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火星

NASA、30億年前の火星の泥岩から有機分子を発見 16

ストーリー by headless
発見 部門より
火星探査車Curiosityが火星で発見した有機物に関する2つの論文が6月8日号のScience誌に掲載されている(ジェット推進研究所のニュース記事Scienceの記事論文[1][2])。

1つは30億年前の泥岩サンプルから有機分子が検出されたというものだ。サンプルはシャープ山裾野の数地点で地表から5cmほどの深さまで掘削して採取されたもので、CuriosityのSAM(Sample Analysis at Mars)で加熱・発生ガス分析を行った結果、芳香族化合物や脂肪族化合物が検出された。化合物の中にはチオフェンが含まれていることから、硫化が有機物の保存を助けた可能性が示唆されるとのこと。

もう1つはゲールクレーター内で季節によって大気中の微量なメタン濃度が変動するというものだ。火星時間で3年近く(地球時間で5年以上)にわたる観測の結果、北半球の夏にメタン濃度が上昇して夏の終わりにピークを迎え、秋には減少していくことがわかったという。季節変動には大気圧や紫外線の強さなども要素となるが、観測された変動はこれらの要素を上回るもので、火星でのメタン発生の起源をつきとめるのに重要な手掛かりになるとのことだ。

生命と関連付けて考えられることの多い有機物だが、非生物学的に生成されることもあり、必ずしも生命の存在を示すものではない。火星の有機物が生命に関連して生成されたのか、生命とは無関係に生成されたのかは現在のところ判明していないが、火星で生命の手掛かりを探す、という現在の探査計画は正しい方向だとNASAは考えているようだ。
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バイオテック

がんによる突然変異をターゲットにした免疫細胞療法 19

ストーリー by headless
特定 部門より
hylom 曰く、

免疫細胞の一種であるリンパ球を乳がんの患者から取り出し、がん細胞に反応するリンパ球の種類を特定した上で、その活性を維持する免疫チェックポイント阻害剤と共に体内に戻すという手法により、乳がんが完治したという研究結果が報告された(AFPBB Newsの記事Bloombergの記事論文アブストラクトScienceDailyの記事)。

今回の研究で使われたのは、患者から採取した腫瘍浸潤リンパ球(tumor-infiltrating lymphocyte、TIL)を研究室で大量に培養して患者の体内に戻す、Adoptive Cell Transfer(ACT)という手法だ。この手法は悪性黒色腫(メラノーマ)の治療には有効とされていたが、胃がんや食道がん、卵巣がん、乳がんなどには効果が弱いとされていた。

がんに対する免疫療法のうち効果が明らかにされているものは限られており、今回のような免疫細胞療法についてはまだ安全性や有効性が確認されていないという。

従来のACTは特定のがん細胞に反応するTILを使用するというもので、体細胞の突然変異レベルが低いがんにはあまり効果がなかったという。今回の研究では患者の腫瘍組織と正常組織をDNA/RNAシーケンシングして比較することにより、突然変異した62種のタンパク質を特定。このうち4種の変異タンパク質に反応する複数のTILを実験により特定して使用したとのこと。現在、肝がんや大腸がんの患者にも同様の治療を試しているそうだ。がんの原因は突然変異であり、この突然変異をターゲットにすることで、効果的な治療が可能になるとのことだ。

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地球

ハワイ、2045年までにカーボンニュートラル化を目指す 17

ストーリー by hylom
やる気 部門より
あるAnonymous Coward曰く、

米ハワイ州のデービッド・イゲ知事は6日、今後30年間弱で二酸化炭素排出量と吸収量を同じにする「カーボンニュートラル」を実現するために3つの法律を制定した(FASTCOMPANYHonolulu Star-Advertiser毎日新聞Slashdot)。

これは気候変動抑制に関する協定である「パリ協定」の削減目標と達成するためのもので、米国内では最も野心的なCO2排出削減および再生可能エネルギー計画だという。米メディアによると、パリ協定順守を法制化した州は全米で初めて。トランプ政権は1年前にパリ協定から離脱を表明しているが、これに反旗を翻す形となったようだ。

知事はハワイ州全体を2045年までに完全なカーボンニュートラルにする法案(House Bill 2182)に署名した。次に植林資金を提供する法案(House Bill 1986)にも署名、さらに第3の法案として、海面水位がどのように上昇するかを調査・検証するプロジェクト(House Bill 2106)にもサインしたという。ハワイでは海面水位上昇が進めば190億ドルの経済的損失を引き起こすと試算されていることも背景にあるようだ。

いっぽう、課題としては運輸面が上がっている。ハワイでは物資の輸送を航空機や船舶に依存している面が強く、この問題を解決しない限り、カーボンニュートラル実現は困難だとみられている

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ハードウェアハック

火星探査車Curiosityの岩石サンプル採取機能、改造によって復活 8

ストーリー by hylom
ロボットアニメでピンチに陥ったときのようだ 部門より
headless曰く、

NASAの火星探査車Curiosityの岩石サンプル採取用ドリルは故障により1年以上にわたり使用できない状態が続いていたが、改造により再び機能するようになり、サンプル採取にも成功したそうだ(ジェット推進研究所のニュース記事Register)。

元の設計では2本の指状のスタビライザーを岩石にあて、その間からドリルを押し出して掘削する仕組みになっていた。しかし、2016年12月に押し出し機構のモーターが動作しなくなり、ドリルが回転しても掘削ができない状態になっていたそうだ。NASAのジェット推進研究所(JPL)のエンジニアは何か月にもわたる作業の末、ドリルを押し出した状態にすることに成功。モーターの問題は解決されなかったため、ロボットアームでドリルを押し付けて掘削するFeed Extended Drilling(FED)という方法を考案し、地球にあるCuriosityのレプリカを用いて実験を重ねたという。

Curiosityは2月にFEDによる初の掘削を実施し、1cmほどの深さまで穴を掘ることに成功した。これではサンプル採取には不十分だったため、エンジニアはハンマードリルのように打撃を加える方法を考案する。5月20日には深さ約5cmの掘削に成功したが、サンプルをふるいにかけて正確な分量を取り込むデバイス「CHIMRA(Collection and Handling for In-Situ Martian Rock Analysis)」が改造の結果使用できなくなっており、この時点でのサンプル取り込みは行われなかった。

そのため、ロボットアームをCuriosityのデッキ上にあるサンプル取り入れ口まで伸ばし、ドリルに付着したサンプルを直接流し込む「Feed Extended Sample Transfer」がCHIMRAに代わるサンプル取り込み方法として考案される。ただし、サンプルが少なすぎては分析できず、多すぎればあふれて機材に損傷を与える可能性もある。エンジニアはドリルからどの程度のサンプルが落ちるかをCuriosityのカメラ映像により推定し、5月31日にはサンプル取り込みに成功したとのこと。

これによりCuriosityの岩石サンプル採取機能は完全に復活し、これまでに通り過ぎていた場所へ戻ってサンプルを採取することも考えられているようだ。

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サイエンス

写真を撮影すると記憶が弱まる理由は? 21

ストーリー by hylom
そんな現象があるのか 部門より
headless曰く、

写真を撮影すると実際の体験に関する記憶が弱まる現象は「photo-taking-impairment」(写真撮影障害)などと呼ばれて研究の対象になっているが、その原因はまだ判明していないそうだ。これについて米カリフォルニア大学サンタクルーズ校の研究者が2つの実験を通じて考察している(Journal of Applied Research in Memory and Cognition誌掲載論文The Next Web)。

写真撮影障害の原因として有力な仮説は、写真に記憶を頼る記憶オフロード説と、カメラ操作に気を取られて記憶に残りにくくなる集中力低下説の2種類だ。集中力低下説では撮影後に影響が残ることも想定される。

実験では作者名と作品名を添えた絵画のスライド15枚を各15秒表示。被験者には5枚ごとに写真撮影・観察のみといった指示を与え、終了後に絵画の内容に関するテストを行う。撮影にはiPhone 5を使用し、写真の閲覧方法も説明するが、テスト直前に写真を閲覧できないことを伝える。

実験1で与える指示は「スライドの観察のみ(観察)」「カメラアプリで撮影(撮影)」「Snapchatアプリで撮影・送信(Snapchat)」というもの。Snapchatで送信した写真を後で閲覧できないことは事前に伝えてあり、撮影・Snapchatともに撮影後はスライドを観察するよう指示する。実験2は「カメラアプリで写真を撮影後に削除(削除)」でSnapchatを置き換えたもの。こちらは撮影・削除で操作後に15秒間観察できるよう変更している。

テスト結果は観察が最も好成績で、撮影が続く。写真を後で閲覧できないことがわかっているSnapchatと削除の成績が最も悪く、記憶オフロード説と矛盾する。ただし、写真撮影と結びつけられた過去の体験が影響している可能性もあるとのこと。実験2の結果は撮影中の集中力低下説と矛盾するが、撮影後の集中力低下説には一致し、論文は写真撮影で記憶を完了した気になってしまう可能性を指摘する。ただし、自発的な写真撮影では記憶が向上するという研究結果もあり、さらなる研究が必要とのことだ。

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バイオテック

動物種の90%が遺伝学的見地から言えばほぼ同年齢の可能性 40

ストーリー by hylom
続報が待たれる 部門より

さまざまな生物の遺伝子を分析してその多様性を調査したところ、多くの動物の遺伝的多様性はほぼ同じくらいと言う結果が出たそうだ(AFP論文PDF)。

これによると、著者らは「DNAバーコーディング」と呼ばれる、DNA配列から種を特定するために使われる手法を用いて生物10万種のDNAバーコードを解析したという。その結果、大半の動物で「中立突然変異」にはばらつきがないことが分かったという。これは大半の動物が人とほぼ同時期に出現した可能性を示しているそうだ。

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宇宙

NICTのオーロラ予報サイト「オーロラ・アラート」リニューアル 12

ストーリー by hylom
オーロラ帯にご用事のある方はぜひチェックを 部門より

情報通信研究機構(NICT)が6月1日、オーロラ予報を提供するWebサイト「オーロラ・アラート」をリニューアルしたと発表した

南極・昭和基地およびアラスカ・ポーカーフラットに設置された定点カメラで撮影されたライブ画像およびタイムラプス動画を公開するとともに、オーロラ帯における10分刻みでのオーロラ出現予報を提供している。

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JAXA

はやぶさ2、往路のイオンエンジン運転完了、リュウグウ到着は6月下旬~7月初旬の予定 20

ストーリー by hylom
めざせリュウグウ 部門より
ultra_hawk_1曰く、

先日目的地の小惑星リュウグウを撮影したと話題になった小惑星探査機「はやぶさ2」だが、6月3日に往路のイオンエンジン運転が完了した旨の発表があった。

今後はまずはやぶさ2の正確な位置を確認し、光学電波複合航法(光学航法とも)でリュウグウに接近する事となる。

ミッションスケジュール暫定版によると、リュウグウへの到着宣言(リュウグウからの高度20km到達)は6月21日~7月5日頃の予定。

先代のはやぶさ以来、Twitter等でも積極的に情報を提供しているはやぶさ2だが、今回も「イオンエンジン噴射を箱根駅伝に見立てた換算図」等の情報発信を行っている。

また、はやぶさ2との通信状態がリアルタイムでわかる「はや2NOW」が公開されている。はや2NOWで表示される画面の内容ははやぶさ2プロジェクトページ内で解説されている。NASAのアンテナがどの探査機(はやぶさ2等を含む)と通信しているかがリアルタイムでわかる「DSN Now」を意識して作られたページだそうだ。

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サイエンス

視力が低くなるような遺伝子を持つ人は高知能な可能性が高いという調査結果 43

ストーリー by hylom
逆眼鏡差別が起こる可能性 部門より

眼鏡をかけていると賢そうに見えるという話があるが、視力の低さに影響する遺伝子と頭の良さには相関関係が見られたという(GuardianNature Communications誌軽視論文)。

この論文では、30万486人を対象に認知能力や反応速度、そして視力や血圧、寿命と言ったさまざまな健康にまつわる要素と遺伝子の関連性について調査を行っている。その結果、709の遺伝子に認知能力との関連性が見られたそうだ。さらに、遺伝子情報を分析して得たスコアから認知能力を予測することもできたという。

その結果の1つとして、視力が低くなるような遺伝子を持っている人は、そうでない人と比べて知能が高くなる可能性が30%ほど高かったそうだ。ただしこの調査では単に相関を調べただけで、その理由などについては分からない。

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医療

夢を思い出したければビタミンB6を摂取するとよいかもしれない 20

ストーリー by hylom
忘れた方が良い夢もある 部門より

夢を目覚めた後に思い出すためにはビタミンB6が有効であるという研究結果が発表された(Discovery Channel JapanWIRED論文)。

この研究は豪アデレード大学の研究者らによるもの。ビタミンB6は神経伝達物質セロトニンの合成に関与するもので、実験ではビタミンB6を服用したグループは「夢を想起する能力」が向上することが確認できたという。さらに、「夢がよりはっきりしたものになる」といった効果も見られたという。

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サイエンス

陽子内部のクォークには超高圧力が働いている 52

ストーリー by hylom
さすが強い力 部門より
あるAnonymous Coward曰く、

陽子(プロトン)は複数のクォークが結合した構造になっているとされているが、このクォークにかかっている圧力の測定に米トーマス・ジェファーソン国立加速器施設の研究者らが成功した(マイナビニュースnature誌掲載論文)。

クォークは「強い力」と呼ばれる力で結合している。今回測定された圧力はこの力によって発生していると考えられているもので、陽子の中心部でクォークにかかる圧力は1035Paという超高圧力が働いていることが分かったそうだ。これは中性子星の内部よりも高い圧力だという。

また、陽子の中心から0.6fmの範囲では斥力が、それより外側では引力が働いていたことも分かったという。

13608736 story
バイオテック

名古屋大学、光合成能力を持つ微生物に窒素固定能力を持つ酵素を作らせることに成功 23

ストーリー by hylom
まだ先は長そうだ 部門より

名古屋大学が、「シアノバクテリア」という光合成能力を持つ微生物に対し遺伝子操作を行うことで窒素固定能力を付与させることに成功したと発表した(名古屋大学の発表PDF大学ジャーナルMIT Technology Review)。

研究ではシアノバクテリアの遺伝子を操作することで、空気中の窒素を固定して肥料成分に変える効果のある「ニトロゲナーゼ」という酵素を作らせることに成功した。ただ、遺伝子操作を行ったシアノバクテリア株では実際にニトロゲナーゼが機能していること(ニトロゲナーゼ活性)が確認されているものの、作られたニトロゲナーゼタンパク質の1〜4%程度でしか活性が確認できず、窒素肥料の生成能力は生育には不十分なレベルだという。

今後は今回作製した株を使い、必要な遺伝子の特定や遺伝子の制御方法などを調べていくという。

13608253 story
サイエンス

高い場所にいる人ほどリスクの高い決断を下しやすいという研究結果 78

ストーリー by hylom
リスクの高い決断をさせるためには高いところに行けば良いのか 部門より

マイアミ大学の研究チームが行った調査によると、建物の上層階にいる人ほど、リスクの高い決断を下す傾向が強いという(WIRED論文)。

この論文は、人間の振る舞いと、その人物がいる建物内の物理的な場所を調査したデータからまとめられたもので、実際に物理的な高さと決断のリスクの高さには相関関係が見られたという。さらに、「上層階にいる人ほど、意識のなかで“権力”をもっている感覚が強くなる傾向」もあったという。

論文では単に投資ファンドなどのデータを調べるだけでなく、実際に高層ビルを利用して被験者に決断を行わせる実験を行ったそうだ。その結果、高い改装で決断を行った被験者はリスクの高い決断を下す確率がより高かったという。ただ、「高さの潜在的な影響を人が認識すると、この奇妙な現象は起きない」ともされている。

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サイエンス

ドレスデン工科大学がEMドライブを検証、生み出された推力は地磁気が原因? 38

ストーリー by hylom
説得力はあるが 部門より

密閉容器内でマイクロ波を反射させると推力が発生するという「EMドライブ」についてはNASAが研究を進めており、2016年には「本当に動作する」という内容のレポートが発表されている。しかし、EMドライブの物理的な動作原理は明らかになっておらず、この現象が本当に発生するのか懐疑的な声も出ていた。そんな中、別の研究者らがEMドライブ装置で発生した推力は地球の磁場によって生み出された可能性があるという発表を行った(ナショナルジオグラフィックSPACE.com論文)。

ドイツ・ドレスデン工科大学の研究者らの論文によると、NASAによる実験では装置本体もしくは装置のケーブルが十分にシールドされておらず、それが地磁気と相互作用して推力が観測された可能性があると結論付けられている。ただ、今回の研究は低い出力で行われていたためにEMドライブによる推進力が測定されなかったという可能性もあるようで、EMドライブを否定する決定的な研究結果ではないという。

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サイエンス

オウム真理教死刑囚によるVXガスの連名論文が学術誌に掲載 49

ストーリー by hylom
歴史には残しておいてほしい 部門より

オウム真理教の元信者であり、「坂本弁護士殺害事件」の実行やサリン、VXガスなどの製造に関わっていた中川智正死刑囚が、米コロラド州立大名誉教授のアンソニー・トゥー氏と連名でVXガスに関する論文を執筆、日本法中毒学会の学術誌「Forensic Toxicology」電子版に掲載された(毎日新聞論文)。

論文タイトルは「Murders with VX: Aum Shinrikyo in Japan and the assassination of Kim Jong-Nam in Malaysia(VXガスによる殺人:日本のオウム真理教とマレーシアでの金正男氏殺害事件)」。トゥー氏は毒物や化学兵器の研究で知られており、オウム真理教に対する捜査にも協力していた。氏はVXガスを兵器として利用するために製造していたオウム真理教や、同教団が起こしたサリン事件について興味を持ち、中川死刑囚とたびたび面会を行っていたという(ハフィントンポスト)。

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