by hylom
提起 部門より
maia 曰く、

5月19日、英国の社会科学のジャーナル『Cogent Social Scientist』に「The Conceptual Penis as a Social Construct」という論文が掲載されてしまった。これは実はジェンダー学(Gender Studies)を学問として低レベルだと考え、批判する目的をもってPeter BoghossianとJames Liddleが用意した、でたらめだがポスト構造主義的なスタイルで書いた擬似論文だった(Daily Mail Onlineトカナ)。

要はソーカル事件の焼き直しであるが、今回の論文は査読を受けて賞賛されている。

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サイエンス

フラミンゴは力をほとんど使わずに1本脚で立っていられるという研究結果 37

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楽々 部門より
1本脚で立ったまま眠るなど、1本脚で立っていることの多いフラミンゴだが、1本脚で立っているときには筋肉をほとんど使わずに体重を支えられるという研究結果が発表された(論文)。

フラミンゴが1本脚で立つ理由としては、筋肉の疲労を減らすために片脚ずつ使っている、水辺で体温を維持するために両足を水につけないようにしている、といった仮説が立てられている。ただし、1本脚で立つのに筋肉をどの程度使っているのかは判明していなかった。

フラミンゴの死体を使用した実験では、1本脚の姿勢にすると関節が固定され、筋肉を使うことなく体重を支えられることがわかったという。一方、2本脚では筋肉の支えがなければ立つことができなかったそうだ。

生きたフラミンゴの観察実験では、1本脚で眠っているときには圧力中心の動きが非常に小さくなったとのこと。研究では筋肉の活動を直接測定してはいないが、観察の結果からほとんど筋肉を使うことなく、バランスを保って眠ることができるとみられる。

これらの結果から、筋肉の活動は1本脚で立っているときの方が2本脚で立っているときよりも小さくなることが示唆される。論文では筋肉疲労や体温の維持ではなく、フラミンゴは筋肉のエネルギー消費を減らすために1本脚で立っているという仮説を提案している。
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一つのことを行い、またそれをうまくやるプログラムを書け -- Malcolm Douglas McIlroy

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